就労継続支援A型スコア評価3部作その②「多様な働き方」では8項目中5項目選択して評価

就労継続支援A型スコア評価3部作その弐「多様な働き方」では8項目中5項目選択して評価

令和3年度障害福祉サービス報酬改定の最大の目玉である就労継続支援A型のスコア評価。就労継続支援A型事業所を、5つの評価項目つまり、労働時間、生産活動、多様な働き方、支援力向上のための取組、地域連携活動によって200点満点評価しようというものだ。3部作その②の当コラムでは障害福祉サービス専門の社労士・行政書士が「多様な働き方」の評価方法について詳しく解説する。

障害者就労支援事業の会社設立オールインワンパッケージ

就労継続支援A型(以下就A)のスコア評価のうち「多様な働き方」では、8つの項目から自社で採用しやすい5つの項目を選択して評価することができる。8つの項目それぞれについては後段で詳しく解説するが、ここではまず全体像を表で整理しよう。

8つの項目

5つ選択評価

35点満点に置き換え

1.資格取得支援制度

5つ選択し、

制度導入で1点

実際活用で1点

2点×5項目

=10点満点

左の点数10点満点中

8点以上・・・35点

6~7点・・・25点

1~5点・・・15点

2.職員登用制度

3.在宅勤務制度

4.フレックス勤務制度

5.短時間勤務制度

6.時差出勤制度

7.時間単位有給・計画有給制度

8.傷病休暇制度

表の中央部分で言う「実際活用」については、各利用者の希望により制度を活用することを評価するものだが、No.1,3,4,5,6については、制度活用を希望する利用者の就労継続支援A型計画、または施設障害福祉サービス計画に予め記載しておく必要がある。

つまり、就A事業所側が独断で制度活用させることは認められず、また利用者が制度活用を希望した場合においても、そもそも当人の支援計画にその内容が盛り込まれていなければならない、という趣旨である。

なお本コラムで解説する8項目は全て就業規則等への記載が必要となるが、これは毎年度4月1日時点の規定内容によって評価される。

資格取得支援制度

1つ目は利用者の資格取得を支援する制度の構築だ。

呼び方は資格、検定、免許などを問わないが、あくまでも就A事業所の利用者の職業技能向上に役立つものでなければならない。従って趣味や一般教養的な要素の強いものや、極めて初歩的な内容のものは除外される点に注意しよう。

これらの資格を取得するための支援制度を就業規則等に定めた場合に1点、前年度において資格取得支援制度を希望、活用し実際に資格を取得した利用者が1名以上いる場合に1点、合計2点満点で評価する。

職員登用制度

2つ目は利用者を就A事業所の職員として登用する制度の構築だ。

障害があるために就A事業所を活用する利用者に対して、適切な職業訓練を施した結果、当該就A事業所の職員として採用するに繋がった事業所を評価する仕組みだ。

職員採用後の職種は職業指導員、生活支援員、サービス管理責任者など就A事業所の人員基準上の従業者に留まらず、その他の職種も対象となる。

この際、就業規則等に登用基準、登用試験内容、登用後の雇用条件等を定めた場合に1点、前年度に職員登用を希望、活用し実際に就A事業所の職員として登用された利用者が1名以上いる場合に1点、合計2点満点で評価する。

なお、この場合、前年度中に職員登用後の雇用期間が6カ月以上あり、かつ年度末まで雇用が継続していることをもって「1名」としてカウントする点に注意しよう。

在宅勤務制度

3つ目は利用者に在宅勤務制度を認める制度の構築だ。

就A事業所として指定を受けるためには一定の施設基準、および従業者基準を満たす必要があり、利用者たる障害者はこれらの基準を満たす施設に、実際に通所することによってサービスを利用することができる。

しかし新型コロナウイルスの感染拡大により、令和3年度の障害福祉サービス報酬改定では、在宅でのサービス利用(就Aにおいては在宅勤務)について、臨時的措置から常時的措置に変更された。

(変更前)
通所利用が困難で、在宅による支援がやむを得ないと市町村が判断した利用者
(変更後)
在宅でのサービス利用を希望する者であって、在宅でのサービス利用による支援効果が認められると市町村が判断した利用者

この際、在宅勤務の対象者、服務規律、労働時間、出退勤管理について就業規則等に定めた場合に1点、前年度に在宅勤務を希望、活用した利用者が1名以上いる場合に1点、合計2点満点で評価する。

フレックス勤務制度

4つ目は利用者にフレックス勤務を認める制度の構築だ。

フレックス勤務制度とは、始業と終業の両方の時刻を利用者の自由に委ねる制度である。コアタイム(必ず出勤しなければならない時間)は必ずしも設ける必要性はない。

これらのフレックス勤務制度を労働基準法の規定に基づき、対象労働者の範囲、清算期間、清算期間における総労働時間等を就業規則等に定めた場合に1点、前年度にフレックス勤務を希望、活用した利用者が1名以上いる場合に1点、合計2点満点で評価する。

短時間勤務制度

5つ目は利用者に短時間勤務制度を認める制度の構築だ。

就A事業所の利用者たる障害者には労働社会保険関連法が適用される。従って事業所には所定労働時間が設定され、原則として全ての就A利用者は事業所の所定労働時間に拘束されることになる。仮に利用者が遅刻、早退、欠勤などによって所定労働時間の規定に違反した場合、労働契約違反となり罰則の対象となる。

そこで就A事業所が定める所定労働時間の勤務ができない利用者に対して、一般の会社と同様に短時間勤務制度を認める制度を構築した場合に評価するという仕組みだ。

短時間勤務制度の対象者の範囲、労働時間、休憩時間、休日、賃金等を就業規則等に定めた場合に1点、前年度に短時間勤務制度を希望、活用した利用者が1名以上いる場合に1点、合計2点満点で評価する。

なお、育児・介護休業法でも同様に短時間勤務が定められているが、これはあくまでも労働者の法定権利であるため、育児・介護休業法とは別に、事業所独自の短時間勤務制度を定める必要がある点に注意しよう。

時差出勤制度

6つ目は利用者に時差出勤制度を認める制度の構築だ。

時差出勤制度とは、1日の所定労働時間を変更することなく、単に始業と終業の時刻を繰り上げまたは繰り下げる制度のことをいう。

始業時刻、終業時刻、休憩時間等を就業規則等に定めた場合に1点、前年度に時差出勤制度を希望、活用した利用者が1名以上いる場合に1点、合計2点満点で評価する。

時間単位有給・計画有給制度

7つ目は利用者に時間単位有給または有給休暇の計画付与を認める制度の構築だ。

労働基準法では勤続6カ月以上の労働者に年次有給休暇を付与すべき内容が定められている。就A事業所の利用者たる障害者には労働社会保険関連法が適用されるため、当然に年次有給休暇付与の対象者となる。

年次有給休暇は1日単位で取得するのが原則とされているが、時間単位での取得を認め、より柔軟に年次有給休暇を取得できるようにするのが「時間単位有給」の趣旨だ。

また、事業所の適正運営を考慮しつつ、年次有給休暇の取得を促進するために、各人5日を超える部分について、事業所が「取得の時季を指定する」のが年次有給休暇の計画的付与である。

この際、時間単位有給または計画有給制度を就業規則等に定めた場合に1点、前年度に時間単位有給または計画有給制度を希望、活用した利用者が1名以上いる場合に1点、合計2点満点で評価する。

傷病休暇制度

最後8つ目は利用者に傷病休暇を認める制度の構築だ。ここで言う「傷病」にはいわゆる労災は含まない。

就A事業所と利用者たる障害者は労働契約を締結するため、採用後に利用者の傷病により、労働契約の維持存続が困難となった場合、労働契約違反が生じ、普通解雇の対象となり得る。

このような事態を避けるために、一般の会社では休職・復職制度を設けているわけだが、就A事業所の利用者に対しても傷病休暇を認める、という仕組みだ。

この際、休暇制度、療養中・療養後の短時間勤務制度、失効年休積立制度等を就業規則等に定めた場合に1点、前年度に傷病休暇制度を希望し、活用した利用者が1名以上いる場合に1点、合計2点満点で評価する。

以上8項目から自社に適した5つを選択しよう。

>>3部作その①「労働時間、生産活動、地域連携活動」
>>3部作その②「多様な働き方」
>>3部作その参「支援力向上のための取組」

>>厚生労働所公式 令和3年度障害福祉サービス報酬改定はこちら

障害者就労支援事業の会社設立オールインワンパッケージ