このコラムを読むと分かること(3分で読めます)

・雇用、労働関係助成金の概要がわかる
・助成金を申請する上での要件や支給額がわかる

助成金は積極的に利用していきたい制度ではあるが、種類が多岐にわたり、細かい要件も多く、申請のハードルが高い。このコラムでは、介護事業所が利用できる助成金の種類や申請要件等をわかりやすく解説する。

コラムの目次

①雇用、労働関係助成金とは? 
②助成金の種類を解説。介護事業所が利用しやすい助成金は?
③介護事業所が助成金を申請する上での要件は?支給額は?
④まとめ

①雇用、労働関係助成金とは?

厚労省の所管する主な助成金は、雇用関係助成金と労働条件等関係助成金である。

雇用関係助成金は、雇用の安定、仕事と家庭の両立支援、従業員の能力向上などを目的として、雇用保険の中の雇用安定事業の一環として設けられている制度で、事業主の支払った保険料で運営されている。

意外かもしれないが原則税金は投入されていない。したがって、雇用関係助成金を受けるには、雇用保険に加入している必要がある。

労働条件等関係助成金は、職場環境の改善、生産性の向上を目的として設けられた助成金であり、申請期限のあるものが多い。

②助成金の種類を解説。介護事業所が利用しやすい助成金は?

既存の介護事業所が利用できる可能性がある助成金に絞って、その種類について紹介する。

雇用関係助成金の種類

中途採用等支援助成金(Ⅰ中途採用拡大コース)

中途採用率を拡大させた場合または45歳以上の者を初めて中途採用した場合

※45歳以上のスタッフがいない介護事業所はぜひ活用を

中途採用等支援助成金(Ⅱ UIJターンコース)

東京圏からの移住者を雇い入れる場合

※地方の介護事業所は該当する可能性あり

特定求職者雇用開発助成金(Ⅰ 特定就職困難者コース)

母子家庭の母等を継続して雇用する労働者として雇い入れる場合

特定求職者雇用開発助成金(Ⅰ 特定就職困難者コース)

60~64歳の高年齢者を継続して雇用する労働者として雇い入れる場合

特定求職者雇用開発助成金(Ⅱ 生涯現役コース)

65歳以上の高年齢者を継続して雇用する労働者として雇い入れる場合

特定求職者雇用開発助成金(Ⅰ 特定就職困難者コース)

身体障害者・知的障害者・精神障害者を継続して雇用する労働者として雇い入れる場合

特定求職者雇用開発助成金(Ⅵ 障害者初回雇用コース)

中小事業主が障害者を初めて雇い入れた場合

特定求職者雇用開発助成金(Ⅳ 発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)

発達障害者・難治性疾患患者を継続して雇用する労働者として雇い入れる場合

特定求職者雇用開発助成金(Ⅶ 安定雇用実現コース)

正規雇用の機会を逃したこと等により、十分なキャリア形成がなされず、正規雇用に就くことが困難な者を継続して雇用する労働者として雇い入れる場合

特定求職者雇用開発助成金(Ⅷ 生活保護受給者等雇用開発コース)

自治体からハローワークに就労支援の要請があった生活保護受給者等を継続して雇用する労働者として雇い入れる場合

特定求職者雇用開発助成金(Ⅴ 三年以内既卒者等採用定着コース)

新卒求人の申込みまたは募集を行い、学校等の既卒者・中退者を初めて雇い入れる場合

トライアル雇用助成金(Ⅰ 一般トライアルコース)

安定就業を希望する未経験者等を一定期間試行的に雇い入れる場合

トライアル雇用助成金(Ⅱ 障害者トライアルコース)

障害者を一定期間試行的に雇い入れる場合

トライアル雇用助成金(Ⅲ 障害者短時間トライアルコース)

短時間労働の精神障害者・発達障害者を一定期間試行的に雇い入れる場合

人材確保等支援助成金(Ⅰ 雇用管理制度助成コース)

雇用管理制度(評価・処遇制度、研修制度、健康づくり制度、メンター制度)の導入を通じて従業員の離職率の低下を図る場合

人材確保等支援助成金(Ⅱ 介護福祉機器助成コース)

介護福祉機器の導入を通じて従業員の離職率の低下を図る場合 ※介護事業所専用の助成金。

人材確保等支援助成金(Ⅲ 介護・保育労働者雇用管理制度助成コース)

賃金制度の整備を通じて従業員の離職率の低下を図る場合 ※介護事業所、保育事業所専用の助成金。

人材確保等支援助成金(Ⅴ 人事評価改善等助成コース)

生産性向上に資する能力評価を含む人事評価制度を整備し、定期昇給等のみによらない賃金制度を設けることを通じて生産性向上、賃金アップと離職率低下を図る場合

人材確保等支援助成金(Ⅵ 設備改善等支援コース)

生産性向上に資する設備等を導入することにより、雇用管理改善(賃金アップ等)と生産性向上を図る場合

65歳超雇用推進助成金(Ⅰ 65歳超継続雇用促進コース)

65歳以上への定年引上げ等を実施する場合

65歳超雇用推進助成金(Ⅱ 高年齢者評価制度等雇用管理改善コース)

高年齢者の雇用管理制度の整備等に係る措置を実施する場合

65歳超雇用推進助成金(Ⅲ 高年齢者無期雇用転換コース)

高年齢者を無期雇用へ転換する場合

キャリアアップ助成金(Ⅰ 正社員化コース)

有期契約労働者等(契約社員・パート・派遣社員など)を正規雇用労働者等へ転換または直接雇用を実施する場合

※非正規スタッフが多い場合は、有効な助成金

キャリアアップ助成金(Ⅱ 賃金規定等改定コース)

有期契約労働者等の賃金規定等の増額改定により賃金の引上げを実施する場合

キャリアアップ助成金(Ⅲ 健康診断制度コース)

有期契約労働者等へ法定外の健康診断制度を導入する場合

※短時間パートにも健康診断を受けさせる予定がある介護事業所はぜひ活用を

キャリアアップ助成金(Ⅳ 賃金規定等共通化コース)

有期契約労働者等へ正規雇用労働者と共通の賃金規定等を導入する場合

キャリアアップ助成金(Ⅴ 諸手当制度共通化コース)

有期契約労働者等へ正規雇用労働者と共通の諸手当制度を導入する場合

※中小企業は2021年4月から同一労働同一賃金の法規制が施行される。これらの助成金の活用は有効かと思われる。

キャリアアップ助成金(Ⅵ 選択的適用拡大導入時処遇改善コース)

短時間労働者を新たに社会保険に加入させると同時に賃金引上げを実施する場合

キャリアアップ助成金(Ⅶ 短時間労働者労働時間延長コース)

短時間労働者の所定労働時間を延長すると同時に社会保険に加入させる場合

両立支援等助成金(Ⅰ 出生時両立支援コース)

男性が育児休業・育児目的休暇を取得しやすい職場環境作りに取り組み、取得させる場合

両立支援等助成金(Ⅱ 介護離職防止支援コース)

仕事と介護の両立支援に関する取組を行い、介護休業や介護両立支援制度を利用させる場合

両立支援等助成金(Ⅲ 育児休業等支援コース)

育休復帰支援プランを作成し、労働者に育児休業取得・職場復帰させる、育児休業代替要員を確保する、保育サービス費用補助制度等の制度を導入し、利用させる場合

両立支援等助成金(Ⅳ 再雇用者評価処遇コース)

育児・介護等を理由とした退職者の復職支援の取組を行い、希望者を再雇用する場合

両立支援等助成金(Ⅴ 女性活躍加速化コース)

女性の活躍推進に関する目標を設定し、取組を行いその目標を達成する場合

人材開発支援助成金(Ⅰ 特定訓練コース)

OJTとOff-JTを組み合わせた訓練、若年者への訓練、労働生産性向上に資する訓練等を10時間以上実施する場合

人材開発支援助成金(Ⅱ 一般訓練コース)

職務に関連した知識・技能を習得させるための訓練を20時間以上実施する場合

人材開発支援助成金(Ⅲ 教育訓練休暇付与コース)

有給の教育訓練休暇制度を導入し、労働者が当該休暇を取得して訓練を受ける場合または、有給又は無給の長期の教育訓練休暇制度を導入し、労働者が当該休暇を取得して訓練を受ける場合

人材開発支援助成金(Ⅳ 特別育成訓練コース)

有期契約労働者等に対する訓練を行う場合

③介護事業所が助成金を申請する上での要件は?支給額は?

ここでは共通となる基本要件を解説する。各助成金には、個別の細かい要件もあるので申請の際はご留意いただきたい。

雇用関係助成金

受給対象となるのは、雇用保険適用事業所の事業主、期間内に申請を行う事業主、支給のために審査に協力する事業主。

原則申請が可能になった日から2ヵ月以内が申請期間。このため、助成金受給を考える場合は、申請段階から計画的にすすめる必要がある。

労働条件等関係助成金

受給対象となるのは主に中小企業事業主。中小事業主の範囲は、小売業が資本金5000万円以下または従業員50人以下、サービス業は資本金5000万円以下または従業員100人以下、卸売業は資本金1億円以下または従業員100人以下、その他の業種は資本金3億円以下または従業員300人以下。

助成金の支給額は、まちまちでありすべてを記載するのは困難であるが、例えばキャリアアップ助成金正社員化コースは、有期雇用から正社員へ転換した場合、1人当たり最大57万円が支給される。

④まとめ

このコラムで解説した助成金のポイントは次のようになる。

・助成金には雇用関係助成金と労働条件等関係助成金がある
・介護事業所が利用できそうな助成金は多岐にわたる
・雇用関係助成金の受給対象となるには、当然雇用保険適用事業所であることが必要

ぜひ助成金を活用して、労働環境の改善に活かしていただきたい。