会社を設立するときの資本金はいくらにすればよいですか?

会社を設立するときの資本金はいくらにすればよいですか?優先順に5つのパターンをご説明します。

会社を設立するときの資本金はいくらにすればよいですか?

優先順に5つのパターンをご説明します。

井ノ上剛
(代表)

資本金とは、会社を設立する際の「元手」となるお金のことです。株式会社・合同会社の設立の際に、資本金額を決める必要があります。一般社団法人やNPO法人には資本金という考え方はありません。

資本金は「出資者が会社のために投資する(投げ出す)お金」との位置づけであるため、一度出資した資本金は簡単には手元に戻すことができません。

また資本金の性質について、よく次のような誤解をされる方がおられます。

創業者

資本金はずっと会社の口座で、その金額を保管・維持していかないといけないのですよね・・・。

井ノ上剛
(代表)

いえ。そのような必要はなく、開業のための支出や、開業後の運転資金として使うことができます。

それでは実際に「会社を設立するときの資本金はいくらにすればよいか?」の問いにお答えしていきたいと思います。

前提条件

・代表者の手元に200万円の資金がある
・開業までに100万円かかり、開業後は毎月200万円かかる
・つまり開業3カ月後までに700万円の支出がある
・金融機関からの借入金の入金は開業1カ月目の前半である(一般的にこうなります)

700万円で開業する場合の資金計画

以下、5つのパターンを優先度順にご案内します。

パターンA

最もオーソドックスな例です。①が全体資金(700万円)の20%を優に超えるため、借入審査が通りやすい。

最もオーソドックスな例です。①が全体資金(700万円)の28%となるため、借入審査が通りやすい例であると言えます。

井ノ上剛
(代表)

《余談》
自己資金は全体資金(例では700万円)の最低でも10%以上必要です。また「金融機関からの借入金の入金は開業1カ月目の前半である」ということも理解して、資本金額を決定する必要があります。

パターンB

代表者以外、例えば共同で会社をおこす人が「自分も100万円出資しよう!」と申し出る例。

代表者以外、例えば共同で会社をおこす人が「自分も100万円出資しよう!」と申し出る例です。借入審査の際に②の信用調査も行われるという煩雑さはありますが、パターンA同様に借入審査が通りやすい例であると言えるでしょう。

ただし冒頭でご説明した通り「資本金は簡単には手元に戻すことができない」という特徴があります。代表者以外の人が「それは困る・・・」と考えるときは、パターンCを選択します。

井ノ上剛
(代表)

《余談》
「代表者以外の人」が会社を去るときには、出資額を時価で評価し直し、払い戻さなければいけないケースが生じ得ます。例えば出資当時100万円だった株価が、会社の成長と共に何倍もの評価額になるケースがあります。「代表者以外の人」がそれに見合う貢献をしている場合は良いでしょうが、そうではない場合、代表者から見ると相当の不満が出る可能性があります。

パターンC

代表者以外の人が「お金を手元に戻すことができないのは困る」と考えるときは、資本金ではなく「借入」として会社に入金してもらいます。

代表者以外の人のお金を、資本金ではなく「借入金」として会社に入金してもらいます。会社に資金余裕ができた後、返済していくことができます。

ただし、金融機関からすると②が不安定資金となるとなるため、借入審査上の評価点はパターンA・Bに比べると若干劣ります。

さらに代表者自身も「200万円ものお金を手元に戻すことができないのは困る」と考えるときはパターンDを選択します。

パターンD

金融機関は②も含めて自己資金として認定してくれますが、②③が不安定資金となるとなるため、借入審査上の評点はパターンCに比べて劣ります。

この場合、金融機関は②も含めて自己資金として認定してくれますが、③に加えて②も不安定資金となるとなるため、借入審査上の評価点はパターンCに比べて劣ります。

パターンE

この例では①代表者から出資する100万円と②代表者以外から出資する100万円が等しくなります。

最後に、最もお勧めできない例です。この例では①代表者から出資する100万円と②代表者以外から出資する100万円が等しくなります。

一見、共同経営・共同責任の様に見えますが、代表者であるにもかかわらず、単独議決権を失うという大きなデメリットを負います。つまり、会社の重要事項について代表者単独では決定することができない、と言う意味です。

当社の経験から、この状態は避けるべきであると思います。

井ノ上剛
(代表)

以上の優先順位を十分に理解し、かつ個々の状況を勘案して、資本金の出資パターンを決定しましょう。

【この記事の執筆・監修者】

井ノ上 剛(いのうえ ごう)
※ご契約がない段階での記事に関するご質問には応対できかねます。
 ご了承お願い致します。

◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
奈良県橿原市議会議員
◆介護福祉士実務者研修修了
タスクマン合同法務事務所 代表
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