補助金申請における3つの職場環境要件|各要件の位置づけ、フローチャートを用いた免除規定、委員会活動の選択を推奨する理由

3つの職場環境要件(介護人材補助金)
井ノ上剛(社労士・行政書士)

タスクマン合同法務事務所がお送りする福祉起業塾です。介護事業経営者の皆さん、または事業所の管理者の皆さん、補助金申請における3つの職場環境要件を正しく理解していますでしょうか?今回のコラムでは各要件の位置づけ、フローチャートを用いた免除規定、委員会活動の選択を推奨する理由について詳しく解説します。

このコラム推奨対象者

・介護事業経営者の方
・事業所の管理者の方
・各要件の位置づけについて理解したい方
・フローチャートを用いた免除規定について理解したい方
・委員会活動の選択を推奨する理由について理解したい方

コラムの信頼性

タスクマン合同法務事務所は社労士・行政書士・司法書士・税理士が合同し、介護保険事業・障害福祉事業に専門特化してご対応しています。このコラムの執筆日時点、職員数86名、累積顧客数は北海道から沖縄まで939社、本社を含め10の営業拠点で運営しています。コラムでは、各要件の位置づけ、フローチャートを用いた免除規定、委員会活動の選択を推奨する理由について詳しく解説します。

同じ内容を動画でも解説しています。

職場環境改善要件とは?

はじめに、令和7年度介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業における、「職場環境改善要件」について解説します。今回の補助金申請にあたり、国は「職場環境改善の取り組み」を求めています。具体的には、

(ア)現場の課題の見える化
(イ)業務改善活動の体制構築(委員会等)
(ウ)業務内容の明確化・役割分担の取組

のいずれか1つを実施する必要があります。

しかし、この要件を満たすために、小規模事業者が新たに会議体を設置したり、複雑な業務分析を行ったりすることは、日常業務への支障を招きかねません。

そこで重要となるのが、既存の業務や実績を最大限に活用し、新たな負担をかけずに要件をクリアする視点です。このコラムでは、皆さんが無理なく申請を行うための、実践的対応について解説します。

免除規定(フローチャート)

続いて、要件を自動的に満たすことができる「免除規定」について、フローチャートを用いて解説します。

職場環境改善要件フローチャート

ステップ1として、令和6年度「介護人材確保・職場環境改善等事業」の受給実績があるかをご確認ください。令和6年度補助金を受給している場合、職場環境改善への取り組みが必須要件であったため、今回の新たな対応は不要となります。

未受給の場合、ステップ2として、「ケアプランデータ連携システム」に加入、または加入を誓約しているかをご確認ください。今回の補助事業では、このシステムへの加入、または加入の誓約をもって、職場環境改善要件を満たす(※)ものとして取り扱われます。

※留意点

「ケアプランデータ連携システム加入」以外に「社会福祉連携推進法人に所属」、「生産性向上推進体制加算を算定(施設サービス)」でも職場環境改善要件が免除されます。

まずはこれらの「免除規定」に該当するか否かを、優先的にご確認ください。いずれにも該当しない場合、ステップ3、職場環境改善要件への対応が必要となります。

職場環境改善要件への対応

続いて、職場環境改善要件への対応について解説します。ここでご推奨するのは、(イ)業務改善活動の体制構築です。さらに言うと、委員会活動としての実績作りです。ただし、この補助金のために、新しい委員会を立ち上げる必要はありません。運営基準で既に義務付けられている「感染症対策委員会」や「虐待防止委員会」等を活用します。

これら既存の委員会の議題に「業務改善」を追加し、話し合った内容を議事録に残すようにしてください。委員会は一つずつ独立で立ち上げる必要はなく、複数の機能を統合する委員会を設置することが認められているためです。この方法であれば、新たな会議時間を設けることなく、日常業務の中で確実に要件をクリアすることが可能です。

委員会活動を推奨する理由

続いて、なぜ、他の選択肢ではなく「委員会活動」を推奨するのか、その理由についても解説します。選択肢にある「課題の見える化」や「役割分担」は、実施したという客観的な証拠、すなわちエビデンスを残すことが実務上、非常に困難です。「考えた」、「話し合った」という事実だけでは、行政による運営指導の際に指摘を受けるリスクが残ります。

一方で、委員会活動であれば、必ず「議事録」という文書が作成されます。以下で解説している手順に沿って議事録を作成いただければ、それがそのまま、補助金の要件を満たした証明書類となります。

ちなみに処遇改善加算ⅠとⅡの算定には、職場環境等要件のうち、生産性向上のための取り組みから3つ以上選択する必要があり、かつ「現場の課題の見える化」と「業務改善活動の体制構築(委員会等)」のいずれか1つが選択必須とされている点にもご注意ください。

ケアプランデータ連携システムの位置づけ

視点を変えて、ケアプランデータ連携システムが今回「別枠」で扱われている背景について解説します。

本来、このシステムは生産性向上の一環として位置づけられるものですが、今回の補助金では、他の要件とは別の「特権的な免除要件」として設定されています。

その背景として、同システムの普及率が低迷している現状に対し、国が強い危機感を抱いていることが挙げられます。

厚生労働省の資料によれば、このシステムは将来的に、国の「介護情報基盤」と統合され、介護事務のインフラとなることが決定しています。つまり、今回の特権的な扱いは、将来の義務化に向けた、国による強力な普及促進キャンペーンであると捉えるべきです。

将来の報酬改定を見据えた対応

最後に、将来の報酬改定を見据えた対応について検討します。現在は補助金の要件として「役割分担」などの簡易な取り組みも認められていますが、将来の報酬改定においては、状況が変化するのではないかと考えています。

上位の処遇改善加算を取得するための要件として、生産性向上の取り組みが必須化され、その中でも特に「委員会等による業務改善活動」や「データ連携システムの活用」が、事実上の必須要件となる可能性が高いと言えます。 つまり、今、「委員会」の形式を整えておくこと、あるいは「ケアプランデータ連携システム」を導入しておくことは、単なる今回の補助金対策にとどまらず、将来の厳しい制度改正を生き残るための、重要な布石となります。

まとめ

今回のコラムでは補助金申請における3つの職場環境要件について解説しました。各要件の位置づけ、フローチャートを用いた免除規定、委員会活動の選択を推奨する理由についてご理解いただけたかと思います。

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【この記事の執筆・監修者】

井ノ上 剛(いのうえ ごう)
※ご契約がない段階での記事に関するご質問には応対できかねます。
 ご了承お願い致します。

◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
奈良県橿原市議会議員
◆介護福祉士実務者研修修了
タスクマン合同法務事務所 代表
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