小規模事業者持続化補助金を活用して介護・障害福祉事業を設立開業する

小規模事業者持続化補助金を活用して介護・障害福祉事業を設立開業する

このコラムを読むと理解できること

・小規模事業者持続化補助金の制度概要が理解できる
・対象となる法人、ならない法人が理解できる
・小規模事業者持続化補助金受給までの全体スケジュールが理解できる

「介護・障害福祉事業を設立開業するにあたり、活用できる補助金はありませんか?」年間300件近くの介護・障害福祉事業の設立開業相談を受ける中で、最も多く寄せられる質問だ。このコラムでは介護・障害福祉事業の設立開業の際に活用できる小規模事業者持続化補助金について、開業支援の専門行政書士が活用事例に触れつつ詳しく解説する。

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小規模事業者持続化補助金とは?制度の概要

介護・障害福祉事業を設立開業するにあたり、返還不要の補助金があれば是非活用したいところ。このような方にお勧めなのが、中小企業庁と商工会議所が連携して実施する、小規模事業者持続化補助金である。

小規模事業者持続化補助金は商工会議所の支援のもとに経営計画を作成し、その経営計画に基づく経費支出をした場合に、支出経費の3分の2(上限50万円)が給付されるという、設立時期の会社には非常にありがたい制度である。介護・障害福祉事業の設立開業にあたり、活用しない手はない。

具体的には、75万円の経費支出を行い、その3分の2に当たる50万円を受給するのが上限ラインである。(75万円以上の経費を使っても、受給額は50万円のまま)

小規模事業者持続化補助金を申請できる法人、できない法人

小規模事業者持続化補助金を活用する際、注意すべきことが1点ある。それは法人の種別によっては受給対象にならない場合がある点だ。

介護・障害福祉事業を設立・開業するにあたり、選択可能な法人種別と、小規模事業者持続化補助金の受給可否について、一覧表にまとめると次の通りとなる。

対象となる法人 対象とならない法人
株式会社
合同会社
NPO法人 など
一般社団法人
社会福祉法人 など

一般社団法人で介護・障害福祉事業を設立・開業するケースが多いが、小規模事業者持続化補助金の受給に関しては対象外となってしまうため特に注意しよう。

また介護・障害福祉事業は小規模事業者持続化補助金の制度上、「サービス業」に該当し、フルタイム従業員5名以下の会社に限定される点も併せて理解しておこう。

介護・障害福祉事業で補助金申請する場合の活用事例

ここでは実際に介護・障害福祉事業を設立・開業するケースに当てはめつつ、活用事例をご紹介したい。

後に詳しく解説するが、小規模事業者持続化補助金は事業を開業した後(実際には補助金交付決定通知書を受領後)に支出する経費が補助対象となる。従って、開業日前後にかかった経費は補助金申請の対象とすることができない。

介護・障害福祉事業において、具体的には次のような経費が補助対象として活用できるのではないかと思われる。

介護・障害福祉事業における補助金対象経費の例

・販促用チラシの作成、DM送付、ポスティング
・ウェブサイトでの広告
・販促品の調達、配布販促品の調達、配布

このように小規模事業者持続化補助金をうまく活用すれば、3分の1の経費支出で、事業の販路拡大のための広告宣伝を行うことができるのだ。

(対象経費の詳細については、年度ごとに策定される募集要項をご参照されたい)

小規模事業者持続化補助金の申請から受給までの流れ

次に補助金申請に関する工程を確認しよう。

小規模事業者持続化補助金の受付スケジュールの確認

小規模事業者持続化補助金の受付期限は毎年、複数回に渡って設定される。どの締切期限の回に申請を行うか、あらかじめ大まかなスケジューリングを立てるところから段取りしよう。

過去においては、2月、6月、10月と4カ月ごとに締切が設けられている。

法人設立と指定(開業)

小規模事業者持続化補助金は申請時点で実際に開業していないと対象とならないため、まずは法人設立と指定申請を行おう。法人設立や税務署への設立届だけでは開業とは認められない点に注意が必要だ。

なお、一般社団法人が小規模事業者持続化補助金の対象外となる点は先に説明した通りであるため、法人設立は株式会社、合同会社、NPO法人等から選択することをお勧めする。

法人設立および各事業の指定申請については、こちらのまとめページに詳細を記しているので併せて活用願いたい。

商工会議所にスケジュールの確認を

次にすべきことは地域の商工会議所での実際のスケジュール確認だ。小規模事業者持続化補助金の制度自体は国(中小企業庁)ものではあるが、申請件数が膨大であるため、その窓口業務が各地の商工会議所に委託されている。

本店を所管する商工会議所に連絡して、申請予定の受付回についての具体的なスケジュールを確認しよう。できればこのタイミング次に説明する相談のアポイントを取ることをお勧めする。

経営計画書、補助事業計画書を作成する

この部分が小規模事業者持続化補助金の書類作成上、最も重要な項目である。小規模事業者持続化補助金の申請件数が膨大であるため、申請書類上の中核をなす「経営計画書」と「補助事業計画書」については、事前に商工会議所でチェックを受ける必要があるのだ。

商工会議所では面談により「経営計画書」と「補助事業計画」の添削、加筆、修正をアドバイスしてくれる。最終的に完成に至ったのち、商工会議所が「事業支援計画書」を発行してくれるので、この書類を添付して、正式に補助金事務局へ申請書を提出しよう。

申請上の注意点

ここまでお読み頂ければお分かりの通り、小規模事業者持続化補助金の中核をなす「経営計画書」、「補助事業計画書」の作成は商工会議所の支援を受けながら、事業者が直接取り組むものである。

従って、外部の代行事業者(士業を含む)が単独で手続きを進めることはできない。NG例として「外部の者が記載を主導し、事業者自らが検討していない場合」は評価の結果が良くても、受給決定にならないとされている。

当事務所では原則として書類作成の代行は行わず、お客様に制度の概要を説明し、自力で申請できるようアドバイスしている(無償)。

経費の実際の支出

補助金事務局への書類申請後、審査が行われる。採択率は年度ごとに、締切回が後になればなるほど下がる傾向にある。令和2年度の例で言うと、第1回(約90%)、第2回(65%)となっている。

また補助対象となる経費の支出は、「採択通知書」と「補助金交付決定通知書」の受領後に行わなければならないため、それ以前に支出した経費は補助対象にならない点、特に注意が必要だ。

⑤このコラムのまとめ

以上が小規模事業者持続化補助金を活用して介護・障害福祉事業を設立開業するための一連の流れである。

小規模事業者持続化補助金の申請は法人の設立、指定申請のスケジュールと密接に連動する。

介護・障害福祉事業設立開業をお考えの方のうち、小規模事業者持続化補助金の申請を予定される場合は、当事務所の無料開業相談のご利用をお勧めする。

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【この記事の執筆・監修者】

井ノ上 剛(いのうえ ごう)
※ご契約がない段階での記事に関するご質問には応対できかねます。
 ご了承お願い致します。

◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
奈良県橿原市議会議員
◆介護福祉士実務者研修修了
タスクマン合同法務事務所 代表
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