地域生活支援事業としての移動支援|移動支援制度の概要、移動支援の対象者と対象サービス、事業者の登録要件と従業者の資格要件

地域生活支援事業としての移動支援|移動支援制度の概要、移動支援の対象者と対象サービス、事業者の登録要件と従業者の資格要件_コラムサムネ03
井ノ上剛(社労士・行政書士)

タスクマン合同法務事務所がお送りする福祉起業塾です。障害者総合支援法に規定される、移動支援の仕組みを正しく理解されていますでしょうか?今回のコラムでは地域生活支援事業としての移動支援をテーマに取り上げ、移動支援制度の概要、移動支援の対象者と対象サービス、事業者の登録要件と従業者の資格要件について詳しく解説します。

このコラム推奨対象者

・会社経営者の方
・事業所の管理者の方
・移動支援制度の概要について理解したい方
・移動支援の対象者と対象サービスについて理解したい方
・事業者の登録要件と従業者の資格要件について理解したい方

コラムの信頼性

タスクマン合同法務事務所は社労士・行政書士・司法書士・税理士が合同し、介護保険事業・障害福祉事業に専門特化してご対応しています。このコラムの執筆日時点、職員数86名、累積顧客数は北海道から沖縄まで965社、本社を含め12の営業拠点で運営しています。今回の福祉起業塾では【地域生活支援事業としての移動支援】をテーマに取り上げ、移動支援制度の概要、移動支援の対象者と対象サービス、事業者の登録要件と従業者の資格要件について詳しく解説します。

同じ内容を動画でも解説しています。

移動支援制度の概要

はじめに、移動支援制度の概要について解説します。移動支援は、障害者が円滑に外出することができるよう、移動を支援する事業を指します。障害福祉サービスの居宅介護・同行援護・行動援護にも類似のサービスが含まれるため、比較しながら確認しましょう。

01移動支援の法律上の位置づけ障害福祉サービスとの比較

いずれも根拠法は障害者総合支援法ですが、制度上の位置づけは異なります。居宅介護などの障害福祉サービスが全国一律の自立支援給付であるのに対して、移動支援は障害福祉サービスには含まれず、市町村が行う地域生活支援事業に位置づけられます。

費用面においては、障害福祉サービスでは国が費用の2分の1を義務的に負担するのに対して、移動支援における国の費用負担は「予算の範囲内で2分の1以内を補助」という裁量的なものとなります。

そのため運用基準は各自治体に委ねられ、支給量・対象者・報酬単価等の面で自治体間格差が生じやすい構造を持ちます。

移動支援の対象者と対象サービス

続いて、移動支援の対象者と対象サービスについて解説します。移動支援の対象者は「外出時に移動の支援が必要であると市町村が認めた者」です。障害福祉サービスの対象者が障害支援区分などを基準に定められている点に比べ、市町村の裁量が強い点に特徴があります。

02移動支援の対象者と対象となる外出

対象となる外出についても、障害福祉サービスが限定的であるのに対して、移動支援は社会参加・余暇活動を含む幅広い外出を対象としています。具体的には金融機関の手続き、映画鑑賞やスポーツ施設の利用などが含まれます。

一方、『通勤や営業活動等の経済活動に係る外出、通年かつ長期にわたる通学・通所、社会通念上適当でない外出』は対象外とされるのが一般的です。通学・通勤については自治体ごとの差も大きく、通学支援を認める自治体は約57%、通勤支援を認める自治体は約27%にとどまります。

03通学支援と通勤支援の全国比率

事業者の登録要件と従業者の資格要件

続いて、事業者の登録要件と従業者の資格要件について解説します。移動支援事業を運営するには、市町村への登録が必要となります。

法人格を有すること、管理者およびサービス提供責任者の配置、従業者が常勤換算で2.5人以上であることなどが、多くの自治体で共通する要件です。ただし、全国一律の基準ではなく市町村ごとに異なるため、個別に確認が必要です。なお、既に居宅介護の指定を受けている場合、一定の書類提出が省略される自治体もあります。

従業者の資格については、全国一律の資格要件は設けられていません。実務上は、『知的・精神障害者の移動支援』に介護福祉士や初任者研修修了者が従事できる自治体が多い一方、『全身性障害者』については専門の研修修了を求める場合も多く、市町村ごとに確認が必要です。

移動支援制度の構造的課題

最後に、移動支援制度の構造的課題について解説します。移動支援事業を実施している市町村は全体の約90.5%ですが、都道府県別に見ると、東京都の98.1%に対し、秋田県は60.0%と、実施率自体に差があります。

04移動支援事業の実施率(都道府県別)

最大の課題は、裁量的経費であることに基づく自治体間格差です。支給量、対象者の範囲、報酬単価、通学・通勤支援の可否、従業者の資格要件のすべてにおいて、市町村ごとに異なる基準が適用されます。

障害者団体等からは、障害福祉サービスと同様の個別給付化を求める要望が根強くありますが、グループ支援型や車両移送型などの柔軟な提供形態が制約される可能性もあり、引き続き検討課題とされています。

まとめ

今回のコラムでは地域生活支援事業としての移動支援について解説しました。移動支援制度の概要、移動支援の対象者と対象サービス、事業者の登録要件と従業者の資格要件についてご理解いただけたかと思います。

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【この記事の執筆・監修者】

井ノ上 剛(いのうえ ごう)
※ご契約がない段階での記事に関するご質問には応対できかねます。
 ご了承お願い致します。

◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
奈良県橿原市議会議員
◆介護福祉士実務者研修修了
タスクマン合同法務事務所 代表
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