介護障害福祉事業を開業する方向けの相続遺産分割講座⑩|生命保険は相続財産として遺産分割の対象になるか
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■生命保険は遺産分割の対象になるか?
1.特定の人が受取人になっている保険契約
この契約により支給される保険金は相続財産になりません。
指定されている人固有の財産となりますので、他の相続人との分割対象にならないわけです。
(最判昭和48.6.29)
2.受取人が「相続人」とされている保険契約
この場合も保険金は相続財産になりません。法定相続分とは関係なく、相続人で等分します。
約款中に「保険の受取人の指定がない場合は相続人に支払う」とある場合も同様です。
3.被相続人が自分を保険受取人に指定していた場合
「自分が亡くなった時に、自分に保険金?」
少し疑問が残る契約内容ですが、実際はよくあるケースです。
この場合の死亡保険金は、「被相続人」のものですので相続財産として分割の対象となります。
4.保険受取人がすでに死亡しているケース
保険受取人を「相続人」とした場合、相続財産から外れるということは確認しました。
では保険受取人が本人よりも先に死亡しているケースではどう考えるでしょうか。
保険法に次のような条文があります。
「保険金受取人が保険事故の発生前に死亡した場合、その相続人全員が保険金受取人となる」
保険金受取人が死亡した時点で、保険契約者(本人)は受取人の変更が可能なわけです。その変更をしなかった場合の措置です。
■生命保険はどのように分割するのか?
では最後に、生命保険が相続人に支給されるとして、その分割はどのようにするのかについて確認します。
保険金の支給において、民法が絡むのは「誰が相続人か」だけです。
つまり、保険金が相続財産にならないケースでは、そもそも「法定相続分」という考え方自体が発生しないのです。
よって、受取人が複数の相続人であり、その法定相続分が異なる場合であっても、全員均一に配分されることになります。(最判平5.9.7)
【この記事の執筆・監修者】
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- (いのうえ ごう)
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※ご契約がない段階での記事に関するご質問には応対できかねます。
ご了承お願い致します。
◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
◆奈良県橿原市議会議員
◆介護福祉士実務者研修修了
◆タスクマン合同法務事務所 代表
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