キャリアアップ助成金(短時間労働者労働時間延長支援コース)|社会保険適用時処遇改善コースとの違い、助成金の支給条件、2年目の上乗せ措置

キャリアアップ助成金(短時間労働者労働時間延長支援コース)|社会保険適用時処遇改善コースとの違い、助成金の支給条件、2年目の上乗せ措置
井ノ上剛(社労士・行政書士)

タスクマン合同法務事務所がお送りする福祉起業塾です。「年収の壁」を超えて働く短時間労働者が、社会保険加入する場合の助成金を活用されていますでしょうか。今回のコラムではキャリアアップ助成金(短時間労働者労働時間延長支援コース)をテーマに取り上げ、社会保険適用時処遇改善コースとの違い、助成金の支給条件、2年目の上乗せ措置について詳しく解説します。

このコラム推奨対象者

・会社経営者の方
・事業所の管理者の方
・社会保険適用時処遇改善コースとの違いについて理解したい方
・助成金の支給条件について理解したい方
・2年目の上乗せ措置について理解したい方

コラムの信頼性

タスクマン合同法務事務所は社労士・行政書士・司法書士・税理士が合同し、介護保険事業・障害福祉事業に専門特化してご対応しています。このコラムの執筆日時点、職員数86名、累積顧客数は北海道から沖縄まで940社、本社を含め10の営業拠点で運営しています。今回の福祉起業塾では【キャリアアップ助成金(短時間労働者労働時間延長支援コース)】をテーマに取り上げ、社会保険適用時処遇改善コースとの違い、助成金の支給条件、2年目の上乗せ措置について詳しく解説します。

キャリアアップ助成金「短時間労働者労働時間延長支援コース」の概要

はじめに、令和7年7月1日に新設されたキャリアアップ助成金の「短時間労働者労働時間延長支援コース」の概要について解説します。

この新コースは、いわゆる「130万円の壁」などの年収の壁対策として、短時間労働者の社会保険加入を促進しつつ、労働時間を延長することで、手取りを減らさずに収入増を実現することを目的としています。

これまで実施されてきた「社会保険適用時処遇改善コース」が、令和8年3月末までの時限措置であるのに対し、この新コースは、その後の恒久的な受け皿として位置づけられています。

労働者にとっては「壁」を気にせず働ける環境が整い、事業主にとっては労働時間の延長による「人手不足の解消」につながる制度であると言えます。

「社会保険適用時処遇改善コース」との違い

続いて、これまでの「社会保険適用時処遇改善コース」との違いについて解説します。

旧コースでは、社会保険適用促進手当の支給のみでも助成対象となりましたが、新コースでは、あくまで「労働時間の延長」が必須要件となっています。これは、単なる保険料負担の軽減にとどまらず、労働時間そのものを延長し、日本の労働市場の課題である「労働力不足」に根本から向き合うという、国の政策意図の表れと言えます。

なお、現在旧コースの計画を提出している事業所であっても、要件を満たせば、計画の再提出なしで新コースへの切り替え申請が可能ですので、ご自身の事業所の状況にあわせてご検討ください。

受給要件と助成金額

次に、具体的な受給要件について解説します。

まず、事前準備として、対象となる労働者が社会保険に加入する「前日」までに、キャリアアップ計画書を労働局へ提出する必要があります。

01短時間労働者労働時間延長支援コース一覧表

そのうえで、1年目の取り組みとして、週所定労働時間を「5時間以上」延長することが基本となります。もし、5時間以上の延長が難しい場合でも、「4時間以上の延長に加えて基本給を5%以上増額する」、あるいは「3時間以上の延長に加えて基本給を10%以上増額する」といったように、労働時間の延長と賃上げを組み合わせることで要件を満たすことが可能です。

ご自身の事業所で、どの程度の延長が可能か、シミュレーションを行うことが重要です。

助成額は、企業の規模によって異なります。小規模企業の場合、1年目の取り組みで要件を満たすと、対象労働者1人あたり「50万円」が助成されます。これが中小企業の場合は40万円、大企業の場合は30万円となります。特に小規模な事業所においては、1人あたり50万円という金額は、労務管理のコストを補う上で非常に大きなメリットになると言えます。

なお、これらはあくまでコラム執筆時点の制度に基づく金額ですので、最新の情報には十分ご留意ください。

2年目の上乗せ措置

次に、2年目の上乗せ措置について解説します。この新コースの特徴として、複数年かけて段階的に労働条件を引き上げることが推奨されています。

02短時間労働者労働時間延長支援コース2年目の措置

具体的には、1年目の取り組みを行った後、2年目にさらに「週所定労働時間を2時間以上延長」したり、「基本給を5%以上増額または昇給・賞与・退職金制度いずれかの適用」により、追加の助成を受けることができます。

小規模企業の場合、この2年目の上乗せ分として「最大25万円」が支給されます。つまり、1年目の50万円と合わせて、1人あたり「最大75万円」の受給が可能となるわけです。一度に大幅な変更が難しい場合でも、2年計画で進めることで、無理なく受給額を最大化できる仕組みと言えます。

制度活用時の注意点

最後に、制度を活用する際の注意点について解説します。

最も重要な点は、キャリアアップ計画書の提出期限です。必ず「社会保険加入日の前日」までに提出しなければなりません。一日でも遅れると受給できませんのでご注意ください。

また、対象労働者は、社会保険加入日の6か月前から継続雇用されている必要があり、過去2年以内に同じ事業所で社会保険に加入していた者は対象外となります。加えて、事業主や取締役の「3親等以内の親族」も対象外とされています。

安易な受給を防ぐため、要件は厳格に設定されています。就業規則や雇用契約書の整備など、確実な実務対応が求められる点をご理解いただいた上で、計画的にご活用ください。

まとめ

今回の福祉起業塾ではキャリアアップ助成金(短時間労働者労働時間延長支援コース)をテーマに取り上げ、社会保険適用時処遇改善コースとの違い、助成金の支給条件、2年目の上乗せ措置について解説しました。

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【この記事の執筆・監修者】

井ノ上 剛(いのうえ ごう)
※ご契約がない段階での記事に関するご質問には応対できかねます。
 ご了承お願い致します。

◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
奈良県橿原市議会議員
◆介護福祉士実務者研修修了
タスクマン合同法務事務所 代表
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