第1回 基礎知識編(全5回)初心者のための分かりやすい処遇改善加算、特定処遇改善加算、ベースアップ等支援加算

第1回 基礎知識編(全5回)初心者のための分かりやすい処遇改善加算、特定処遇改善加算、ベースアップ等支援加算4
井ノ上剛(社労士・行政書士)

初心者のための処遇改善加算、特定処遇改善加算、ベースアップ等支援加算をテーマに、全5回に分けて解説していきます。第1回は制度の基礎知識です。

第1回 基礎知識編(全5回)初心者のための分かりやすい処遇改善加算、特定処遇改善加算、ベースアップ等支援加算4
第1回 基礎知識編(全5回)初心者のための分かりやすい処遇改善加算、特定処遇改善加算、ベースアップ等支援加算
第2回 算定要件編(全5回)初心者のための分かりやすい処遇改善加算、特定処遇改善加算、ベースアップ等支援加算2
第2回 算定要件編(全5回)初心者のための分かりやすい処遇改善加算、特定処遇改善加算、ベースアップ等支援加算
第3回 作業準備編(全5回)初心者のための分かりやすい処遇改善加算、特定処遇改善加算、ベースアップ等支援加算2
第3回 作業準備編(全5回)初心者のための分かりやすい処遇改善加算、特定処遇改善加算、ベースアップ等支援加算
第4回 計画書編(全5回)初心者のための分かりやすい処遇改善加算、特定処遇改善加算、ベースアップ等支援加算2
第4回 計画書編(全5回)初心者のための分かりやすい処遇改善加算、特定処遇改善加算、ベースアップ等支援加算
第5回 実績報告編(全5回)初心者のための分かりやすい処遇改善加算、特定処遇改善加算、ベースアップ等支援加算2
第5回 実績報告編(全5回)初心者のための分かりやすい処遇改善加算、特定処遇改善加算、ベースアップ等支援加算

このコラムの推奨対象者

・処遇改善加算、特定処遇改善加算、ベースアップ加算の違いが分からない方
・自分で処遇改善加算等の手続きをしているが、不安に思っている方
・これから介護障害福祉事業を開業するために知識を習得しておきたい方

コラムの信頼性

タスクマン合同法務事務所は、介護障害福祉事業の設立と運営支援に専門特化した法務事務所です。このコラムの執筆時(令和5年2月)現在、介護障害福祉事業の累積支援実績537社。日々多くの事業所様から処遇改善加算等のご相談をお受けし、対応しています。このコラムでは処遇改善加算、特定処遇改善加算、ベースアップ等支援加算の基礎知識について詳しく解説します。

このコラムと同じ内容を動画でもご覧頂けます。読むのが苦手な方はこちらをどうぞ。

説明で用いる略称と正式用語

初めに、このコラムの説明で用いる略称と正式用語について解説します。

  正式名称 略称
 処遇改善加算 処遇加算
 特定処遇改善加算 特定加算
 ベースアップ等支援加算 ベア加算
 上記3つの総称 処遇加算等

このコラムでは処遇改善加算の事を処遇加算、特定処遇改善加算のことを特定加算、ベースアップ等支援加算のことをベア加算と、それぞれ略称を用います。また上記3つの加算を総称する場合は、処遇加算等と呼びます。

似たような加算制度に、特定事業所加算がありますが、全く別制度ですので混同しないようご注意下さい。

制度創設の経緯

続いて、制度創設の経緯について解説します。

年度 主題 詳細
H24年度   処遇加算 交付金だった処遇改善費が介護報酬に組み込まれ「処遇改善加算制度」創設。
H27年度 拡大改正 介護福祉職員のキャリア形成の向上を目的として制度拡充。
H29年度 拡大改正 賃金制度の整備、キャリアアップと昇給の結びつきを促進する目的で制度拡充。
H30年度 整備 処遇加算区分(Ⅳ)(V)の廃止決定。
R1年10月 特定加算 特定加算が創設され経験技能ある介護福祉職員(10年キャリアの介護福祉士)に重点的に加算額の配分が可能に。介護福祉職員以外の職種にも配分可能に。
R4年10月 ベア加算 月給の賃金改善(ベースアップ)を目的としたベア加算創設。

平成24年度に、それまで交付金だった処遇改善費が介護報酬に組み込まれ、処遇改善加算制度が創設されました。

平成27年度には、介護福祉職員のキャリア形成の向上を目的として、制度が拡充され、平成29年度には、賃金制度の整備、キャリアアップと昇給の結びつきを促進する目的で制度が再度拡充されました。

平成30年度には、下位の加算レベルである、処遇加算区分の(Ⅳ)と(Ⅴ)が発展的に廃止されました。

そして令和元年10月には、特定加算が創設され、経験技能ある介護福祉職員(いわゆる10年キャリアの介護福祉士)に重点的に加算額の配分が可能となり、同時に介護福祉職員以外の職種にも配分可能となりました。

令和4年10月には、月給での賃金改善(いわゆるベースアップ)を目的としたベア加算制度が創設され今日に至ります。

対象事業と加算率

続いて、対象事業と加算率について解説します。(令和5年2月時点)

  処遇Ⅰ 処遇Ⅱ 処遇Ⅲ 特定Ⅰ 特定Ⅱ ベア
介
護
保
険
訪問介護 13.7 10 5.5 6.3 4.2 2.4
通所介護 5.9 4.3 2.3 1.2 1 1.1
訪問入浴介護 5.8 4.2 2.3 2.1 1.5 1.1
障
害
福
祉
居宅介護 27.4 20 11.1 7 5.5 4.5
重度訪問介護 20 14.6 8.1 7 5.5 4.5
同行援護 27.4 20 11.1 7 5.5 4.5
行動援護 23.9 17.5 9.7 7 5.5 4.5
就労移行支援 6.4 4.7 2.6 1.7 1.5 1.3
就労継続A型 5.7 4.1 2.3 1.7 1.5 1.3
就労継続B型 5.4 4 2.2 1.7 1.5 1.3
生活介護 4.4 3.2 1.8 1.4 1.3 1.1
共同生活援助 8.6 6.3 3.5 1.9 1.6 2.6
放課後デイ 8.4 6.1 3.4 1.3 1 2
児童発達支援 8.1 5.9 3.3 1.3 1 2
短期入所 8.6 6.3 3.5 2.1 2.1 2.8
自立訓練 6.7 4.9 2.7 4 3.6 1.8

処遇加算等は、月の報酬に加算率を掛けて計算し、報酬と同時に入金されます。つまり、処遇加算等は固定金額ではありません。加算率は、例えば訪問介護事業では、処遇加算Ⅰが13.7%、処遇加算Ⅱが10%、処遇加算Ⅲが5.5%、特定加算Ⅰが6.3%、特定加算Ⅱが4.2%、ベア加算が2.4%となります。

訪問看護、居宅介護支援以下、ご覧の事業には直接サービス提供を行う、いわゆる「介護職員」が存在しないため、処遇加算等の対象外となります。

処遇加算等の対象外事業

訪問看護、居宅介護支援(ケアプランセンター)、訪問リハビリテーション、就労定着支援、地域相談支援、計画相談支援、障害児相談支援、福祉用具貸与、福祉用具販売

対象職種

続いて、対象職種について解説します。

職種 処遇加算   特定加算・ベア加算
介護福祉職員 その他の職種
①介護職員、職業指導員、就労支援員、児童指導員、保育士、生活支援員、世話人、サービス提供責任者 〇 〇 ×
②医師、看護師、管理者、生活相談員、機能訓練指導員(PT・ST・OT)、介護支援専門員(ケアマネ)、相談支援専門員、運転手、栄養士、調理担当職員、事務職員 × × 〇
③サービス管理責任者、児童発達管理責任者、心理指導担当職員 × 〇 ×

①介護職員、職業指導員以下、ご覧の職種は処遇加算では当然に対象職種となり、また特定加算、ベア加算においても介護福祉職員として対象となります。

②医師、看護師、管理者以下、ご覧の職種は処遇加算では対象職種から除外される一方、特定加算、ベア加算では「その他の職種」として対象となります。

③サービス管理責任者、児童発達管理責任者、心理指導担当職員等は、本来処遇加算の対象ではありませんでしたが、特定加算・ベア加算では介護福祉職員として対象となります。

また表の赤の網掛部分については、人員基準を満たした上で①の職種を兼務する時間は処遇加算等の対象となります。

年度の考え方

続いて、年度の考え方について解説します。

項目 年度の考え方 具体例・詳細
処遇加算等
の受給総額
4月サービス提供~3月サービス提供 6月入金~5月入金
対象労働者
への支給総額
4~3月を基本としつつも、処遇加算等がサービス提供月の2カ月遅れで報酬とともに入金されることから、12カ月を限度に、事業所ごとで年度の考え方を定めて良い。 (例1)4月支給~3月支給
(例2)5月支給~4月支給
(例3)6月支給~5月支給
(例4)7月支給~6月支給

処遇加算等は「受給総額を上回る支給総額」を実現する必要がありますが、これは毎月判定するのではなく、年度合計で判定します。年度の考え方は表の通りです。

処遇加算等の受給総額は、4月サービス提供分から3月サービス提供分をもって、1年度と考えます。2か月遅れで入金されるため、6月入金分から5月入金分となります。

一方、対象労働者への支給総額は「4月~3月を基本としつつも、処遇加算等がサービス提供月の2カ月遅れで報酬とともに入金されることから、12カ月を限度に、事業所ごとで年度の考え方を定めて良い」とされています。

具体的にはご覧の4つのパターンからの選択になります。加算入金月と支給月を揃えると資金管理がしやすいため、当社では例の3番、つまり6月支給から5月支給を1年度とすることをお勧めしています。

計画書と実績報告書の提出期限

続いて、計画書と実績報告書の提出期限について解説します。まずは計画書からです。

手続きの種別 提出期限 備考
計画書  指定申請と同時に初めて 処遇加算等を適用する場合 指定申請書類と同時  自治体により異なるが、 一般的には指定予定月の前々月末日頃 
 すでに指定を受けて営業中であり 初めて処遇加算等を適用する場合 適用予定月の前々月末日  
 すでに処遇加算等を適用し新年度も継続更新する場合 2月末  計画書様式の変更などが生じるため近年は4月中旬で設定。
実績
報告書
 事業が継続している場合 最終の加算が入金される月の2か月後の末日  5月の加算入金の2か月後7月31日 (自治体により若干差あり)
 事業を廃止する場合  最終営業月の加算が入金される月の 2か月後の末日

指定申請と同時に、初めて処遇加算等を適用する場合、計画書の提出期限は指定申請書類と同時になります。指定申請書類の提出期限は自治体により異なりますが、一般的には指定予定月の前々月末日頃で設定されています。

すでに指定を受けて営業中であり、始めて処遇加算等を適用する場合、計画書の提出期限は適用予定月の前々月末日となります。

またすでに処遇加算等を適用し、新年度も継続更新する場合、計画書の提出期限は2月末となります。しかし計画書様式の変更などが生じるため、近年は4月中旬で設定されています。

次に実績報告書です。

事業が継続している場合も、事業を廃止する場合も、実績報告書の提出期限は、最終の加算が入金される月の2か月後の末日が提出期限となります。事業が継続している場合、3月分の加算が5月に入金されるため、その2か月後の7月31日が原則的な提出期限となります。事業を廃止する場合は、最終営業月の加算が入金される月の2か月後の末日が提出期限となります。

管轄自治体(提出先)

続いて管轄自治体と提出先について解説します。

No. 指定権者 指定種別 処遇加算 特定処遇 ベア加算 区分
① A県  通所介護 加算Ⅰ 加算Ⅱ あり 介護
② A県B市  訪問介護 加算Ⅰ 加算Ⅱ あり 介護
③ A県B市  訪問型サービス(独自) 加算Ⅰ 加算Ⅱ あり 介護
④ A県B市  居宅介護 加算Ⅰ 加算Ⅱ あり 障害
⑤ A県B市  重度訪問介護 加算Ⅰ 加算Ⅱ あり 障害
⑥ A県B市  就労継続支援B型 加算Ⅰ 加算Ⅱ あり 障害
⑦ A県C市  訪問介護 加算Ⅱ 加算Ⅱ あり 介護
⑧ A県C市  訪問型サービス(独自) 加算Ⅱ 加算Ⅱ あり 介護
⑨ A県C市  居宅介護 加算Ⅱ 加算Ⅱ あり 障害
⑩ A県C市  重度訪問介護 加算Ⅱ 加算Ⅱ あり 障害
⑪ D県  共同生活援助 加算Ⅱ なし あり 障害

ある会社がご覧の11種類の指定事業を運営していると仮定し、ご覧の処遇加算等を取得しているとします。この場合の管轄自治体と提出先について検討しましょう。

まず、指定事業を介護保険事業と障害福祉事業に分類します。書類の内容としては、介護保険用と障害福祉用の2種類のみです。この2種類を、宛先を変えて提出していきます。順番に区分すると、

①A県の介護、②③A県B市の介護、④⑤⑥A県B市の障害、⑦⑧A県C市の介護、⑨⑩A県C市の障害、⑪D県の障害

以上6か所に提出することになります。

まとめ

以上が第1回の解説内容です。

タスクマン合同法務事務所では、介護保険事業・障害福祉事業に専門特化した社労士、行政書士、司法書士、税理士がお客様を強力にバックアップしています。

第2回以降のコラムもご覧頂けると幸いです。 最後までお読み頂きありがとうございました。

処遇改善加算特定処遇改善加算の顧問サポート社労士行政書士2

処遇改善加算顧問

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【この記事の執筆・監修者】

井ノ上 剛(いのうえ ごう)
※ご契約がない段階での記事に関するご質問には応対できかねます。
 ご了承お願い致します。

◆1975年生まれ
 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
 兵庫県立大学大学院 社会科学研究科(MBA) 修了
◆社会保険労務士・行政書士
◆奈良県橿原市議会議員
◆介護福祉士実務者研修修了
◆タスクマン合同法務事務所 代表
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