このコラムを3分読めば理解できること

・平成29年4月就労継続支援A型の指定基準の変更が理解できる
・就労継続支援A型の新規指定時に必要な事業計画(収支計画)が理解できる
・就労継続支援A型事業所に対する実地指導の仕組みが理解できる

障害者を雇用契約で受け入れる福祉サービス、就労継続支援A型。このコラムでは就労継続支援A型の新規指定開業の際に提出が求められる事業計画(収支計画)の作成について、障害者総合支援法の専門家である社会保険労務士、行政書士が詳しく解説する。

このコラムの目次

①就労継続支援A型とは?
②就労継続支援A型事業の指定基準が厳しくなった背景
③新規指定開業の際の事業計画(収支計画)の仕組み
④就労継続支援A型に対する実地指導
⑤このコラムのまとめ

障害者就労支援事業の会社設立オールインワンパッケージ

①就労継続支援A型とは?

就労継続支援A型は、一般就労が困難な障害者を雇用契約で雇い入れ、就労をサポートする福祉サービスだ。事業所は行政庁から営業許可(指定)を得る必要があり、利用者は在住自治体から利用決定を受ける必要がある。

他の障害福祉サービスと異なり、原則として雇用契約の締結が必要となるため、利用者(障害者)は当然に最低賃金、労働時間をはじめとする労働社会保険法令の適用を受ける。

②就労継続支援A型事業の指定基準が厳しくなった背景

A型事業所の本来のあり方

就労継続支援A型事業の利用者賃金については、基準省令第192条で次の通り規定されている。

《基準省令第192条第2項(意訳)》
就労継続支援A型事業者は、生産活動に係る事業の収入から必要経費を差し引いた額(利益)が、利用者に支払う賃金総額以上となるようにしなければならない。

つまり福祉作業所たるA型事業所で稼ぎ出す利益によって、利用者(障害者)に賃金を支払わねばならない、との当然の規定である。しかしこの規定を守られない事例が頻発していたのである。

指摘された違反事例

基準省令192条第2項を、記号で表すと以下の通りとなる。

(ア)作業所の利益 > (イ)利用者(障害者)の賃金

ここで言う(ア)を算出するにおいては、

行政庁から支給される福祉サービス費(+)
支援職員の賃金(-)

を計算に入れない。つまり利用者(障害者)の生産活動で稼ぎ出す純粋な利益のみによって利用者(障害者)の賃金を工面しなければならないとの趣旨だ。

違反事例では

行政庁から支給される福祉サービス費(+)
支援職員の賃金(-)

を(ア)に加えた結果により、(イ)を支払っていた。

このような違反事例では、作業所本来の仕事では利益がほとんど上がらず、利用者(障害者)は生産性の乏しい作業に終始していたのである。平成29年4月の指定基準厳格化の目的は、これらの違反事例を排除することにある。

③新規指定開業の際の事業計画(収支計画)の仕組み

平成29年4月以降に新規に指定を受けて開業する就労継続支援A型事業所においては、指定申請の際に、

(ア)作業所の利益 > (イ)利用者(障害者)の賃金

を示す事業計画書の提出が義務付けられた。

自治体により対応方針は若干異なるが、多くは指定申請の前段階に置かれる「事前協議」の段階で、事業計画書の提出を義務付けている。

さらに事業計画書がお手盛り(架空)ではないことを証明するために、売上先(委託元)との契約書案の提出を義務付ける自治体が多い。

以下、事業計画書作成の基本的な考え方をお示しする。

《事業計画書の仕組み① 売上計算根拠》
S製品の製造に2時間かかり、売値は5,000円
→ 1日6時間通所で 5,000円×3個=15,000円
→ 平均10名、20日通所で 15,000円×10名×20日=300万円
→ 12月換算で 300万円×12カ月=3600万円・・・・A
(年間販売 5,000円×7,200個以上の契約書が必要)

《事業計画書の仕組み② 費用計算根拠》
S製品の原材料仕入高 1440万円(2,000円×7,200個)
家賃・水道光熱費   360万円(30万円×12カ月)
消耗品その他     120万円(10万円×12カ月)
合計 1920万円・・・・B

A-B=1680万円・・・C

《事業計画書の仕組み③ 利用者賃金計算根拠》
日給平均6000円×10名×20日×12月=1440万円・・・D

C 1680万円 > D 1440万円 

となり事業計画書が指定基準を満たすことになる。

④就労継続支援A型に対する実地指導

以上の通り、就労継続支援A型では指定申請の段階で事業計画の提出を求められるため、指定(開業)から半年後を目途に実地指導が行われ、生産活動が事業計画に沿った内容であるかどうかの確認がなされる。

ここで指定基準に違反する場合は、勧告・命令・指定停止・指定取消の措置がなされる。

しかしながら、開業当初は初期費用の多大な負担のため、計画を下回る財務状況に陥ることも考えられることから、今後収益改善が確実だと認められる場合には、経営改善計画書を作成し、1年間の猶予期間が設定される場合がある。

当然その1年後には再度実態調査が行われることに留意しよう。

⑤このコラムのまとめ

以上が就労継続支援A型 新規指定開業の際の事業計画(収支計画)の作成のポイントである。

他の福祉サービスと異なり、事業計画の内容によっては、行政庁から指定拒否される可能性がある点を理解しておこう。さらに指定申請を受けた場合でも、厳しい実態調査が続く点にも留意しよう。

就労継続支援A型の設立開業をお考えの際、または事業計画策定でお困りの際は、当事務所の無料相談のご利用をお勧めする。

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