共同生活援助(障害者グループホーム)の設立開業に何人のスタッフが必要?【指定時の人員基準】

共同生活援助(障害者グループホーム)の開業に必要な従業員スタッフの人数
井ノ上剛(社労士・行政書士)

共同生活援助(障害者グループホーム)の開業に何人のスタッフが必要か、お困りではありませんか?数ある障害福祉サービスの中でも、共同生活援助(障害者グループホーム)指定時の人員基準の理解は一番難しいのではないか、と思います。このコラムでは共同生活援助(障害者グループホーム)の人員基準の考え方にについて、詳しく解説します。

☑このコラムの推奨対象者

〇これから、共同生活援助(障害者グループホーム)を開業しようと思っている方
〇とにかく急いで、共同生活援助の必要スタッフ人数を知りたい方【早見表あり】
〇共同生活援助の人員基準の考え方を詳しく理解したい方

☑コラムの信頼性は?

タスクマン合同法務事務所は、介護障害福祉事業に専門特化している、合同法務事務所です。このコラムのリライト時(令和3年4月)、累積400社の介護障害福祉事業の開業支援を達成。専門家が執筆・監修しているコラムであるため、安心してお読み頂けます。

それでは、共同生活援助(障害者グループホーム)の人員基準の解説をスタートします。

共同生活援助(障害者グループホーム)の指定申請の種類

3つの種類を理解しましょう

共同生活援助(障害者グループホーム)の人員基準の解説の前段階として、1つ理解しておかなければ先に進めない項目があります。それが、共同生活援助(障害者グループホーム)の3つの指定申請種別です。

次の表をご覧ください。

区分 介護の提供
介護サービス包括型 施設内の生活支援員が介護を行う。日中、入居者は外部の就労支援事業所などに通う。
日中サービス支援型 重度障害者に常時生活支援員が介護を行う。日中も入居者は施設内に滞在することが多い。
外部サービス利用型 外部の居宅介護事業所が介護を行う(この場合、グループホーム自体には、生活支援員は配置不要)

統計によると、日本国内の8割を超える共同生活援助(障害者グループホーム)事業所が、「介護サービス包括型」となっています。つまり、グループホーム施設内の、生活支援員が、入居利用者に対する日常介護サービスを提供する、というものです。

このコラムを読んでいるあなたも、おそらく知らず知らずのうちに、「介護サービス包括型」を選択しているものと思います。

制度を理解したうえで、3種類から1つを選択しましょう

「介護サービス包括型」が多い理由として、「日中サービス支援型」で重度障害者に、常時生活支援員が介護を行うためには、スタッフの確保が難しく、また「外部サービス利用型」では報酬算定が低くなることが考えられます。(外部の居宅介護事業所を、自社で運営する仕組みで、トータル的に報酬額を確保するという考え方も取ることができます。)

以上の考え方を理解したうえで、「介護サービス包括型」を選ぶのなら良いですが、後になって「他にも種類があることを知らなかった」では後戻りすることが難しいので、この時点で十分に理解しておきましょう。

当社としては、最も事業所数の多い「介護サービス包括型」をお勧めしていますが、このコラムでは「介護サービス包括型」・「日中サービス支援型」の2つを同時に解説します。申し訳ありませんが、「外部サービス利用型」は説明から省いています。

定員と人員基準の考え方(介護サービス包括型・日中サービス支援型共通)

さて本題に入りましょう。

ここでご説明するのは、このコラムのテーマである、世話人・生活支援員の人員基準です。利用者に対して一定比率で人員を配置すべき基準が定められていますが、これを実際に計算するのは大変難しいので、早見表を作成しました。

この早見表は当社オリジナルですので、コピー・転載はご遠慮ください。(このページ自体に対する被リンク設定はOKです。)

表の中に「開業時みなし」とあるのは、「開業時みなし利用者」のことです。開業時には定員の9割が利用するとみなして、人員を定める必要があるための暫定値であることを示しています。2年度目以降は、前年度の平均値を使って計算します。

【共同生活援助・人員基準早見表】

利用定員 世話人数 生活支援員人数(利用者障害支援区分)
利用定員 開業時みなし 介護サ包括 日中サ支援 区分3 区分4 区分5 区分6
4 3.6 0.6 0.7 0.4 0.6 0.9 1.4
5 4.5 0.8 0.9 0.5 0.8 1.1 1.8
6 5.4 0.9 1.1 0.6 0.9 1.4 2.2
7 6.3 1.1 1.3 0.7 1.1 1.6 2.5
8 7.2 1.2 1.4 0.8 1.2 1.8 2.9

早見表の見方を説明します。

①あなたの共同生活援助(障害者グループホーム)施設の利用定員は?
表の一番左の列をご確認ください。ここはあなたの施設の利用定員を示しています。ここで言う「利用定員」とは実際の入居者数ではなく、あなたが確保した施設の部屋数に基づく、「MAXの入居者数」のことです。ここでは「利用定員6」の例で説明します。
②開業時みなし利用者は?
ご説明した通り、2年度目以降は、実際の入居者数や障害区分に着目する必要があるわけですが、開業時の指定申請では、まだその実績がないため、「利用定員の9割が入居する」とみなして計算します。これが左から2列目の「開業時みなし(利用者)」の列です。事例での開業時みなし利用者は「利用定員6」×0.9=5.4人となります。
③世話人の必要人数は?
世話人の必要数は、介護サービス包括型と日中サービス支援型で計算方法が異なります。介護サービス包括型は「開業時みなし利用者」÷6となりますので、事例では5.4÷6=0.9人、日中サービス支援型では5.4÷5=1.1人となります。
④生活支援員の必要人数は?
最後に生活支援員の必要人数です。まずあなたが想定する、入居者の障害支援区分を見込みます。開業時の指定申請ではあくまでも「見込み」で結構です。この場合、障害支援区分ごとに、配置すべき生活支援員の人数比率が異なります。当然、障害支援区分が大きく(障害が重く)なるに応じて、配置すべき生活支援員の人数は多くなります。

・障害支援区分3:「開業時みなし利用者」÷9
・障害支援区分4:「開業時みなし利用者」÷6
・障害支援区分5:「開業時みなし利用者」÷4
・障害支援区分6:「開業時みなし利用者」÷2.5

仮にあなたの施設が、利用定員6人(みなし利用者5.4人)で、障害区分5の利用者を見込む場合、5.4÷4=1.4人の生活支援員が必要となります。

このコラムのまとめ

このコラムで説明した事例、つまり「利用定員6名で介護サービス包括型を実施、障害区分5中心の場合」で、共同生活援助(障害者グループホーム)を開業する際に必要な最低スタッフ人数をまとめると、次のようになります。

世話人=0.9人(常勤換算で可)
生活支援員=1.4人(常勤換算で可)
管理者=1人(常勤必須、世話人・生活支援員と兼任可能)
サービス管理責任者=1人(常勤要件無)

ご理解頂けましたか?この基準が最低ラインです。この基準を上回るスタッフを配置した場合、報酬加算を得ることができますので、こちらのコラム(共同生活援助の基本サービス費・加算減算)も併せてご参照ください。

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【この記事の執筆・監修者】

井ノ上 剛(いのうえ ごう)
※ご契約がない段階での記事に関するご質問には応対できかねます。
 ご了承お願い致します。

◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
奈良県橿原市議会議員
◆介護福祉士実務者研修修了
タスクマン合同法務事務所 代表
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