通所系障害福祉サービスの総量規制|総量規制の背景と法的根拠、対象サービスの傾向、全国の総量規制の現状

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タスクマン合同法務事務所がお送りする福祉起業塾です。就労継続支援A型B型、児童発達支援、放課後等デイサービスで事業所の新規開設を認めない自治体が急増しています。今回のコラムでは通所系障害福祉サービスの総量規制をテーマに取り上げ、総量規制の背景と法的根拠、対象サービスの傾向、全国の総量規制の現状について詳しく解説します。
このコラム推奨対象者
・会社経営者の方
・事業所の管理者の方
・総量規制の背景と法的根拠について理解したい方
・対象サービスの傾向について理解したい方
・全国の総量規制の現状について理解したい方
コラムの信頼性
タスクマン合同法務事務所は社労士・行政書士・司法書士・税理士が合同し、介護保険事業・障害福祉事業に専門特化してご対応しています。このコラムの執筆日時点、職員数86名、累積顧客数は北海道から沖縄まで974社、本社を含め12の営業拠点で運営しています。今回の福祉起業塾では【通所系障害福祉サービスの総量規制】をテーマに取り上げ、総量規制の背景と法的根拠、対象サービスの傾向、全国の総量規制の現状について詳しく解説します。
同じ内容を動画でも解説しています。
総量規制の背景と法的根拠
はじめに、障害福祉サービスにおける総量規制の背景と法的根拠について解説します。総量規制とは、自治体が障害福祉計画で定めるサービスの見込量を根拠として、新規事業所の指定を拒否したり、定員の増加を認めないことができる仕組みです。この仕組みが広がった背景には、まず営利法人の大量参入があります。
参考事例・データ
2006年の障害者自立支援法施行以降、株式会社等にも事業参入が認められ、就労継続支援A型では設置主体の50%を営利法人が占めるに至っています。
生産活動をほとんど行わず給付費だけを受け取る、いわゆるブラックA型事業所が全国的に問題化しました。
参考事例・データ
2017年には岡山県倉敷市のA型事業所で利用者が一斉解雇される事案が発生しています。
放課後等デイサービスも、制度創設時の約2,900事業所から令和6年までに22,643事業所へと約7倍に膨張しました。
こうした急増により、各地で計画見込量を大幅に超過する供給過剰が生じています。加えて、自治体の指導が追いついていないことも、総量規制を後押ししています。
参考事例・データ
令和6年度の運営指導実施率は16.3%にとどまっており、国は急増サービスについて3年に1回以上の運営指導を行う方針を示しています。
事後の指導だけでは対応が困難なため、事前の入口管理として総量規制が選ばれやすくなっていると言えます。
法的根拠は『障害者総合支援法第36条第5項』です。計画上の見込量に既に達している場合等に、都道府県知事は指定をしないことができるという裁量的拒否の規定です。対象は生活介護、就労継続支援A型およびB型の3つです。
児童福祉法にも同様の規定があり、児童発達支援と放課後等デイサービスが対象です。なお、共同生活援助については、令和9年4月に対象に追加する省令改正案が公表されています。
総量規制対象サービスの傾向
続いて、総量規制の実施が進むサービスと、実施されにくいサービスの傾向について解説します。総量規制の実施が進むサービスには、営利法人の急増、利益重視の事業所運営、サービス品質の低下という共通した特徴があります。
参考事例・データ
就労継続支援B型は全国17,973事業所と、通所系障害福祉サービスの中で最大規模に達しています。放課後等デイサービスも22,643事業所に膨張しています。
こうした事業環境のもと、利用者獲得競争の過熱や不正請求が各地で問題化しています。
参考事例・データ
令和元年から令和5年の5年間で総額58億円を超える不正受給があった一方、令和8年3月には、大阪市の「絆ホールディングス」傘下の就労継続支援A型事業所だけで150億円を上回る、過去に類を見ない不正事案が報道されました。
生活介護も法令上の規制対象ですが、多くの自治体では、強度行動障害や医療的ケアに対応する事業所を例外として指定を認める運用が取られています。
こうした通所系に加え、居住系サービスにも問題は広がっています。共同生活援助については、厚生労働省の調査で40の都道府県において供給が計画見込量を上回っている状況にあります。
参考事例・データ
令和6年には株式会社恵がグループホームの食材費過大徴収や不正請求で指定取消を受けるなど、深刻な事案が発生しています。
一方で、居宅介護や重度訪問介護といった訪問系サービスは、総量規制の対象になりにくい傾向にあります。これらのサービスは介護保険の訪問介護とヘルパー人材を共有しており、ヘルパーの有効求人倍率は約15倍と極端な人材不足にあり、8割の事業所がヘルパー不足を訴えています。
短期入所や相談支援についても全国的に不足しており、規制ではなく拡充が求められる傾向があると言えます。
全国の総量規制の状況
最後に、令和8年3月時点における全国の総量規制の状況について解説します。まず、指定権者の構造を整理します。政令指定都市は人口50万人以上の自治体で全国に20市、中核市は人口20万人以上の自治体で全国に62市あり、合計82の自治体が都道府県とは別に障害福祉サービスの指定権限を持っています。
これら82の自治体のうち、少なくとも21市が何らかの総量規制を実施しており、事業所が集中する大都市圏を中心に規制が着実に進んでいることが確認できます。
参考事例・データ
就労継続支援B型については札幌市、京都市、大阪市、奈良市、などが新規事業所指定を停止しており、児童発達支援・放課後等デイサービスについては札幌市、京都市、宮崎市などが公募制や事前審査制を導入しています。
また就労継続支援A型についても、複数の自治体で総量規制が進んでおり、総量規制のない自治体でも、指定申請の段階で生産活動収益を確保できるか、審査が厳格化されていることから、事実上の総量規制が進んでいると言えます。
一方、都道府県が指定権を持つのは、これらの大都市以外の比較的小規模な自治体です。都道府県では管内の市町村の状況を踏まえた部分的な総量規制を実施しています。
参考事例・データ
大阪府では、児童発達支援および放課後等デイサービスについて、圏域ごとに総量規制を実施しています。
このように、都道府県指定であっても、市町村との連携により規制が行われています。
タスクマン合同法務事務所では、事業所の法令遵守と適正運営のサポートをモットーに掲げ、指定申請をお手伝いしています。障害福祉サービスの開設でお困りの場合はぜひご相談ください。 なお、総量規制については年度ごとに期限を区切って規制と解除が計画されるため、自治体のホームページ等で詳細情報をご確認ください。
まとめ
今回のコラムでは通所系障害福祉サービスの総量規制について解説しました。総量規制の背景と法的根拠、対象サービスの傾向、全国の総量規制の現状についてご理解いただけたかと思います。
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【この記事の執筆・監修者】
- (いのうえ ごう)
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※ご契約がない段階での記事に関するご質問には応対できかねます。
ご了承お願い致します。
◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
◆奈良県橿原市議会議員
◆介護福祉士実務者研修修了
◆タスクマン合同法務事務所 代表
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