BCP業務継続計画とは?_介護障害福祉事業に令和6年4月義務化されるBCPを徹底解説
令和6年4月1日から全ての介護保険事業および障害福祉事業に、BCP業務継続計画の作成が義務化されます。つまり令和6年3月31日までに作成する必要があるわけです。BCPは令和3年度に作成義務が明文化されましたが、3年間の作成努力義務期間を経て、令和6年4月1日からは完全義務化となります。このコラムでは「BCPとは?」をテーマにBCPの概要を解説します。
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このコラムの推奨対象者
・令和6年4月義務化のBCP業務継続計画の概要が知りたい
・どの単位でBCPを策定する必要があるのか知りたい
・具体的に研修や訓練をどのような方針で行う必要があるのか知りたい
コラムの信頼性
タスクマン合同法務事務所は、介護障害福祉事業の設立と運営支援に専門特化した法務事務所です。このコラムの執筆時(令和5年4月)現在、介護障害福祉事業の累積支援実績558社。当社顧問先の事業所様からも令和6年4月に義務化されるBCP(業務継続計画)について多数お問い合わせ頂きご対応しています。
BCP(業務継続計画)とは?
感染症拡大や大規模災害の発生に備える計画のことをBCPと呼びます。BCPとは(Business Continuity Planning)の略称です。日本語に訳すと業務継続計画となります。
令和6年4月1日から全ての介護保険事業および障害福祉事業に、BCP業務継続計画の作成が義務化されます。つまり令和6年3月31日までに作成する必要があるわけです。
BCP(業務継続計画)は令和3年度に作成義務が明文化されましたが、3年間の作成努力義務期間を経て、令和6年4月1日からは完全義務化となります。
BCP(業務継続計画)の法令上の根拠
まずは介護保険の訪問介護を例にとって法令上の根拠を確認しましょう。法令上の根拠を理解することなしに「義務化されたからサンプルに沿って作成しよう」という考え方では、根本的な論点を見失う恐れがあるためです。
なおその他の介護保険事業も障害福祉事業もほぼ同じ法令が設けられています。令和3年4月施行の運営基準に、訪問介護に関連して新たに第30条の2が設けられました。第30条の2の規定をご紹介します。
運営基準第30条の2(業務継続計画の策定等)
1 指定訪問介護事業者は、感染症や非常災害の発生時において、利用者に対する指定訪問介護の提供を継続的に実施するための、及び非常時の体制で早期の業務再開を図るための計画(以下「業務継続計画」という。)を策定し、当該業務継続計画に従い必要な措置を講じなければならない。
2 指定訪問介護事業者は、訪問介護員等に対し、業務継続計画について周知するとともに、必要な研修及び訓練を定期的に実施しなければならない。
3 指定訪問介護事業者は、定期的に業務継続計画の見直しを行い、必要に応じて業務継続計画の変更を行うものとする。
ご覧のとおり第1項で「感染症や非常災害」に備えてBCP(業務継続計画)の策定を義務付け、第2項で職員への周知・研修・訓練を、第3項で見直し変更を規定しています。
なお、令和3年改正省令附則第3条で、3年間の猶予措置が設けられており、令和6年3月31日までは単なる努力義務、令和6年4月1日から完全義務化という流れになります。
解釈通知に基づく基本的な考え方
ここでは解釈通知に基づく基本的な考え方を整理しておきます。解釈通知は運営基準を詳しく理解するために、厚労省が作成する説明書のような位置づけです。解釈通知を抑えた上で具体的なアクションをイメージしましょう。皆さんに理解してもらいやすい様に、解釈通知を独自にQ&A形式に取りまとめてみました。
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BCPにはどのようなことを記載するのですか?
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解釈通知では、感染症対策と災害対策について合計6項目の記載が義務付けられています。
感染症対策
①平時からの備え(具体的には体制の構築と整備、感染症防止に向けた取組みの実施、備蓄品の確保など)
②初動対応(感染症が発生した時にまずどのような行動を取るか)
③感染症拡大防止体制の確立(保健所との連携、濃厚接触者への対応、関係者との情報共有など)
災害対策
①平常時の対応(具体的には建物と設備の安全対策、電気水道などのライフラインが停止した場合の対策、必要品の備蓄など)
②緊急時の対応(どのようなときにBCPを発動させるか、またその対応体制)
③他施設、地域との連携
以上の6点を地域の実情に応じて、より具体的に策定する必要があります。なお策定にあたってはガイドラインを参照するよう説明がありますので、ガイドラインについても改めて解説したいと思います。
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感染症版、災害版のBCPを別々に作成する必要はありますか?
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いいえ。解釈通知では感染症版、災害版のBCPを一体的に策定することも認められています。感染症版、災害版で例えば事業所内の体制、役割などを統一することもできるためです。
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BCPは会社(法人)で1つ策定すればよいのですか?
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いいえ。解釈通知では会社(法人)に対してではなく「事業所」という表現が用いられているため、事業所を1つの単位としてBCPを策定する必要があります。例えば1つの事業所で介護保険の訪問介護と障害福祉の居宅介護を一体的に運営している場合は、1つのBCPにまとめることも可能でしょう。
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BCP研修・訓練は誰を対象に行う必要があるのですか?
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登録ヘルパー(登録訪問介護員)などのパート職員を含め、すべての従業員を対象に行う必要があります。
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BCP研修・訓練はどの程度の頻度で実施する必要があるのですか?
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年1回以上の実施が必要です。また新規採用時にはBCP研修を実施することが望ましいとされています。研修の実施内容は記録しておく必要があります。
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BCP研修・訓練を自社単体で実行するのは難しいのですが。
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小規模事業所の場合、実際にBCP研修・訓練を事業所単位で企画し実行する事は難しいと想定されます。解釈通知では「事業所に実施が求められるが、他のサービス事業者との連携等により行っても良い」とあるため、例えば近隣の他法人事業所と合同で実施することなどが想定されます。
まとめ
以上が介護障害福祉事業に令和6年4月義務化されるBCPの基本知識です。法令上の根拠をしっかり把握したうえで具体的な策定準備に取り掛かりましょう。次回以降のコラムも併せてご覧頂けると幸いです。
BCP業務継続計画を策定支援
BCP業務継続契約コンサルティングパッケージは、令和6年4月から介護障害福祉事業所に義務化されるBCP策定を支援するサービスです。詳細は左の画像をクリックしてご確認ください。
参考(厚労省WEBサイト)
【この記事の執筆・監修者】
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ご了承お願い致します。
◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
◆奈良県橿原市議会議員
◆介護福祉士実務者研修修了
◆タスクマン合同法務事務所 代表
〒542-0066 大阪市中央区瓦屋町3-7-3イースマイルビル
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