介護障害福祉事業を開業する方向けの相続遺産分割講座⑪|死亡退職金は相続財産として遺産分割の対象になるか
■死亡退職金は相続(遺産分割)の対象になるか?
1.ケーススタディ~死亡退職金と相続(遺産分割)
Aの相続人はB(妻)とC(先妻の子)である。
Aが死亡し、1000万円の死亡退職金が支給された。
退職規定では「全額配偶者に支給する」とされている。
BとCはAの相続で紛争に発展している。
Cが死亡退職金に対して、法定相続分に基づく500万円を請求した。
2.解説~死亡退職金と相続(遺産分割)
最高裁判例では次のように示しています。
「死亡退職金規定は、民法とは別の側面を考慮して定めたものであるため、相続財産、法定相続分は問題とならず、指定された受取人固有のものである。」
(最判昭和55.11.27)
結果、全て配偶者であるBが受け取り、遺産分割のテーブルには乗りません。
■民法の法定相続分の例外
1.民法の法定相続分に反する支給は有効か?
民法の法定相続分に反する死亡退職金規定。
実は他にも、民法に反する制度が多々あります。
①労災保険の遺族給付
→配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹 の順
②国民年金の遺族年金
→子のある妻、子 の順
③遺族厚生年金
→配偶者、子、父母、孫、祖父母(兄弟姉妹は対象外)
しかもそれぞれに、年齢制限や障害の有無などの要件があります。
2.法定相続分とは異なる受給者が指定されている
これらは全て、民法の「法定相続分」とは異なった観点から受給者が決められています。
つまり、
民法の法定相続 → 家族制度に基づく財産の承継順序
他の法律・規定 → 支給目的(例えば遺族の生活保障)に基づいた順序
故人の死亡により発生する受給権。
全てが法定相続されるわけではないことに注意しましょう。
【この記事の執筆・監修者】
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ご了承お願い致します。
◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
◆奈良県橿原市議会議員
◆介護福祉士実務者研修修了
◆タスクマン合同法務事務所 代表
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