介護事業、障害者福祉施設の立ち上げ資金|日本政策金融公庫の創業融資を使って自己資金(資本金)50万円で開業

このコラムでは訪問介護、訪問看護等の訪問型介護事業の立ち上げ資金、デイサービス、障害者施設等の通所型福祉施設立ち上げ資金について解説します。介護・障害福祉事業の開業にどれだけの費用がかかるのか?自己資金はいくら必要か?日本政策金融公庫から融資を受ける方法は?創業計画書の作成方法は?これらの問いに詳しく回答します。

☑このコラムの信頼性について

介護・障害福祉事業の開業を専門的に支援しているタスクマン合同法務事務所では、令和3年4月に、累積の開業支援実績が400社を越えました。うち8割のお客様からは事業立ち上げ時の開業資金についても同時サポートしています。つまりこれまで300社を超えるお客様の開業資金相談に応じてきました。日本政策金融公庫の創業融資支援も、毎月3社のペースでお手伝いしています。コラムの内容は介護・障害福祉分野の立ち上げ資金についての最新情報です。

☑コラムの推奨対象者

〇訪問介護、訪問看護に代表される、訪問型の介護事業を立ち上げようと考えている方
〇デイサービス、障害者福祉施設などの、通所型の介護障害福祉事業を立ち上げようと考えている方
〇独立、開業にあたって、資金面の経営ノウハウを高めたいと考えている方

長文コラムですので、あなたの知りたい項目にジャンプするのも懸命なご判断です (^^♪

それでは早速始めていきます。

介護・障害福祉事業の立ち上げに必要となる資金

このコラムでは、事業の立ち上げに必要となる資金ことを「開業必要資金」と呼ぶことにします。「開業必要資金」は次の計算式で表します。

「開業必要資金」=「設立費用」+「運転資金3カ月分」

設立費用とは開業までに必要なお金、運転資金は開業後に必要なお金のことです。

それぞれの詳細解説は後半に行うとして、ここでは「開業必要資金」のことを、「介護・障害福祉事業が軌道に乗るまでにかかる全てのお金」のことだと考えて下さい。さらに「開業必要資金」を調達面に着目すると、次の計算式でも表すこともできます。

「開業必要資金」=「自己資金(資本金)」+「借入金」

ここでいう「借入金」は親族や知人からの場合もありますし、金融機関の場合もあります。日本政策金融公庫の創業融資は、このコラムの後半で解説します。

とういことで、ここまでの内容をまとめると次のようになります。

「開業必要資金」
=「設立費用」+「運転資金3カ月分」
=「自己資金(資本金)」+「借入金」

つまり、

事業が軌道に乗るまでにかかる全てのお金を計算し、それを自己資金(資本金)と借入金であらかじめ計画するということが重要となります。キーワードは「あらかじめ」。介護・障害福祉事業の準備段階から、「開業必要資金」をしっかりと計算し、それをどうやって準備するかを事前に検討しなければならないということです。

☑ここがポイント

開業必要資金の計算方法について、=(イコール)で結ばれる関係を正しく理解しましょう。

訪問介護を例に開業必要資金の計算

それでは実際に、訪問介護の例を使って「開業必要資金」の具体的な計算方法を確認していきましょう。

設立費用(50万円)

初めに考えるのは「設立費用」です。

「開業必要資金」=「設立費用」+「運転資金3カ月分」の太字部分です。

設立費用とは「開業(事業開始)までにかかるお金」のことです。金額と例を挙げてみます。

〇事務所契約金 15万円
〇設立登記印紙 6万円(合同会社場合)
〇事務用品費ほか 29万円(机・棚)
〇合計 50万円

事務所(事業所)の選定によっては多少の変動があると思いますが、当社でご支援している訪問介護事業の開業では、設立費用つまり「開業(事業開始)までにかかるお金」は大体50万~100万円前後が相場です。

運転資金3カ月分(250万円)

次に考えるのは「運転資金」です。

「開業必要資金」=「設立費用」+「運転資金3カ月分」の太字部分です。

運転資金とは「毎月の固定費」のことです。一般事業では商品仕入れのための費用(在庫費用)を含めますが、介護・障害福祉事業では商品仕入れが生じないので、単純に「毎月の固定費」と考えて支障ありません。

これを3か月分計算します。「なぜ3か月分か?」というと、介護・障害福祉事業では開業月のサービス提供分の入金が、2カ月遅れて入ってくるためです。だから「3カ月間入金なしでも支払いができるように」という意味で3か月分の運転資金を計画に入れます。

ちなみに日本政策金融公庫で創業融資を申し込む際にも、創業計画書には3か月分を限度に運転資金を計算に入れることになりますが、詳細は後半でご説明します。

固定費の例は次の通りです。

〇家賃 5万円×3カ月=15万円
人件費 60万円×3カ月=180万円
〇社会保険料 10万円×3カ月=30万円
〇その他 3カ月分=25万円
〇合計 250万円

大半を占めるのが人件費であることがお分かり頂けたと思います。結果として、

「開業必要資金」
=「設立費用(50万円)」 + 「運転資金3カ月分(250万円)」
=300万円

となりました。ここまでの数字の内訳を変えれば、訪問介護事業以外でも「開業必要資金」を計算することができます。

資本金50万円で訪問介護を開業

ここでお示しした訪問介護の例で、300万円全額を自己資金で準備できるのなら資本金300万の会社を設立することになりますが、自己資金が300万円に足りない場合、金融機関から借入を起こす計画を立てることになります。

日本政策金融公庫の場合、「開業必要資金の10%以上の自己資金(資本金)があること」が融資条件とされているため、この例では「30万円の自己資金(資本金)が準備できていればよい」と考えがちですが、ここで「公庫からの融資金はいつ入金されるのか」という問題が生じます。この問題を整理すると次のようになります。

〇訪問型事業 → 開業後
〇通所施設型事業 → 施設整備支払いの必要時期

つまり訪問型事業である訪問介護、訪問看護などでは、公庫からの融資金は開業後となるため、設立費用(50万円)の支出が先行します。よって、この部分に該当する50万円の自己資金(資本金)が必要となります。

「開業必要資金(300万円)」
=「設立費用(50万円)」+「運転資金3カ月分(250万円)」
=「自己資金(資本金):50万円」+「借入金:250万円

公庫には、運転資金に該当する250万円の融資申込を起こすことになります。

ということで、介護・障害福祉事業の開業に必要となる自己資金は、

〇開業必要資金の総額の10%以上 かつ 
〇訪問系事業の場合、設立費用(開業までにかかるお金)以上

となります。

ここまでお読みいただければ、融資申し込みの際は「いくら借りれるか?」から考えをスタートするのではなく「全体で必要となる額のうち、いくら自分で出せるか?」という考えからスタートする、という点がご理解いただけたと思います。

☑ここがポイント

開業必要資金の10%以上、かつ訪問系事業の場合、設立費用(開業までにかかるお金)以上の自己資金(資本金)を準備しましょう。残り金額が融資申込の対象です。「私はいくら借りれるか?」という考えからのスタートではない点に注意。

日本政策金融公庫の創業融資

日本政策金融公庫とは

日本政策金融公庫の創業融資の本題に入る前に、「日本政策金融公庫とはどんな金融機関か?」について、簡単に説明しておきたいと思います。

日本政策金融公庫は、財務省所管の特殊法人であり、広く国民一般の資金支援を行う金融機関です。以前は国民生活金融公庫(国金・こっきん)と呼ばれて親しまれていましたが、2008年に複数の政府系金融機関が統合され、現在の呼び方になりました。一般的には公庫(こうこ)の略称で呼ばれています。

いずれにせよ、公庫は民間の金融機関よりも低い金利で、かつ無担保無保証制度で、国民一般の資金支援を行う金融機関であることには変わりなく、介護・障害福祉事業の立ち上げ時の融資利用では必須の金融機関であると言えます
>>日本政策金融公庫の公式サイト

日本政策金融公庫で創業融資を申し込むための条件

民間の金融機関よりも低い金利で、かつ無担保無保証でも借り入れることが出来る公庫ですが、誰でも無条件に借入をすることができるか、というと決してそうではありません。

公庫の審査条件については、明確な公表資料が存在しませんが、当社がこれまで開業支援してきた経験から言うと、大きく次の5項目になります。いずれも代表になる方について問われます。

①開業する分野での勤務年数(概ね6年程度)
②現在の借り入れと収入状況
③過去の個人信用情報(自己破産や返済遅れがないか)
④自己資金の出どころ(資本金が本当に自分の財産か)
⑤創業計画

このうち、①~④については過去の問題です。つまり直近5~10年間どのような人生を歩んできたかという点が審査の対象にリアルに反映されるわけです。

言い換えると、介護・障害福祉事業に限らず、公庫の創業融資を活用して起業する場合は、開業する分野で経験を積み、収入と支出のバランスを考えた私生活を送り、クレジットカードや借入は返済日にきちんと支払い、十分な自己資金を貯蓄する、という一見当たり前のように見える行動が、審査上大きなポイントになるのです。

一方の、⑤創業計画だけは未来の話です。次の項目以下で詳しくご説明します。

☑ここがポイント

公庫審査項目の大半はあなたの過去。つまりお金の面での堅実さが問われます。

日本政策金融公庫の創業計画書の書き方

日本政策金融公庫で創業融資を申し込む場合、「創業計画書」の作成と提出が必須となります。コラム後半では、公庫の創業計画書の書き方に焦点を絞ってご説明していきます。

日本政策金融公庫の創業計画書はA3ヨコタイプのシンプルな構成になっています。過去にご相談をお受けした人の中に、膨大なパワーポイント資料で創業計画を作った方がいますが、枚数が多いだけでは価値がありません。

計画書を審査する公庫担当者の立場に立てば、やはりフォーマットであるA3シート内に納めるのが良いでしょう。
>>創業計画書は公庫公式サイトからダウンロードできます。

以下、具体的に創業計画書の記載方法を解説していきます。

【創業動機】には創業計画書の概要を

創業動機・経営者略歴の書き方

創業計画書の左上の項目「1.創業の動機」と「2.経営者の略歴等」の記載を読めば、30秒でこの創業計画書に価値があるのか無いのかを判断することができます。これを広告の分野では「アイキャッチ(目線が最初に行く場所)」と言います。

それだけ、この「1.創業の動機」と「2.経営者の略歴等」は重要な部分なのです。

「あなたの創業動機は何?」と問われたら何と答えますか?

〇困っている人を助けたいと思った
〇5年前にたまたま、***のような出来事があった
〇自分の経験を活かせると思った

このような抽象的な内容は絶対的にNGです。

審査担当者が一目見て、「見込みのある人物、創業計画書」と思わせる内容にしなければいけません。

ここは文字通り「1.創業の動機」を書く場所ではありますが、必ずしも「創業を思い立った理由」にこだわる必要はありません。「審査担当者に最もPRしたい内容」を主役に、そして「創業を思い立った理由」は脇役にしても大丈夫です。

仮に当社自身が公庫で創業融資を申し込むなら、代表である私(井ノ上)を軸に、次のような例文にします。

【当社ー法務事務所の創業計画の記載例】
10年間の法務事務所勤務後、7年間700名規模の会社で法務担当役員として勤務しました。その間将来の独立のために社会保険労務士、行政書士資格を取得。自分の経験知識を、これから事業を起こす方のために役立てたいと考え、勤務先の経営者の全面的な支援を得て、自ら法務事務所の創業を決意しました。

☑創業動機の例文 ここがポイント

〇「創業を思い立った理由」には軽くだけ触れている
〇 十分な計画の元に創業するのだ、ということが分かる
〇「勤務先の支援を得て創業」で社交性、信頼性をPR

少しポイントがご理解頂けましたか?

【経営者略歴】は事業との関連性を重視

次に、「2.経営者の略歴等」について検討します。この部分は、当然ながら詐称はNGですが、出来得る限り事業と関連のあるポイントに重点を置いて記載しましょう。

ポイントとしては「1.創業の動機」で記載した内容を補完するために、時系列で詳しく記載することです。事業に必須となる資格、経験をクローズアップしましょう。

【当社ー法務事務所の創業計画の記載例】
19**年 **大学法学部卒業(専攻は労働法、民法、会社法)
19**年 **法律事務所(担当法人20社に対する法務、労務の顧問サポート)
19**年 国家資格***を取得
20**年 株式会社***(法務担当役員として社内の労務、対外法務を担当)
20**年 同社退職

☑経営者略歴の例文 ここがポイント

〇大学では他にも学んでいるが、事業に関連する項目をピックアップ
〇勤務先では他にも経験しているが、事業に関連する項目をピックアップ
〇事業に関係する国家資格の取得もPR

安易に考えれば、だれでも書ける創業計画書の左上の項目「1.創業の動機」と「2.経営者の略歴等」ですが、視点を変えるだけでその効果は大きく変わります。

ただ単に「なぜ創業しようと思ったか」や「自分の履歴書の要約版」を記載するだけでは効果が半減します。この点を十分に考慮して、記載内容を工夫しましょう。

【取扱商品・サービス】ではマーケティング要素が問われる

取扱商品・サービス

3.取扱商品・サービス」に入る前に、経営学におけるマーケティングについて触れておきます。経営学でマーケティングを考えるうえでは、重要な項目の頭文字である4つのPを検討します。

販売経路(LACE)・・・どういうルートで成約するか
販売価格(RICE)・・・いくらで販売するか
販売促進(ROMOTION)・・・どういう販促活動をするか
販売する対象(RODUCT)・・・何を販売するか

(介護・障害福祉事業では販売価格(PRICE)は国が決定するためここでは考慮不要です)

介護・障害福祉事業の開業でも4つのPを意識しながら、さりげなく創業計画書に盛り込むことで、審査担当者に対して「勉強家」との好印象を与える可能性があります。

それでは創業計画書の「3.取扱商品・サービスの内容」の具体的得説明に移ります。

●取扱商品・サービスの内容

ここでは4つのPの「販売する対象(PRODUCT)」の専門性の観点を盛り込みます。大企業でもない、中小企業ですらない、超零細状態であるあなたの創業計画が輝きを放つのは、唯一「販売する対象(PRODUCT)」の専門性によります。他業種との比較を用いて説明すると、次のようになります。

〇整骨院 → ひざ専門の整骨院
〇法務事務所 → 介護・障害福祉事業の開業支援専門の法務事務所
〇訪問介護 → 重度障害者専門の訪問介護

先に記載した「1.創業の動機」と「2.経営者の略歴等」で記載したあなたの強みを、あなたの「販売する対象(PRODUCT)」の専門性と連動させましょう。

●セールスポイント

次に「セールスポイント」の書き方について解説します。ここでは「自社の商品・サービスがいかに他社に対して優れているか」を書きたいところだが、具体性に欠けると信ぴょう性は低くなります。例えば

〇他社よりも親切丁寧な訪問介護サービスを心がけます

等と記載したところで全く具体性がないため、評価されません。

そこで、この「セールスポイント」では、「既に自社の商品・サービスを買うと約束してくれている顧客が複数ある」という点に着目して記載しましょう。

セールスポイントを自ら語るより、外部の評価で示す方が信頼性があるからです。

【当社ー法務事務所の創業計画の記載例】
現状付き合いのある3社が、私の介護・障害福祉事業支援の専門性を高く評価して下さっており、開業後に顧客の紹介を約束してくれている。その他知人税理士、司法書士がそれぞれ顧客の相互紹介の提携を約束してくれており、開業時に概ね5社の成約が内定している。

●販売ターゲット・販売戦略

続いて、販売ターゲット・販売戦略について解説します。先ほどご説明したマーケティング4つのPでの、

販売経路(LACE)・・・どういうルートで成約するか
販売促進(ROMOTION)・・・どういう販促活動をするか

が関連項目となります。

ここでは「インターネット広告で集客」や「SNSで拡散」等という安易な手法での記載は避け、これまで記載した流れを受け継ぎ、すでに「周囲の紹介」により販売先が確定していることを中心に記載しましょう。

【当社ー法務事務所の創業計画の記載例】
介護・障害福祉事業での開業予定者または介護・障害福祉事業をすでに運営している法人をターゲットとし、当初は広告宣伝費を抑えるため、知人経営者、顧客法人を中心に「紹介」に軸を置いた販売戦略とする。「紹介」を軸にするために、事業の専門性を磨きサービス品質の改善を繰り返し行う。一定の財務基盤が出来てからはインターネット等を活用した広告宣伝を行う。

●競合・市場など企業を取り巻く状況

最後に「競合・市場など企業を取り巻く環境」について説明します。ここではあなたの事業が時代のトレンドに合っているというだけではなく、事業所の立地自体、ライバルとの競合を避けているという点をPRしましょう。

【当社ー法務事務所の創業計画の記載例】
私がこの業界に従事し始めた19**年当時は、介護・障害福祉事業の支援を専門に行う法務事務所はほとんど存在しなかった。しかし介護保険法が施行されて20年を経過した現在、介護・障害福祉業界では小規模事業所が増加し、それらを法的観点から支援すべきニーズが急速に高まっている。このように介護・障害福祉事業の支援を専門的に取り扱う法務事務所が強く求められる市場環境であると言えるが、〇〇市内にこれらを専門として標榜している法務事務所は合計3社しかない

☑ここがポイント

3.取扱商品・サービス」では小規模事業ならではの専門性、ターゲットの絞り込みに着目して記載しましょう。その際マーケティングの4つのPをお忘れなく。販売経路(LACE)、販売価格(RICE)、販売促進(ROMOTION)、販売する対象(RODUCT)

【取引先・取引関係など】では締日と回収日、支払日に注意

4.取引先・取引関係先」では売上の回収予定と支払いの条件ついて詳しく記載しましょう。初めて事業を起こす方にとって、あまりピンとこない内容かもしれませんが、介護・障害福祉事業では売上入金が2か月遅れとなるため、資金計画上で非常に大きな問題となります。

訪問介護事業を例にとれば、次のような記載となります。

【販売先】〇〇県 国民健康保険連合会
【回収日】月末締 翌々月25日回収

【人件費】月末締 翌月28日支払い

☑ここがポイント

給与支払日の前に売上回収日が来るようにすれば、資金繰りが多少楽になります。(介護・障害福祉事業ではどうしても1カ月のズレが生じることは避けられませんが)

【従業員】の欄

公庫創業融資(従業員の数)

5.従業員」の欄では、

〇役員報酬の発生する常勤役員数
〇3カ月以上継続雇用予定の従業員数
〇従業員のうち家族・パート人数

以上を記載します。この人数は「7.必要な資金と調達方法」、「8.事業の見通し」にも影響するため、正確に見積もって記載しましょう。

【お借入の状況】は包み隠さず正直に記載しよう

お借入の状況の書き方2

申込人である、あなたの借入状況、過去の返済上の遅延情報は、次の信用情報機関に登録され、各金融機関の間で共有されています。

・株式会社 シー・アイ・シー
・全国銀行個人信用情報センター
・株式会社 日本信用情報機構

●お借入先名

公庫の審査担当者は、これらの情報機関に対して、あなたの個人情報照会をかけることができます。つまり「6.お借入の状況」には嘘偽りなく正直な情報を記載するしかないわけです。

毎月決済のクレジットカードの利用残高までは記載の必要性はありませんが、キャシングローン、リボ払い残高が30万円を超える場合などは、正直に記載した方が良いと言えます。

●お使いみち

「お使いみち」の欄では、借入の状況について、事業、住宅、車、教育、カード、その他の種別に分けて記載されていいます。さりげなく並べられてはいますが、現実的には次の評価となります。

◎ 住宅(不動産担保により資産と負債が均衡しているため)
〇 車、教育(生活に必要不可欠な借入であるため)
△ 事業(事業の借入返済が出来ていない状態で新たな融資となるため)
× キャッシングローン、消費者金融(浪費傾向の強い人物像とみられるため)

●お借入残高

キャッシングローン、消費者金融での借り入れがある状態では、その残高がごく僅少(例えば30万円以下)である場合や、借入残高以上の十分な貯蓄がある場合を除いて、日本政策金融公庫の借入は困難となります。

キャッシングローン、消費者金融での借入残高がある場合には、先に自己資金または親族からの贈与等により、一括返済をしておくことをお勧めします。

●年間返済額

最も注意したい点は、現在の借入に対する年間返済額の合計です。

年間返済額 > あなたの今後の役員報酬予定額

となっていれば、事業開始後に返済可能との理論となりますが、そうでない場合は現状の借入さえも、返済できないということになるためです。

☑ここがポイント

キャッシングローン、消費者金融での借入がある場合、完済できるなら早めの対処を。また事業開始後のあなたの役員報酬が、現状の年間返済額を上回っているかどうかも要チェックです。

【必要資金と調達方法】の表の意味

必要資金と調達方法の書き方2

7.必要な資金と調達方法」は公庫創業計画書の核心部分です。項目ごとに分けて詳しく解説します。

●大項目の理解から

まずは上の表を良く確認しましょう。左側に「必要な資金」右側に「調達の方法」を記載することが分かります。そして左右それぞれの一番下の行に、「合計」記載欄があります。この「合計」の金額が、左右一致する必要があります。

●左側【必要な資金】の理解

左側の「必要な資金」は設備資金運転資金から成り立っていることが分かります。このコラムの冒頭で説明した、

「開業必要資金」=「設立費用」+「運転資金3カ月分」

と同じ考え方です。この考え方が理解できていない方はもう一度該当箇所を参照してください。
>>コラムの該当箇所に戻る

先にお示しした事例通り、この部分の合計を300万円とします。内訳は以下の通りです。

設備資金(設立費用)
〇事務所契約金 15万円
〇設立登記印紙 6万円(合同会社場合)
〇事務用品費ほか 29万円(机・棚)
〇合計 50万円

運転資金(3カ月分)
〇家賃 5万円×3カ月=15万円
人件費 60万円×3カ月=180万円
〇社会保険料 10万円×3カ月=30万円
〇その他 3カ月分=25万円
〇合計 250万円

●右側【調達の方法】

この300万円をどうやって調達するのかが、右側(調達の方法)です。右側には、自己資金、親族知人からの借入、公庫からの借入、他金融機関からの借入と続きます。このコラムでは次のように説明したことを思い出して下さい。

「開業必要資金」=「自己資金(資本金)」+「借入金」

▼自己資金

文字通り自己資金です。法人の場合は資本金に加えて、事業に一時的に投下でき得る自分自身の貯蓄額を指します。審査申込までにすでに自己資金から設備資金、運転資金を支出している場合には、その領収書の提出により自己資金が存在したことを証明することも可能です。

日本政策金融公庫の創業融資では、自己資金の出どころ(資本金が本当に自分の財産か)の審査は厳しく行われます。以下を参考にしてください。

〇 法人の資本金(法人通帳とその元になった個人通帳を提出)
〇 自分名義の預金通帳での累積の貯蓄高(過去の勤務等による正当な貯蓄に限る)
△ 親族からの贈与(必ず贈与契約書を添付)
× 親族、他人からの寄せ集め、いわゆるタンス預金

自己資金は通帳の記録を元に審査されます。どのような経緯でその自己資金が貯蓄されたか、通帳の現物を提示して、公庫審査担当者に丁寧に説明していく必要があります。

▼親、兄弟、知人、友人等からの借入

あれば記載すべきします。その際は必ず金銭消費貸借契約書を提出しましょう。この分公庫への借入申込額を低く抑えることができ、融資審査は有利に働きます。

▼他の金融機関からの借入

日本政策金融公庫と並行で借入申込している先があれば記載しましょう。ちなみに審査は並行して進むことになります。

▼日本政策金融公庫からの借入

これがつまり、今回の借入申込額です。借入申込書の記載金額と一致します。借入申込書はA4様式であり、本人の個人情報を中心に記載します。
>>借入申込書のダウンロードはこちら

公庫の創業融資では、開業必要資金に対して、自己資金(資本金)10%以上が要件とされていますが、訪問系事業の場合は開業までにかかるお金は自己資金(資本金)でカバーする必要があるため、前半の事例の通り、

自己資金(資本金)=50万円
日本政策金融公庫からの借入金=250万円

とします。

☑ここがポイント

〇設備資金は開業日までにかかるお金。見積書や領収書の提出が必要です。
〇運転資金は3カ月分。人件費と家賃を中心に正確に予測しましょう。
〇10%以上の自己資金(資本金)を準備し、残額を借入申込しましょう。

【事業の見通し】いつのことを記載すれば?

事業の見通し2

いよいよ創業計画書も大詰めの「8.事業の見通し」です。この項目はこれまで記載した創業計画書の集大成となります。1~7の項目ともリンクしている内容も多々あるので、論理矛盾を起こさないように注意して下さい。

「8.事業の見通し」で最初に目につくのが、縦2列方式の「創業当初」と「1年後又は軌道に乗った後」の項目です。「創業当初」とはいつまでのことで、「軌道に乗った後」とはいつ頃のことを書けばよいかを解説します。

●創業当初

創業当初とは売掛金が1回転する程度の期間、つまり介護・障害福祉事業の場合、創業から3カ月目を記載すればよいでしょう。この時期でも、後で述べる「利益」の行は黒字であることが望ましいと言えます。

単なる数字合わせで黒字を導き出すのではなく、必ず事前に十分な対策を練って、創業3カ月で多少なりとも黒字化できる体質を目指しましょう。

●軌道に乗った後

概ね、創業から半年~1年半程度後の時期を記載しましょう。決して2年後や3年後等という、漠然とした未来を記載しないようにして下さい。

●利益

この部分から公庫への返済を行うことになります。仮に250万円を5年返済(60回)する場合には、利息を含め毎月約45,000円の返済が必要です。とういことは、この部分が少なくとも45,000円以上になっている必要があります。

●右側の計算根拠の書き方

ここからは各行の書き方と計算根拠について見ていきます。右側の空白ゾーンに計算根拠を示す必要があるため、次の例を参考にして記載して下さい。

●売上高の計算根拠
≪創業当初≫
利用者20人 × 平均単価4000円 × 回数12回 = 96万円
≪軌道に乗った後≫
利用者50人 × 平均単価4000円 × 回数12回 = 240万円

●人件費の計算根拠
≪創業当初≫
人数2.5名 × 平均給与20万 × 1.2 = 60万
≪軌道に乗った後≫
人数5名 × 平均給与22万 × 1.2 = 132万
※「1.2」をかけることで、会社負担の社会保険料と通勤手当を考慮しています。

その他の注意点として、「支払利息」の計算も忘れずに行いましょう。通常は利息支払いが月1万円を超えることはないため、「1万円」で大丈夫です。

「その他」の欄には、毎月の水道光熱費、消耗品費、リース料などを見積もって記載します。

☑ここがポイント

8.事業の見通し」の計算根拠は、「5.従業員」、「7.必要な資金と調達方法」とリンクします。論理矛盾を起こさないように注意しましょう。

このコラムのまとめ

当コラムでは経験則に基づき、介護・障害福祉事業を開業する場合の必要資金と、日本政策金融公庫の創業計画書について、可能な限り情報提供したつもりです。このコラムをしっかり読めば、あなたも自分で創業計画書が書けます。

しかし開業計画や創業計画書記載に一抹の不安がある場合は、ご遠慮なく当社にご相談ください。

あなたの事業が成功裏にスタートできることを心よりお祈りしています。

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