■相続放棄・限定承認の期限の仕組み

1.相続放棄・限定承認の期限は3か月

相続放棄、限定承認の期限は3か月です。(延長手続きはあります)

3か月を過ぎてしまうと、「単純承認した」とみなされます。

この3か月期限の事を、「熟慮期間」と呼びます。

相続放棄するのか限定承認するのかしっかり考える期間です。

2.相続放棄・限定承認の起算点

相続放棄、限定承認で問題となるのは、3か月期限の起算点です。

つまり、「いつから計算して3か月か?」という事です。

民法915条によると、

「自分が相続人となる相続(死亡)があったことを知った日から」

となっています。

したがって、相続人が複数いる場合には、

「起算点がそれぞれ異なる」 = 「相続放棄、限定承認の期限がそれぞれ異なる」

という事態が生じます。

3.ケーススタディ~相続放棄・限定承認の起算点

ケーススタディ

Aの相続人はW(妻)、BC(ともに子)である。
Cは若いころ家出し、家族とは音信不通である。
Aが多額の借金を残して死亡した。
WBは3か月以内に相続放棄した。
CはAの死亡後半年たって、Aの死亡を知らされた。

4.解説~相続放棄・限定承認の起算点

この場合、Cの相続放棄の起算点は、「Aの死亡を知らされた日」です。
(最判昭51.7.1)

これは遺言認知によって、被相続人の死亡後に「自分が相続人である」 ことを知らされた場合も同じです。
(大決大正15.8.3)

しかし後で説明する「限定承認」の場合は、「相続人全員で」選択する必要があるため、上記事例の場合、もはやCは限定承認することを選択できません。

■相続放棄、限定承認をするまでの財産管理

1.相続の方法が確定するまで誰が管理する?

単純承認を含めた3つの選択肢が確定するまでは、相続財産の帰属が不安定です。

被相続人名義の家屋に、相続人が住み続けている状態もあります。

この場合に、遺産を「仮で管理」している相続人には、「自分の財産を扱う場合と同様の注意」で遺産を管理する義務が生じます。

2.自分の財産を扱う場合と同様の注意義務とは?

これは契約社会で一般的に求められる、「善管注意義務(ぜんかんちゅういぎむ)」

つまり、

「善良な管理者ならば当然負うべきレベルの注意義務」

の少し下のレベルだと考えて支障ないでしょう。