介護保険事業の指定前研修とは?大都市圏で義務化されている「指定前研修」のスケジュールについて。法人設立のタイミングも比較

介護保険事業の指定前研修
井ノ上剛(社労士・行政書士)

東京都、大阪府等の大都市では介護保険事業の指定申請スケジュールに、「指定前研修」の制度が組み込まれています。申請件数が膨大な数になるため、指定前研修を通じて、開業予定者に対して正しい知識を理解しもらい、申請手続きを円滑にすることが目的です。同時に、介護保険法の理解を深め、開業後の正しい事業運営を促す目的も含みます。

このコラムの推奨対象者

・介護保険事業の指定申請と指定前研修の関係を理解したい人
・指定前研修から実際の指定日までのスケジュールを理解したい人

コラムの信頼性

タスクマン合同法務事務所は介護障害福祉事業の設立と運営支援に特化した、専門事務所です。これまで400社を超える介護障害福祉事業の設立をご支援してきましえた(令和3年7月時点)。特に大都市圏では指定申請の前段階として、「指定前研修の受講」が義務付けられている場合があります。コラムでは指定前研修について解説します。

介護保険事業 指定申請書類の提出期限

介護保険事業、障害福祉事業を開業するためには行政庁から、事業所に対する「指定」を受ける必要があります。いわゆる営業許可のことです。「指定」は原則毎月1日に出されます。

多くの自治体では、「指定希望月」の前々月末を申請書の提出期限に設定していることが多いと思います。

大阪市を例にとってみます。。仮に4月1日に指定を受けたい場合、申請書の受付期限は1月28日~2月28日と定められています。ここで注意が必要となるのは次の点です。

指定申請受付期間で注意すべきこと

× 2月28日までに申請書を提出する
〇 2月28日までに書類審査を受け、100点の状態にする

この例では2月28日が受付期限となっているため、遅くとも1週間前の2月21日までには申請を行い、1週間の補正(訂正)期間の余裕が欲しいところです。

当事務所では「指定日-45日」程度を申請書提出の最終期限であるとしてスケジューリングしています。上記の例で言うと、2月15日です。

なお、大阪市などは「書類提出完了日」の期限を設けているだけでなく、「第1回目の書類提出日」についても期限が定められている点に注意が必要です。

上記事例で言えば、第1回目の書類提出日期限は2月4日で設定されています。ここまでを整理すると、次のようになります。

指定申請の受付スケジュール(4月1日開業を目指す場合の例)

2月4日までに申請書を提出する。(これは「とりあえず持ち込む」程度の認識でもOKです)

2月15日までに、本申請を行う。(90点くらいの出来でないと後が厳しくなります)

2月28日までに、最終補正を行う。(ここで100点となる必要があります)

介護保険事業の指定前研修制度

日本全国、多くの自治体は単に「書類提出完了日」の期限を定めているに留まりますが、一部大都市圏では「指定前研修」の制度を事前に設けています。

大阪市を例にとると、4月1日に指定を受けるためには、1月中旬に開催される指定前研修への出席が必須となります。

新型コロナウイルス感染症防止対策

新型コロナウイルス感染症防止対策として、従来「指定前研修」を義務付けていた自治体でも、一時的に指定前研修制度を見送っているケースがあります。

大阪市を例にとると、令和2年9月1日指定分をもって、介護保険事業の指定前研修受講制度が中止されました。

さらに、指定前研修を受けるためには、指定前研修受講のための予約申し込みを行う必要があります。こうなると申請スケジュールは最低でも4カ月は必要なってくるわけです。

指定前研修に関するQ&A

次に指定前研修について、よくある質問に回答します。(大阪市事例)

指定前研修の参加にお金はかかりますか?

指定前研修の参加自体は無料です。しかし指定前研修の受講後、実際の介護保険事業の指定申請を行う際は、申請手数料が必要となります。多くの自治体で、1申請概ね3万円程度の申請手数料を徴収しています。

指定前研修の受講時に法人が設立されていなければならないのですか?

指定申請者が法人に限られている以上、指定前研修も法人として受講する必要があります。そのような意味では、少なくとも指定前研修時には法人が設立されていなければなりません。

法人は法務局への登記書類提出日に成立(設立)するため、最低でも指定前研修日の当日には法人設立登記申請が終わっている必要があります。。

指定前研修の予約時には法人が設立されていなければならないのですか?

自治体により取り扱いが異なりますので、個別自治体でご相談ください。

指定前研修は誰が受ければよいのですか?

原則として、指定前研修の受講者は法人代表者、または管理者が受講する必要があります。大阪市では1事業所1名の参加に限定されています。

開業日(指定日)が未定ですが、先に指定前研修だけ受けておくことはできますか?

できません。大阪市では、指定前研修日と指定日が連動する仕組みとなっています。

このコラムのまとめ

以上が指定前研修制度の概要です。大都市で実施されている介護・障害福祉事業の指定前研修制度は、研修としての機能とは別に、申請件数の絞り込み機能もあると言えます。

つまり、申請件数が非常に多い大都市において、申請スケジュールの中に何度も期限を設け、これらの期限を守って申請する事業者だけが指定(開業)にたどり着ける、という仕組みです。

介護・障害福祉事業のスケジューリングでお悩みの際は、是非タスクマン合同法務事務所の無料開業相談をご利用ください。

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【この記事の執筆・監修者】

井ノ上 剛(いのうえ ごう)
※ご契約がない段階での記事に関するご質問には応対できかねます。
 ご了承お願い致します。

◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
奈良県橿原市議会議員
◆介護福祉士実務者研修修了
タスクマン合同法務事務所 代表
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