介護障害福祉事業を開業する方向けの法定相続人講座③|相続人が先に死亡「代襲相続」
■死亡による代襲相続の仕組み
1.ケーススタディ~死亡による代襲相続
Aには子(B)が1人いる。
Bには子(C)が1人いる。
Bはすでに死亡している。
この状態でAが亡くなった。
2.解説~死亡による代襲相続
さて日本の伝統芸能の世界では、
「襲名(しゅうめい)」
という表現がされることがあります。
例えば、「○代目 ○川○右衛門 襲名披露」
というような具合です。
襲名の「襲」の字は、「おそう」という物騒な訓読みがありますが、襲(おそ)うには、
「①攻めかかる」の他に、
「②家、名を継ぐ」という意味があります。(大辞林より)
「代襲(だいしゅう)」
とは、「相続において1代継ぐ」という意味になるわけです。
ケーススタディでは、BがAよりも前に死亡しているため、
「CがBを継いで、Aの相続人」
になります。
3.代襲相続人の要件
ちなみに代襲相続人は、
①相続人の子であること
②被相続人の直系卑属(子孫)であること
2つを満たす事が要件とされています。(民法 887条)
よって、相続人(B)の配偶者には代襲する余地はありません。
■死亡以外の代襲原因
1.相続欠格による代襲相続
先ほどのケースは、「BがAより先に死亡している」という事例でした。
代襲相続は、相続人(B)の死亡以外にも起こります。
①相続人(B)が相続欠格者であるとき
「相続欠格」を一言でいうと、
「相続人に対してとんでもないことをして、国から権利を剥奪された人」
とお考えください。(例えば相続人を殺害、遺言書を破棄したなど)
2.ケーススタディ~相続欠格による代襲相続
BがAの遺言書を破棄した。
Bは相続欠格により、相続人の資格を失った。
Aが死亡した。
3.解説~相続欠格による代襲相続
このケースで、Bの子であるCに代襲相続権はあるのか?
というのが論点です。
民法887条2項では、Bの不法行為についてはCに落ち度がないため、
「Cに代襲相続させる」
としています。
4.廃除による代襲相続
廃除された相続人も、先ほどご説明した「欠格」と同じ結論です。
仮にBが相続人廃除されていたとしても、Bの子Cには落ち度がないため、Cは代襲相続人となります。
ちなみに、欠格・廃除と異なり、Bが
「相続権を放棄」
した場合には、Cに代襲相続権が発生しませんので注意が必要です。
5.どこまで代襲相続が続くのか?
人間に寿命がある限り、代襲相続が3代も4代も発生することは極めて稀です。
しかし、理論上は縦の代襲相続は何代でも起こりえます。(民法887条3項)
これに対して兄弟姉妹が相続人になるケースでは、代襲は1回限りです。
(つまり被相続人から見て、甥・姪までは代襲されるがその下には行かない)
【この記事の執筆・監修者】
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ご了承お願い致します。
◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
◆奈良県橿原市議会議員
◆介護福祉士実務者研修修了
◆タスクマン合同法務事務所 代表
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