■相続放棄の前に相続の大原則の確認を

1.相続に関する民法の条文

民法896条
「相続人は相続開始(被相続人死亡日)の時から被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。」

ポイントは「権利義務」という表現です。

権利(財産)も義務(負債)も承継するという事です。

その後に次の規定が続きます。

民法898条
「相続人が複数ある時は、相続財産は共有とする」

民法899条
「各共同相続人はその相続分に応じて権利義務を承継する」

民法900条
「同順位の相続人が複数ある時は、それぞれ・・・(各相続人の割合)・・・で相続する」

その後、遺産分割協議により、遡って分割整理されるというわけです。

2.相続に関する民法条文を要約してみる

ここまでの条文を要約してみます。

「被相続人の死亡により、一切の財産・負債は共同相続人がその法定相続分に応じて承継している状態となるが、遺産分割協議により遡って整理し直す」

この段階までは法定相続人の「意思」は介入しません。

この大原則に対して、「相続人の意思」つまり、「そもそも相続するかしないかを決める権利」を与えるというのが相続放棄の制度です。

相続放棄_種類

■相続に関する選択肢は3つ

相続人に選択できる方法は3つしかありません。

1.単純承認 

原則通りプラスもマイナスも全て相続します。一定の行為を行った場合の「みなし単純承認」という制度もありますので注意が必要です。

2.相続放棄 

一切の相続関係から離脱します。もとから「相続人ではなかった」ことにします。

3.限定承認 

プラス財産の範囲でのみ、マイナス財産を相続します。詳しくは「限定承認」で解説します。

【この記事の執筆・監修者】

井ノ上 剛(いのうえ ごう)
◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士、行政書士、奈良県橿原市議会議員
タスクマン合同法務事務所 代表
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 (電話)06-7739-2538 
(投稿日時点の法制度に基づき執筆しています。)