遺産介護障害福祉事業を開業する方向けの相続遺産分割講座③|分割後の登記前に別の相続人が不動産を勝手に売却した場合どうなるか

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■遺産分割協議後に相続人が土地の一部を売却!?

1.ケーススタディ~遺産分割協議後の不動産売却と登記

ケーススタディ

番号に着目してください。

1.Aの相続人はBCD(ともに子)である。
2.分割協議が整わないため土地(甲)は3名の共有登記をした。
4.その後遺産分割協議が成立し、結局甲土地は全てCが相続することになった。
3.Bは甲土地の持ち分(1/3)をXに売却した。

2.解説~遺産分割協議後の不動産売却と登記

つまり、

「遺産分割協議が成立したのに、Cが甲土地を100%自分のものだとする登記をするのが遅れた間に、登記上の1/3の所有者BがXに売却した」

というケースです。

ポイントになるのは、

「登記をするのが遅れた間に」

という点です。

このケースは「有名な」民法177条(不動産の対抗要件)で説明されます。

■不動産の二重売買と登記

1.相続と類似している二重売買

まず重要な民法177条を確認しましょう。

民法177条
「不動産に関する所有権移転は、登記をしなければ第三者に対抗することができない」

2.ケーススタディ~二重売買と登記

ケーススタディ

Eは土地をFおよびGに二重に売却して代金を得た。

3.解説~二重売買と登記

シンプルな問題です。土地がFGどちらのものになるかというと、
「先に登記をした方」

となるわけです。

不動産取引で最も恐れるべき状態がこれです。

ですので、不動産取引には「決済」と呼ばれるアナログな仕組みが残っており、

①決済日朝に、売主が他の誰かに二重売却していないか、登記情報を確認
②決済日は、銀行へ当事者が全員集まる
③売買代金の振込後も二重売却されていないか、登記情報を確認
④問題なければ解散。新たな登記申請。

という、厳重な「登記の確認」がなされるのです。

何度も繰り返します。

「登記に公信力なし。(登記を信じても保護されない)」

というのは、売主が真の所有者かどうかということ。

二重売却された相手先との関係では、

「登記をしたもの勝ち」です。

4.二重売買と遺産分割協議の共通点

二重売却の場合も、遺産分割協議の場合も以下の点で共通しているのです。

「二重売却」・・・「買主と第三者(二重売却先)は対等な関係」=「登記をしたもの勝ち」

「分割協議」・・・「分割協議による相続人と第三者は対等な関係」=「登記をしたもの勝ち」

結論として、

「分割協議まで整ったのだから、あなたはその土地を狙う第三者と対等な土俵に立たされている。一刻も早く自分名義の登記を終えておきましょう」

【この記事の執筆・監修者】

井ノ上 剛(いのうえ ごう)
※ご契約がない段階での記事に関するご質問には応対できかねます。
 ご了承お願い致します。

◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
奈良県橿原市議会議員
◆介護福祉士実務者研修修了
タスクマン合同法務事務所 代表
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