介護障害福祉事業を開業する方向けの相続税講座⑤|不動産売買と消費税・印紙税

不動産売買と消費税・印紙税

■消費税の基本を学ぶ

1.消費税とは何か?

仮に私が友人に車を売るとします。
私「この車買わない?50万円でいいよ」
友「お、お買い得!買うよ。」

~後日~
友「はいこれ、約束の50万円ね」
私「あれ?4万円足りないよ」
友「何それ?」
私「消費税」

2.正しいのはどの回答?

①「法律で決まっているから仕方ないね。払うよ。」
②「税込で50万円だと思ってたよ。税込50万円にまけてよ。」
③「そもそも君、消費税の課税事業者じゃないでしょう?」

答えは③です。

ここでは消費税の課税事業者、課税取引について解説します。

3.どのような取引が消費税の課税対象か

消費税法4条では、

「国内において、事業者が事業として対価を得て行う・・・>課税取引」

とあります。

つまり、私は「中古車販売業者」ではないため、そもそもこの取引は消費税が課税されません。

4.不動産売買と消費税

不動産の取引に関して、消費税の判定は次のように考えます。

①売主が事業者でない場合、課税されない
②売主が事業者であっても、「その事業」に関わりの無い不動産は課税されない
(ただし売主が法人の場合はどのような場合でも事業者となります)
③土地は課税されない

つまり、個人事業を営まない個人が、自宅や別荘を売却しても消費税は課税されません。

■印紙税の基本を学ぶ

1.印紙税とは?

「収入印紙」をご覧になったことはありますか?

平成26年時点で、収入印紙は1円から10万円まで31種類あるそうです。

しかし実務でよく使用するのは、そのうち10種類くらいです。

「200円の収入印紙」

よく見かけますね。

印紙税法にある、
「売上5万円以上 100万円以下の領収書には200円の収入印紙」

これに該当している訳です。

一定の取引に該当する場合、それに応じた印紙税を、収入印紙を貼ることで納税する必要があります。(例外もあります)

国税庁ホームページ
https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/inshi/pdf/zeigaku_ichiran.pdf

2.誰が貼る(納める)のか? 貼らなかった時の罰則は?

その書類を作った人が貼ります。

契約書の場合は当事者全員が納付義務者になります。

収入印紙を書類に貼り、消印を押します。

印紙の再利用を防ぐ目的で、消印が義務付けられている訳です。

3.税務署は印紙税の納付を調べる?

そこで、普通に起こる疑問。

「印紙なんて貼らなくても、だれも見てないでしょう?」

その通りです。

税務署に対して、

「どの書類に、いくらの印紙を貼りました」

という申告制度が基本的には無いため、大半の課税文書(印紙税をはるべき書類)は、税務署員の目に留まることはありません。

しかし!

取引案件に対して税務調査が行われたときは話が別です。

4.印紙税のペナルティーは?

「収入印紙の漏れ」は本来貼るべき印紙の3倍。

「消印のもれ」は同等額がペナルティーです。

法人の場合、数年に一度、税務調査があります。

赤字法人の場合、追加徴収できる税目は消費税、源泉所得税、印紙税などしかありません。
したがって、印紙税の調査は最重点項目に挙げられています。

一般個人の場合でも、相続で多額の財産を得たり、売却収入を得た場合は税務調査が行われる可能性が高くなるため、印紙の取り扱いには注意が必要です。

5.収入印紙マメ知識

収入印紙について、マメ知識をご紹介します。

①消費税抜金額が明確な場合、税抜金額で貼るべき印紙を決定します。

②収入印紙が貼られていない事だけでは、契約書類は無効にはなりません。

③契約書を2通、3通作成する場合、全ての契約書にそれぞれの収入印紙を貼る必要があります。

④契約書を1通作成し、2通目、3通目はコピーにする場合、印紙は1通分だけで済みます。

⑤遺産分割協議書は印紙税の対象外です。