就労継続支援A型|やってはいけないこと
就労継続支援A型事業所の廃業が増加している。平成29年8月23日の読売新聞によると、27年度の廃業数は141事業所で、前年対比で倍増しているという。
これから就労継続支援A型で起業する方には、是非当コラムを熟読して頂きたい。
1.就労継続支援A型の特徴
就労継続支援A型(以下A型作業所)は、障害を持つ方と雇用契約を結び、就労機会を提供する事業だ。就労を支援することにより、国から事業者に対して福祉サービス費が支給される。なお、就労は雇用契約に基づくため、労働基準法および最低賃金法が適用される。
本コラム執筆の翌月(平成29年10月)には最低賃金が改訂される。関西圏の最低賃金を紹介しよう。
《平成29年10月改訂最低賃金》
滋賀 813
京都 856
大阪 909
兵庫 844
奈良 786
和歌山 777
雇用の際にはくれぐれもこの金額を満たす必要があるため注意しよう。
(当事務所の就労継続支援設立サービスでは、労務管理サポートにも対応している)
2.急増するA型作業所
同記事によると、A型作業所が急増している。その陰には法律に違反した不正な経営をしている実態がある。新聞報道によると過去、次のような不正が水面下で行われていたようだ。
①障害者に毎日短時間、利益を生まない単調作業をさせ、福祉サービス費給付で儲ける
②サービスの利用期限(2~3年)が終わると自主退職を促し、障害者を入れ替える
③雇用契約の締結を逆手に取り、雇用助成金(最大240万円)を受給し、②同様、障害者を入れ替える
これらの手法をもくろみ、不当な利益を得ている事業者が急増したわけだが平成27年、厚生労働省はようやくこの実態を把握し、業界にメスを入れた。
これが元で障害者の大量解雇を生んだのだが、詳細は私の議員コラムで紹介している。
3.厚生労働省の通達を熟読しよう
厚生労働省の通達(障発0908第1号平成27年9月8日)では、先に紹介した①~③の手法について、不適切な事業運営の例として注意を促している。
加えて、雇用助成金(特開金)についても、そもそも試用期間(障害福祉分野ではアセスメントと呼ぶ)が伴うため、助成金の受給要件を満たさないと明言している。
以上を箇条書きにすると次のようになる。
①A型作業所では障害者の賃金は外部からの収益で賄わねばならない
②雇用助成金(特開金)は原則受給できない
③サービスの利用期限ごとでの不当、不自然な退職を認めない
是非これらの点に注意して頂き起業準備に取りかかっていただきたい。
4.まとめ
A型作業所は障害を持つ方々にとって、なくてはならない福祉サービスである。この分野で起業を志す方は、是非当事務所の専門的かつ適切な助言を受けていただきたい。
正しい理念に基づくA型作業所が増える事こそが、当事務所の願いなのである。
【この記事の執筆・監修者】
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※ご契約がない段階での記事に関するご質問には応対できかねます。
ご了承お願い致します。
◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
◆奈良県橿原市議会議員
◆介護福祉士実務者研修修了
◆タスクマン合同法務事務所 代表
〒542-0066 大阪市中央区瓦屋町3-7-3イースマイルビル
(電話)0120-60-60-60
06-7739-2538
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