介護障害福祉事業を開業する方向けの法定相続人講座⑥|内縁配偶者、異母兄弟姉妹の法定相続分

「内縁配偶者、異母兄弟姉妹」の法定相続分

■内縁関係の配偶者に法定相続分はあるか?

1.内縁配偶者とは何か?

法律婚との比較で用いられる表現に「内縁」という言葉があります。

例えば長年生活を共にし、表札も一つ。

ご近所からも「どこからどう見ても夫婦」に見える。

しかしその夫婦が「入籍(婚姻届を提出)」しているかどうかは外から見るだけでは分かりません。

2.内縁配偶者の法定相続分

嫡出子、非嫡出子の問題と同様に、社会情勢・価値観の変化により、「様々な形のカップルがあっても良い」、との考え方があります。

事実、社会保険における各種遺族年金については、内縁の配偶者が法律婚の配偶者に優先して支給されるというケースもあります。

遺族年金は、「残された者の生活保障」の意味合いが強いため、「実態」に即した考え方が主流になっているのですね。

しかし遺産相続の分野では、現在のところ「内縁配偶者」は保護されません。

(今後の社会情勢・価値観の変化により、この規定が改正される余地はあるのではないかと思います。)

■異母兄弟姉妹に法定相続分の差はあるか?

1.ケーススタディ~異母兄弟姉妹の法定相続分

本件のケースはあくまでも、

「兄弟姉妹のうちの一人が亡くなり、残りの兄弟姉妹が相続するケース」

であることにご注意ください。

ケーススタディ

Aには配偶者も子もいない。
Aには父母を同じくする兄Cと、父のみを同じくする兄Bがある。
(兄Bは父の前妻の子であるとする)
父母はすでに死亡している。
Aが死亡した。

2.解説~異母兄弟姉妹の法定相続分

このケースでは法定相続人は、BとCです。
Aには配偶者、子、親がないためです。

BとCの相続分が同じかどうか。
それがこのケースの論点です。

民法900条4項「異母(父)兄弟姉妹の相続分は1/2とする。」

となっています。

つまりこのケースでは、

B=1/3
C=2/3

となります。このような兄弟姉妹の事を民法では「半血(はんけつ)」と呼びます。

この問題も、今後社会情勢・価値観の変化に合わせて改正されるかもしれません。

【この記事の執筆・監修者】

井ノ上 剛(いのうえ ごう)
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 ご了承お願い致します。

◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
奈良県橿原市議会議員
◆介護福祉士実務者研修修了
タスクマン合同法務事務所 代表
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