開業までに使った費用(領収書)は会社の経費にする事ができますか?

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開業までに使った費用の領収書は会社の経費にする事ができますか?
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処理方法に注意が必要ですが、概ね経費として処理することができます。
解 説


事業所をオープンをするのは3カ月ほど先なんですが、すでに会社の設立登記費用や事業所の契約金を支払っています。また開業準備のために交通費や関係者との会議費(飲食費)なども使っています。これらは会社の経費にすることはできますか?
会社設立時によくあるご質問です。通常は一生に1回あるかないかの会計処理ですね。このQ&Aコラムでは会社設立登記の前後から開業に至るまでの経費の処理方法についてご説明します。
こんな支出(立て替え)をしていませんか?
会社設立登記の前
①会社の印鑑作成費
②会社設立のための行政書士・司法書士等への報酬
③定款の認証代、設立登記の登録免許税 など
会社設立登記~開業日
④事業所不動産の契約料
⑤備品類
⑥事業用の自動車
⑦打ち合わせのための費用(交通費・飲食会議費)
以上で例示した支出は、その内容にもよりますが概ね会社の経費として処理することが出来ます。(中には減価償却費として数年に分割して経費化する場合があります)
創業者側としては、どのような管理をしておけば?
1.まずは領収書類をキチンと保管しておく
領収書類を紛失してしまうと、経費処理することができませんので、必ず保管しておいて下さい。立替する人が複数いる場合は、封筒で分けて誰が立替えたのかが分かるようにしましょう。


2.会社の銀行口座を作る
会社設立登記完了後、すぐに会社名義の銀行口座を作りましょう。このとき資本金の全額を入金して下さい。口座開設については以下のコラムもご参考下さい。
会社名義の通帳口座はいつ頃開設できますか?またどの金融機関で作れば良いですか?
すでに資本金の一部を支出してしまっている場合は、その残額を会社名義の銀行口座へ入金して下さい。
(例)
資本金300万円のうち、すでに20万円を経費として支出してしまった場合
・会社名義の銀行口座へ280万円を入金する
・20万円分の領収書は、このページで説明する方法で管理する
3.現金出納帳を作成
図のような現金出納帳を作成し、立て替えた費用の精算を行って下さい。現金出納帳の残高補充は、会社名義の銀行口座から引き出しして行って下さい。


現金出納帳に記載した領収書は、糊付けしてファイリングして下さい。この際、領収書の上部だけ糊付けし、重ね貼りしても構いません。このファイルは当社へは送付せず、会社で保管して下さい。領収書の現物を当社に送付頂かなくても、現金出納帳の送付によって会計処理ができるためです。(資料の混在を防ぐのが目的です)


4.機密を守りたい支出(領収書)は?
現金出納帳は経営者・スタッフの区別を問わず使用します。しかし、経営者が一定の機密を守りたい支出(領収書)もありますよね?これらの場合は、現金出納帳に記載せず、立替払い分として送付してもらって結構です。


この「経営者の立替え」については、冒頭でご説明した通り誰が立替えたのかが分かるように、下の図のように封筒で分けて当社へ送付して下さい。


いずれにせよ、当社へこれらの資料を送付いただくのは、事業開始月の翌月となります。それまではここでご説明した方法により、資料の整理をお願いします。
【この記事の執筆・監修者】


- (やました りゅうじ)
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◆1981年生 関西大学大学院卒
◆税理士(近畿税理士会 南支部 登録番号143312)
◆中小企業庁認定 経営革新等支援機関※ ID:106727012301
◆事務所 〒542-0066 大阪市中央区瓦屋町3-7-3イースマイルビル
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