介護事業所が助成金申請のために日頃から気を付けたいこと
このコラムを読むと分かること(3分で読めます)
・介護事業所が助成金を申請するための前提要件がわかる
・不正受給とされた場合のペナルティがわかる
・助成金申請をする時に備えて、介護事業所が日頃から気を付けておきたいことがわかる
助成金は、労働環境の改善等を行った企業の努力に報いて支給されるものだが、申請要件が多く、不正受給とされた場合のペナルティも厳しい。このコラムでは、申請のために日頃から気を付けておきたいことを解説する。
コラムの目次
①厚労省助成金の種類
②介護事業所が助成金申請を行うための前提要件
③不正受給を行った場合どうなるか?
④介護事業所が助成金申請のために日頃から気を付けておきたいこと
⑤まとめ
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①厚労省助成金の種類
厚労省所管の助成金は、大きく分けて、雇用関係助成金と労働条件等関係助成金の2つ。
雇用関係助成金は、雇用の安定、職場環境の改善、仕事と家庭の両立支援、従業員の能力向上などを助成する目的の制度で、財源は雇用保険料(事業主負担分)で賄われている。
労働条件等関係助成金は、職場環境の改善、生産性向上に向けた取組などを助成するためのものである。介護事業として申請できる助成金はいくつもあるので、ぜひ確認いただきたい。
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②介護事業所が助成金申請を行うための前提要件
介護事業所等が助成金を申請するための基本要件は以下のとおり。助成金ごとに、さらに独自要件もあるので、実際の申請の際はそちらも確認いただきたい。
・雇用保険適用事業所の事業主であること
・支給のための審査に協力すること
・支給または不支給の決定のための審査に必要な書類等を整備・保管していること
・支給または不支給の決定のための審査に必要な書類等の提出を、管轄労働局等から求められた場合に応じること
・管轄労働局等の実地調査を受け入れること
・申請期間内に申請を行うこと
・不正受給による不支給決定又は支給決定の取り消しを受けた場合、当該不支給決定日又は支給決定取消日から5年を経過していない。なお、支給決定取消日から5年を経過した場合であっても、不正受給による請求金を納付していない事業主は、時効が完成している場合を除き、納付日まで申請できない。
・申請事業主の役員等に他の事業主の役員等として不正受給に関与した役員等がいないこと
・支給申請日の属する年度の前年度より前の労働保険料未納がないこと(支給申請日の翌日から起算して2か月以内に納付を行った事業主を除く)
・支給申請日の前日から起算して1年前の日から支給申請日の前日までの間に、労働関係法令の違反がないこと
・性風俗関連営業、接待を伴う飲食等営業またはこれら営業の一部を受託する営業を行う事業主でないこと
・事業主又は事業主の役員等が、暴力団と関わりのないこと
・事業主又は事業主の役員等が、破壊活動防止法第4条に規定する暴力主義的破壊活動を行った又は行う恐れのある団体に属していないこと
・支給申請日または支給決定日の時点で倒産していないこと
・不正受給が発覚した際に都道府県労働局等が実施する事業主名及び役員名(不正に関与した役員に限る)等の公表について、あらかじめ承諾していること
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③不正受給を行った場合どうなるか?
介護事業所等の事業主が不正受給を行った場合、以下のペナルティが課される。
(1)平成31年4月1日以降、新たに返還額の20%に相当する額が請求される。
(2)事業主名等が原則公表される
(3)5年間助成金を申請できない
社会保険労務士や弁護士が代理申請して不正受給を行った場合は、事業主とともにペナルティが課される。
(4)詐欺罪を問われる場合もある
過去に懲役1年6か月の判決を受けたケースもあり。
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④介護事業所が助成金申請を行うために日頃から気を付けておきたいこと
要件を満たしておかないと、いざ助成金を申請しようとした時に申請ができないことになる。ここでは、介護事業所等の事業主が特に気を付けておきたいことを紹介する。
・労働保険成立
介護事業所等でパートや登録スタッフ等、一人でも労働者を雇用した際には、労働保険の成立手続きが必要になる。労働保険未加入の事業所は依然として多い状況であるが、それらの事業所は助成金の申請ができないので、今からでも急ぎ手続きをしていただきたい。
・社会保険新規適用
社会保険の加入義務がある労働者を雇用している場合は、社会保険の新規適用届が必要である。介護事業所で多い登録スタッフでも、週30時間以上働いている場合は社会保険の加入義務があるので、ご注意いただきたい。
・タイムカード等の保存
タイムカードなどの勤怠実績の記録は、3年間保存することが義務付けられている。これらの記録も審査時に必要になるので、ぜひ日頃から気を付けていただきたい。
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④まとめ
このコラムで解説した助成金申請のために気を付けたいことのポイントは次のようになる。
・介護事業所等が助成金の申請を行うためには、労働保険料の納入等の前提要件を満たしている必要がある
・前提要件を満たさず受給をしてしまうと、あとで不正受給を問われる可能性がある
・不正受給を問われると、返還額の20%の支払いや、以降5年間助成金の申請ができないなど、厳しいペナルティが課される
助成金はぜひ積極的に活用して頂きたい制度だが、不正受給には厳しいペナルティが課されるので、十分注意していただきたい。
【この記事の執筆・監修者】
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※ご契約がない段階での記事に関するご質問には応対できかねます。
ご了承お願い致します。
◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
◆奈良県橿原市議会議員
◆介護福祉士実務者研修修了
◆タスクマン合同法務事務所 代表
〒542-0066 大阪市中央区瓦屋町3-7-3イースマイルビル
(電話)0120-60-60-60
06-7739-2538
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