■遺産分割協議に正しい法定相続人が参加しているか?

1.権利者は全員参加しているか?

法定相続人が遺産分割協議に参加すべきであるのは言うまでもありません。

遠方に住んでいる相続人、非嫡出子などを排除して行う遺産分割協議は無効です。

また注意が必要なのは、遺言で

「私が死んだら財産の1/5を隣人Bに譲る」

との遺贈を受けた方です。(包括受遺者と呼びます。別編で解説します)

これらの方も、

「自分がもらえる1/5」

について、遺産分割協議に参加する権利があるわけです。つまり

「1/5をどの財産でもらうか?」

についての話し合いに参加する権利があるわけです。

2.相続分がゼロの相続人をどう取り扱うか?

ここは議論の余地があるところです。

「相続分がゼロ」にはいくつか種類があり

①相続廃除・欠格・・・すでに相続人ではない
②遺言で相続分がゼロと指定されている
③すでに数年前に遺贈(特別受益)を受けていてゼロ

このようなものがあります。
①については相続人ではありませんので参加不要(不可)です。

②「遺言で相続分がゼロと指定されている」場合は、プラスの財産は相続できなくても、マイナスの財産は法定相続分に基づいて負担している状況です。

したがって当人の立場で考えれば、分割協議に参加してその負担を減らす交渉をすべきです。

また遺留分がある場合は、その分の交渉もできます。

③「すでに数年前に遺贈(特別受益)を受けている」場合には、他の相続人の立場で考えれば、一定の債務負担をしてもらうのが公平と言えます。

②③のケースについて、当人を参加させるかどうかは、相続人全員で決定した方がよいでしょう。

3.相続人の一部が行方不明の場合

方法は二つあります。

①失踪宣告(ただし普通失踪の場合7年間の生死不明期間が必要です)
②不在者財産管理人の選定(利害関係人、検察官が請求します)

「単なる音信不通の相続人」を除外して遺産分割協議を行うことはできません。

■法定相続人以外が遺産分割協議へ参加する場合

1.遺言執行者がいる場合

遺言執行者とは、遺言が正しく実現されるために、遺言者(被相続人)が特別に選任する人のことを指します。(民法 1006条)

よって、遺言執行者抜きの遺産分割協議は無効です。

2.胎児がいる場合

胎児である間に被相続人が死亡した場合、胎児は生誕したときに相続人の資格を得ます。

よって胎児誕生前に遺産分割協議を行うことはできません。

3.後見人等がいる場合

親も子も相続人になる場合で、子が未成年者の場合などです。

民法では、「相続における親子の利害は、原則衝突していると見る」ため、親が後見人の立場で遺産分割協議に参加することは原則としてできません。

成年後見人と成年被後見人がともに相続人である場合も同じです。

これから始まる遺産分割協議の参加者に問題がないかをまず確認してください。

【この記事の執筆・監修者】

井ノ上 剛(いのうえ ごう)
◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士、行政書士、奈良県橿原市議会議員
タスクマン合同法務事務所 代表
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