このコラムを3分読めば理解できること

・訪問看護の設立・開業に必要な常勤換算2.5名の意味が理解できる
・理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の訪問看護における位置づけが理解できる
・訪問看護ステーションにおける管理者の役割が理解できる

訪問看護ステーションの設立・開業を計画中の方向け、人員基準解説コラム。このコラムでは訪問看護ステーションの設立・開業に必要な人員基準について、介護・福祉事業の設立開業支援の専門家が詳しく解説する。

このコラムの目次

①必要人員2.5名に算定できる資格者、指揮命令関係
-常勤換算法とは?
-常勤換算法に算入できる資格者は?
-出来高払いの勤務看護師の取り扱い
②理学療法士等の配置について
③訪問看護ステーションの管理者
-管理者の要件
-管理者の責務
-管理者の兼務
④このコラムのまとめ

①必要人員2.5名に算定できる資格者、指揮命令関係

-常勤換算法とは?

新たに訪問看護事業所を立ち上げる場合、看護師数は常勤換算法で2.5名以上必要となることはご存知のことと思う。

ここで言う常勤換算法とは、例えばパート勤務など短時間勤務の看護師がいる場合に、全看護師の勤務時間合計を、事業所の所定労働時間で割った数を、看護師の人数として計算してよい、という仕組みである。

例)
短時間勤務者を含む看護師の1週労働時間合計100時間
この事業所の1週当たり所定労働時間が40時間
勤務時間合計(100時間)÷ 事業所の所定労働時間(40時間)=2.5名

なお1週当たり所定労働時間は、一般的には40時間であるが、訪問看護事業所が独自に定めることができる。

所定労働時間が少ないほど、上記の計算例で言う「勤務時間合計」が少なく2.5名を達成することができるが、所定労働時間の下限は32時間とされている。

逆算すると、2.5名の常勤換算を満たすための最低ラインの勤務時間は次の通り計算することができる。

事業所の所定労働時間(32時間)× 2.5名 = 勤務時間合計(80時間)

尚、看護師のうち、少なくとも1名以上は常勤としなければならない。

-常勤換算法に算入できる資格者は?

ここで常勤換算2.5名に算入できる資格者について確認しておこう。看護師以外に常勤換算2.5名に算入できるのは次の資格者だ。

保健師

保健指導、健康管理を主に担当。受験のためには看護師資格を得ている必要がある。

准看護師

医師、看護師の指示のもとで診療補助を行う。国家資格である看護師と異なり、准看護師では都道府県認定の資格であるが、活動は当道府県を超えて行うことができる。ただし訪問看護報酬は10%減算される。
>>准看護師に関する報酬減算はこちら

-出来高払いの勤務看護師の取り扱い

時給制で勤務する看護師と異なり、1件ごとの訪問実績に応じて給与が決まる看護師のことを、仮に「出来高払い制」と名付けることにしよう。

時給制と異なり出来高払い制の場合、勤務時間を固定化することが困難だ。そのため、出来高払い制の看護師を雇用する場合の常勤加算法は、次の通りとなる。

過去に事業所で出来高払い制の雇用実績がある場合

出来高払い制の看護師の週当たり平均稼働時間によって、常勤換算を計算する

過去に事業所で出来高払い制の雇用実績がない場合(つまり新規指定)

確実に稼働できるものとして、勤務表に明記されている時間。当然ながら、勤務表と実態が乖離している場合は、指導対象となるので注意しよう。

②理学療法士等の配置について

訪問看護ステーションには看護師以外の次の資格者を配置し、訪問看護サービスを提供させることができる。(人員基準2.5名には算入できない)

理学療法士(PT)

運動機能回復のためのリハビリテーションの専門資格

作業療法士(OT)

日常生活動作に関するリハビリテーションの専門資格

言語聴覚士(ST)

咀嚼、言語機能に関するリハビリテーションの専門家

訪問看護ステーション設立・開業のために最低限必要な2.5名は保健師、看護師、准看護師の3資格だけで計算するため、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士は何名配置しても必要人員の計算には参入することができない。

従って、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士については、法令上「実情に応じた適当数」を配置すれば足りるとされている。(もちろん配置しなくても良い)

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が訪問看護業務に従事する際、報酬単価は低めに設定されていることも理解しておこう。
>>理学療法士などの報酬算定はこちら

③訪問看護ステーションの管理者

-管理者の要件

訪問看護ステーションには、管理者を配置しなければならない。管理者の要件は次の全てを満たす者とされている。

・常勤であること
・保健師または看護師であること
・医療機関における看護または訪問看護に従事した経験があること

-管理者の責務

訪問看護ステーション管理者は、「従業員・サービス提供契約の締結・サービスの実施状況」、以上3点について一元的に管理する責任を負っている。

-管理者の兼務

訪問看護ステーションの管理者は、管理業務に専従する必要があるため、原則として常勤換算法2.5名の人員に算入することはできない。

しかし、次の兼務を行う場合で、かつ訪問看護の管理業務に支障がない場合は兼務を認められる。

・訪問看護職員としての従事
・同一敷地内の他の事業の業務

④このコラムのまとめ

以上が訪問看護ステーションの設立・開業に必要な人員基準についての概要だ。常勤の管理者が訪問看護師業務を兼ねる場合、2.5名の看護師等により、訪問看護ステーションを開業することができる。

常勤換算法を正しく理解しておかないと、無駄な人員配置に繋がる可能性がある。訪問看護事業の開業を計画する際は、是非当事務所の無料相談を利用されることをお勧めする。

訪問看護設立・開業の電話相談

訪問看護ステーション設立・開業前の方へ

①訪問看護とは?介護保険と医療保険の観点から
②訪問看護ステーション設立・開業に必要な人員基準
③訪問看護ステーションの事業所(事務所)要件
④訪問看護設立・開業前に把握したい運営上の注意点
⑤訪問看護の介護保険報酬1 基本報酬を中心に
⑥訪問看護の介護保険報酬2 加算を中心に

【この記事の執筆・監修者】

井ノ上 剛(いのうえ ごう)
◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士、行政書士、奈良県橿原市議会議員
タスクマン合同法務事務所 代表
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