■死亡退職金は相続(遺産分割)の対象になるか?

1.ケーススタディ~死亡退職金と相続(遺産分割)

ケーススタディ

Aの相続人はB(妻)とC(先妻の子)である。
Aが死亡し、1000万円の死亡退職金が支給された。
退職規定では「全額配偶者に支給する」とされている。
BとCはAの相続で紛争に発展している。
Cが死亡退職金に対して、法定相続分に基づく500万円を請求した。

2.解説~死亡退職金と相続(遺産分割)

最高裁判例では次のように示しています。

「死亡退職金規定は、民法とは別の側面を考慮して定めたものであるため、相続財産、法定相続分は問題とならず、指定された受取人固有のものである。」
(最判昭和55.11.27)

結果、全て配偶者であるBが受け取り、遺産分割のテーブルには乗りません。

■民法の法定相続分の例外

1.民法の法定相続分に反する支給は有効か?

民法の法定相続分に反する死亡退職金規定。

実は他にも、民法に反する制度が多々あります。

①労災保険の遺族給付
→配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹 の順

②国民年金の遺族年金
→子のある妻、子 の順

③遺族厚生年金
→配偶者、子、父母、孫、祖父母(兄弟姉妹は対象外)

しかもそれぞれに、年齢制限や障害の有無などの要件があります。

2.法定相続分とは異なる受給者が指定されている

これらは全て、民法の「法定相続分」とは異なった観点から受給者が決められています。

つまり、

民法の法定相続 → 家族制度に基づく財産の承継順序
他の法律・規定 → 支給目的(例えば遺族の生活保障)に基づいた順序

故人の死亡により発生する受給権。

全てが法定相続されるわけではないことに注意しましょう。