伸びる会社の12の秘密!第3回 No.⑨~⑫「人事組織編」|事業を順調に伸ばす介護障害福祉会社の組織の取り組み
介護障害福祉事業で業績を伸ばしている会社の秘密を知りたくありませんか?このコラムでは私が過去580社の支援をしてきた中で体系化した、12の共通ポイントを全3回に分けて解説します。当社には守秘義務があり具体的な手法までは公開できないため、内容は一般論に置き換えて解説します。第3回は人事組織に関する内容4項目です。
このコラムの推奨対象者
・伸びる会社がどのような人事ポリシーを持っているのか知りたい
・組織構築の考え方を理解したい。
・できれば自社も事業を成長させたい
コラムの信頼性
タスクマン合同法務事務所は、介護障害福祉事業の設立と運営支援に専門特化した法務事務所です。このコラムの執筆時(令和5年6月)現在、介護障害福祉事業の累積支援実績580社。数多くの会社の設立運営を支援する過程で培ったノウハウを、守秘義務に反しない限りで公開します。
同じ内容を動画でもご視聴頂けます。
労務コンプライアンスを重視
初めに労務コンプライアンスを取り上げます。コンプライアンスとは法令順守のことです。会社運営を行う中で様々な法令を守る必要があるのは当然のことですが、その中でも特に伸びる会社では、労働基準法を中心とする労務コンプライアンスに全力を注いでいます。
この姿勢が従業員に伝わることで「うちの会社は労務的にホワイト」との認識を与えることができます。ここで言うホワイトとはブラックの対義語です。結果的に従業員の定着率の向上に繋がっています。
労務コンプライアンスへの取り組みは非常に多岐に渡るため、ここで全てを説明することはできませんが、重要ポイントを3つご紹介します。
1点目は労働時間の管理です。具体的には始業と終業時刻をタイムレコーダーで正しく記録し、時間外労働や深夜労働、休憩時間を管理します。またそれに伴う割増賃金も1分単位で丁寧に計算します。
2点目は税と社会保険の管理です。具体的には所得税、住民税の計算と年末調整の正しい実施、社会保険、雇用保険の適正加入です。特に社会保険に関しては加入等級の改定時に、従業員にその理由を丁寧に説明します。
3点目は就業規則の管理です。就業規則をいつでも閲覧できる状態で公開し、規定されているルール通りに事業所の人事管理を行います。また就業規則の変更時には、法律上の手続きにのっとり、従業員代表による意見書を添えて労働基準監督署へ届出を行います。
伸びる会社ではこのような労務コンプライアンス姿勢を従業員にPRすることで、定着率の向上を図り、業績の向上に繋げています。
業界平均以上の賃金水準
2点目に賃金水準について取り上げます。伸びる会社では地域で競合する同業ライバル会社の採用広告を隈なくチェックし、自社の賃金の適正化を図っています。
賃金水準をアップするためには、もちろん原資となる営業利益の確保が必要ですが、赤字の会社でも賃金水準をアップする方法があります。それが処遇改善加算です。
処遇改善加算は別のコラムでも解説している通り、国からの補助により自社の従業員の賃金改善を行うことができる制度です。介護障害福祉分野、保育分野で制度の拡充が続いています。特に介護障害福祉分野では令和元年の特定加算、令和4年のベースアップ加算など次々と新制度が打ち出されています。
伸びる会社では処遇改善加算制度をうまく活用し、自社の財務負担を最小限にとどめつつ、従業員の賃金改善に取り組み、定着率の改善に努めています。
組織分掌_役職と責任を明確に
3点目に組織分掌を取り上げます。組織分掌とは会社内の役職と責任を明確にすることです。会社には顧客を獲得する営業部門、契約事務を担当する総務部門、利用者に実際にサービスを提供する部門、お金の出入り管理する経理部門、月次決算を行い会社の財務状態を管理する会計部門など様々な機能があります。さらに会社の規模が拡大すると事業展開を検討する経営戦略部門、営業活動の方向性を決めるマーケティング部門、人材を管理する人事部門なども必要となります。
開業当初はこれらの機能は全て代表者一人に集中しますが、やがて事業が拡大するにつれて、総務担当や経理担当から採用し、代表者の負担を少しずつ解消するのが一般的でしょう。
しかし伸びる会社と伸びない会社には、組織分掌の考え方について大きな違いがあります。伸びる会社では開業当初から組織図を作成し、将来の組織分掌のグランドデザインを策定しています。もちろん開業当初は、ほとんどの役職に代表者の名前が入ります。しかしこのグランドデザインに沿って「次に権限移譲すべき役職とその責任は何か?」を長期目線で検討し、人材計画を練るわけです。
逆に伸びない会社では組織分掌のグランドデザインなしに、行き当たりばったりで事務員を採用し、役割と責任が不明確なまま組織運営に当たります。そのようなスタンスでは組織の力が十分に発揮できないばかりか、事業が進むにつれて指示命令系統に混乱をきたします。
組織が小さいうちにこそ、組織分掌図を策定し将来に備えるべきなのです。
専門士業との上手な付き合い方
最後に専門士業との付き合い方を取り上げます。私自身も専門士業に当たりますので、多少おこがましい説明になる点をご容赦頂きつつ、あくまでも一般論であるとの前提でご理解頂けると幸いです。
介護障害福祉事業に関与する士業として、税理士・社労士・司法書士・行政書士などを挙げることができます。中には弁護士と契約する場合もあるかと思います。いずれにせよ、これら士業と顧問契約を締結して月額料金を支払い、契約で定める専門サービスの提供を受けます。
伸びる会社の特徴として、専門士業のノウハウをフル活用している点を挙げることができます。ただしそれは決して「支払っている料金以上のサービスを要求する」という事ではない点に注意が必要です。具体的に説明します。
専門士業もサービス業に位置付けられます。近年ではIT技術の進展により、かなりの業務が効率化されましたが、人が提供するサービスである点には変わりがありません。つまり士業側ではあなたの会社に費やす時間=コストとなるわけです。
あなたの会社に費やす時間が契約料金で想定する基準を超える場合、士業側では赤字になり「これ以上の対応はご遠慮させて頂きたい」との意識が自然と働きます。
逆の場合を想定します。あなたの会社に費やす時間が契約料金で想定する基準を下回る場合「もう少し付加価値のあるサービスを提供して差し上げたい」との意識が働きます。伸びる会社は専門士業との関係性でこの状態をうまく作り出し、付加価値のある情報やサービス提供を受け、事業を拡大しているのです。
以下、具体的な方法をご紹介します。
1点目はいわゆる「丸投げ」についてです。自社で現金出納帳も付けず、タイムカード集計も行わず、かといってそれらの集計作業に見合った報酬も支払わないという事では、委託先の士業が疲弊し、あなたの会社を応援しようという意識を削いでしまうことに繋がります。
2点目は経営者の学習意欲です。例えば本来経営者として知っておくべき最低限の内容を電話で質問していませんか?また過去に質問したことを繰り返し聞いていませんか?そのような行動は専門士業の時間をいたずらに浪費させることに直結します。
3点目はお互いの立ち場の理解です。近年、多くの専門士業がいわゆる「先生業」を脱し、お客様の事業拡大を支援する「パートナー」でありたいと、自らの立場の見直しを図っています。
にもかかわらず、あなたの会社が専門士業を下請け扱いし「お金を払っているのだから、この業務をしてもらって当然だろう」等と認識しているのは大きな誤りです。
伸びる会社では専門士業との関係性を良好に保ち、専門家に対して「あなたの会社を応援したい」との意識を持たせることで、より付加価値の高いサービスや情報の提供を受けています。
まとめ
以上が連載シリーズ「伸びる会社の12の秘密」第3回人事組織編4項目の内容です。伸びる会社の経営者がどのような視点で事業と向き合っているか、ご理解頂けたかと思います。これで連載シリーズは終了です。
顧問契約乗換えプラン
「顧問税理士・社労士が介護障害福祉分野に詳しくない・・・」そのような悩みを抱えている経営者様は、是非当社の顧問契約乗換えプランをご検討ください。
【この記事の執筆・監修者】
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※ご契約がない段階での記事に関するご質問には応対できかねます。
ご了承お願い致します。
◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
◆奈良県橿原市議会議員
◆介護福祉士実務者研修修了
◆タスクマン合同法務事務所 代表
〒542-0066 大阪市中央区瓦屋町3-7-3イースマイルビル
(電話)0120-60-60-60
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