■養子縁組と相続権の関係

1.普通養子縁組

日本の養子縁組制度には2種類あります。普通養子縁組と特別養子縁組です。

一般的に「相続」の分野で用いられるのは普通養子縁組です。

これは単に相続税の対策や遺産の相続財産の分配の方法に留まらず、日本古来の「家名継承」という意味においても広く用いられています。

養親は成年者であれば未婚でも構いません。

2.特別養子縁組

一方の「特別養子縁組」は主に子の福祉が目的です。歴史はまだ浅く、特別養子縁組制度がスタートしたのは1987年です。

子が実親の元では健康で安全な成長が見込めない場合に、家庭裁判所の審判により成立します。

実親との相続関係は完全に遮断されるため、子に物心のつかない6歳未満が原則であり、養親は25歳以上の夫婦である必要があります。

■普通養子縁組の仕組み

この項では主に、相続の場における普通養子縁組の使い方を解説します。

1.養子にできる相手

自分の父母・祖父母、年長者を養子にすることはできません。

これらの人たちを養子にできるとすると、関係が複雑になるためです。

2.未成年者を養子にする場合は?

原則として、家庭裁判所の許可が必要です。

ただし養子にする相手が、自分の孫、再婚相手の連れ子の場合には家庭裁判所の許可は不要です。

3.15歳未満を養子にする場合は?

法定代理人(実親など)の承諾が必要です。

逆に言うと15歳以上であれば本人の了解のみで養子縁組の届出が可能です。

4.養親になる人

成年者であれば未婚であっても養親になれます。配偶者がいる場合で未成年者を養子にする場合は、配偶者とともに養子にする必要があります。

配偶者がいる場合で成年者を養子にする場合は、配偶者の同意を得て養子にします。

■養子と相続分の関係

1.養子の法定相続分

養子縁組により、養子は嫡出子(実子)の身分を持つことになりますので、法定相続人の1人になります。

元々実子がある場合には、養子縁組により実子の法定相続分が減少することになるので、注意が必要です。

2.養子の法定相続分と相続税

養子縁組を多く成立させることで、法定相続人が増えます。

そのことで相続税計算上の基礎控除額や生命保険控除の枠が増加することで、不当に相続税を免れると不公平が生じます。

そこで、税法では次のように養子の法定相続分計算を定めています。

ア)被相続人に実子がいる場合

法定相続人に計算できる養子の人数は1人まで

イ)被相続人に実子がいない場合

法定相続人に計算できる養子の人数は2人まで

すでに現行民法では廃れつつある「家名継承」を、相続税対策と並行で考えることで歴史と伝統を後世につなぎたいものですね。

【この記事の執筆・監修者】

井ノ上 剛(いのうえ ごう)
◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士、行政書士、奈良県橿原市議会議員
タスクマン合同法務事務所 代表
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