就労継続支援A型スコア評価3部作その①「労働時間、生産活動、地域連携活動」を徹底解説

就労継続支援A型スコア評価3部作その壱「労働時間、生産活動、地域連携活動」

令和3年度障害福祉サービス報酬改定の最大の目玉である就労継続支援A型のスコア評価。就労継続支援A型事業所を、5つの評価項目つまり、労働時間、生産活動、多様な働き方、支援力向上のための取組、地域連携活動によって200点満点評価しようというものだ。

3部作その①の当コラムでは障害福祉サービス専門の社労士・行政書士が、労働時間、生産活動、地域連携活動の3つの評価方法について詳しく解説する。

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平均労働時間の長短によって評価

令和2年度以前の制度と比較

初めに労働時間から解説をはじめよう。就労継続支援A型(以下「就A」)の利用者は事業所と雇用契約を締結する。就Aの利用者には、原則として最低賃金法、および労働社会保険法令が適用されるため、労働時間が長いほど、利用者の賃金増加につながり、同時に支援のためのコストが増加することを意味する。

平均労働時間の長短によって就A事業所を評価する手法は、令和3年報酬改定以前からとられていた手法である。

平均労働時間

令和2年度まで(単位)

令和3年度から(評価点)

7~

618

80

6~7

606

70

5~6

597

55

4.5~5

589

45

4~4.5

40

3~4

501

30

2~3

412

20

~2

324

※「令和2年度まで」の部分は定員20人以下のケース

4~5時間の部分のみ細分化され、30分刻みの評価になっている点が特徴的だが、これは4~5時間の利用がボリュームゾーンであることにより細分化されたものと予測する。

具体的な計算方法

サービス提供の前年度の平均労働時間による具体的な計算式は次の通りだ。

A型利用者の労働時間合計 ÷ A型利用者の延べ人数

ここで言う「労働時間」は賃金の支払い有無により判定する。つまり欠勤、休憩はもとより、賃金の支払いが生じない助言・指導時間は「労働時間」に含めない一方、年次有給休暇や賃金の支払いが生じる助言指導時間は「労働時間」に含めて計算する。

また就A利用開始時には予測できなかった疾病等でやむを得ず短時間労働になってしまう利用者に関しては、90日分を限度に、計算対象から除外することが認められている。

なお、制度改正の令和3年に限り、前年度(令和2年)の実績を用いず、令和元年または平成30年の実績によって計算する特例措置も認められている。

生産活動収支が利用者賃金を上回ったかによって評価

就Aの生産活動収支とは?

次に就Aの生産活動収支に関する評価について説明しよう。製造業を営む就A事業所を例にとると、生産活動収支は以下の計算式で表すことができる。

  売上高
― 原材料費
― 地代家賃
― 水道光熱費
― 消耗品費他
= 生産活動収支

生産活動収支が就A利用者賃金を上回る必要がある、というのは平成29年から就Aの指定基準とされており、新規指定の際には収支計算書とそれを証する取引契約書等の添付が義務付けられているところである。

令和3年障害福祉サービス報酬改定においても、

生産活動収支 > 就A利用者賃金

となっているかどうかで、事業所自体の評価点に優劣を付けることになった。

生産活動収支に関する評価方法

令和3年度障害福祉サービス報酬改定で評価される生産活動収支の評価方法は次の通りだ。

つまり、生産活動収支 > 就A利用者賃金 の判定の結果・・・

判定結果

評価点

①前年、前々年ともに〇

40

②前年〇、前々年×

25

③前年×、前々年〇

20

④前年、前々年ともに×

ここで言う「年度」とは就A事業者(法人)の会計年度を指しており、必ずしも4~3月になるとは限らない。例えば会計年度が4~3月でない場合は、3月以前の直近の会計年度を「前年度」として扱う。(例:9月決算の場合、令和2年9月決算期を前年度として扱う)

生産活動収支の判定に関しては、先の表から分かる通り、「2年分の実績」が評価の対象となる。そのため新規で指定を受けた就A事業者の2年度目においては、設立初年度(前年度)が〇の場合②25点となり、×の場合は③20点として評価する。

なお、制度改正の令和3年に限り、前年を令和元年に置き換え、前々年度を平成30年として計算する特例措置も認められている。

地域連携活動の実施事業によって評価

地域連携活動に関する評価は、次のすべての条件を満たす地域連携を行ったかどうかで10点が加算される。1つでも外れてしまう場合は0点となる点に注意しよう。

満たすべき3要件

①就A事業所の生産活動に関係する団体等との地域連携活動であること
②その地域連携活動が3カ月以上継続していること
③その地域連携活動の関係者の意見を添えた報告書を公表していること

>>報告書のサンプルはこちら

なお、厚生労働省により地域連携活動の具体例が示されているため念のため紹介しておく。

地域連携活動の具体例

・高齢者に食品販売している場合、当該高齢者に見守り支援
・公営施設の清掃をしている場合、そこに自社の販売拠点を置き集客アップ
・地元企業からIT業務を受託し、ICTを用いて障害者と地域の連携を促進
・地元企業協力のもと、施設外就労を切り出して促進

これらの例示を参考に、地域の企業や団体と交流、連携を促進しよう。

まとめ

以上が就労継続支援A型における「労働時間、生産活動、地域連携活動」のスコア評価方法である。この3つはそれぞれシンプルな制度であるため、1つのコラムでまとめて解説した。

残り2つの項目、「多様な働き方、支援力向上のための取組」は非常に複雑な評価方法を取っているため、それぞれ単独のコラムで解説する。就労継続支援A型事業に関心のある方は併せてご参照を。

>>3部作その①「労働時間、生産活動、地域連携活動」
>>3部作その②「多様な働き方」
>>3部作その参「支援力向上のための取組」

>>厚生労働所公式 令和3年度障害福祉サービス報酬改定はこちら

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