■遺産分割協議前に相続人が土地の一部を売却!?

1.登記の公示力と公信力

不動産の登記について重要な内容を箇条書きでまとめます。

①売買をしたら誰が所有者かを公示(世間に示す)してくださいね
②不動産の公示は「登記」です
③でも登記官は書類審査しかできないので、その登記が真実かどうか保証しませんよ
④つまり登記を信じて取引しても保護されませんよ(登記に公信力なし)
⑤でも2人が同じ土俵で権利を争った場合は「登記したもの勝ち」としますよ

今回は「⑤登記したもの勝ち」の一例として、遺産分割協議前に登場する第三者について解説していきます。少し複雑です。

2.ケーススタディ~遺産分割協議前の不動産売却と登記

ケーススタディ

1.Aの相続人はBCD(ともに子)である。
2.分割協議が整わないため土地(甲)はいったん3名の共有登記とした。
3.Bは甲土地の持ち分(1/3)をXに売却した。
4.その後遺産分割協議が成立し、結局甲土地は全てCが相続することになった。

3.解説~遺産分割協議前の不動産売却と登記

このケースで甲土地の所有権について、CとXで争いが生じたとします。

民法の規定では次のようになっています。

民法909条
「遺産分割協議は、被相続人が死亡した時にさかのぼって効力を生じるが、(登記を備えた)Xの権利を害することはできない」

つまり、Bから持ち分の売却を受けたXが保護されるためには、「Xが自分名義の登記をしていること」が条件となります。

Xがまだ登記をしていないときは、CとXの間では「登記したもの勝ち」の状態になるわけです。

このような登記の事を「権利保護要件としての登記」と呼ぶことがあります。
似たようなケースをご紹介します。

■契約解除前の不動産売却と登記

1.ケーススタディ~契約解前の不動産売却と登記

ケーススタディ

EがFに土地を売却し、FはGに土地を売却した。
しかしFがEに代金を支払わない。
そこでEがFとの契約を解除した。

2.解説~契約解前の不動産売却と登記

このケースも同様に、すでにGが自分名義の登記をしているとき、土地はGのものです。

先のケースと同じく「権利保護要件としての登記」です。
(民法545条 大判大正10.5.17)

3.契約解除と遺産分割協議の共通点

契約解除の場合も、遺産分割協議の場合も以下の点で共通しているのです。

「契約解除」・・・「いったん成立した契約」が「解消(解除)」される

「分割協議」・・・「被相続人の死亡による仮の共同相続」 が 「分割講義により解消」する

という意味で言うと、

「遺産の中で、あなたの希望が特定の不動産の場合、速やかに分割協議をして自分名義にしておくのが安全」

という事が言えるのです。