同じ建物に住む要介護利用者にまとめて訪問介護サービスを提供した場合の減算【老人ホーム・サ高住・賃貸マンション】

同じ建物に住む要介護利用者に、まとめて訪問介護サービスを提供した場合の減算
井ノ上剛(社労士・行政書士)

老人ホームやサ高住をはじめ、賃貸マンション等に住む介護保険利用者に対して、同時に訪問介護サービスの提供ができれば、非常に効率的ですね。しかし実際には、個別利用者宅訪問の場合との均衡をはかるため、報酬の減算措置が取られています。このコラムでは同じ建物の居住者に、まとめて訪問介護サービスを提供する場合の報酬減算について詳しく解説します。

このコラムの推奨対象者

・同じ建物の住人に訪問介護サービスを提供した場合の減算を理解したい人
・具体的に、どのような形状の建物が減算対象になるのかを理解したい人
・建物所有者要件、利用者の人数算定要件を理解したい人

コラムの信頼性

タスクマン合同法務事務所は、介護障害福祉事業の支援に特化した法務事務所です。このコラムのリライト(更新)時である、令和3年7月時点で、介護障害福祉事業の累積開業支援実績が400社を越えました。日々の開業相談の中で、多くの訪問介護開業予定者から、加算や減算の相談をお受けしています。このコラムでは老人ホームやサ高住を始め、一般賃貸マンションにまとまって居住する要介護者に対して、訪問介護サービスを提供した場合の減算について解説します。

実地指導が強化されます(令和3年報酬改定)

このコラムをお読み頂く前に、令和3年介護報酬改定による、「実地指導強化」についてのこちらのコラムをお読みください。同じ老人ホーム、サ高住、賃貸マンションなどに入居する要介護者に対して、ケアプランの実地指導が強化されることがご理解いただけると思います。

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同じ建物の利用者にまとめて訪問介護をしたら減算?

訪問介護利用者宅の間の移動に要する時間を考えると、同じ建物に住む高齢者に、まとめて訪問介護を提供することができれば非常に効率的です。

例えば、老人ホームやサ高住(サービス付高齢者住宅)に対して、外部から訪問介護サービスを提供する場合や、一般の賃貸住宅に要介護高齢者が多く居住する場合等です。

介護保険法では、このように効率的な訪問介護サービスを提供する事業者に対しては、報酬を一定比率減算することで、通常サービスとの均衡をはかっています。具体的には次の通りです。

  介護事業所と同一・隣接敷地 その他
人数 ~49人 50人~ 20人~
算定率 90% 85% 90%
減算率 10% 15% 10%

訪問介護サービスの基本報酬については、こちらのコラムをご参照ください。

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同一敷地内、隣接敷地内の建物、具体的には?

訪問介護サービス費が減算される「同一敷地内」、「隣接敷地」というのは、文言をそのまま読んで判断するのではなく、構造上、外形上一体的になっているかどうかで判断します。

例えば、道路1本のみで隔たっている場合や、渡り廊下で繋がっている場合なども、減算対象の可能性があります。

ただし、例え同一敷地内であっても、敷地があまりに広大過ぎる場合や、隣接敷地であっても道路や河川で隔てられていて、迂回しなければたどり着けないような場合には、減算の趣旨である効率的なサービス提供ができません。このような場合には減算対象とならないということも理解しておきましょう。

建物の所有者が別法人なら問題ない?

先に解説した建物については、訪問介護事業者とは別人(別法人)の所有である場合にも、当然に減算対象となります。

建物の管理会社、運営会社が訪問介護事業所と同じか否かは、同一建物減算を算定する上では関係がないのです。

利用者数はどのように計算する?

今回解説をしている同一建物減算については、利用者が20人、50人という区切りで減算の適用内容が異なります。

ここでいう、人数は1か月の利用者の平均値を取ります。この場合訪問介護事業所が1号訪問介護(予防)も併せてサービス提供している場合、1号利用者も併せて平均値を計算する必要がある点に注意しましょう。

1号訪問介護についてはこちらのコラムをご参照ください。

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このコラムのまとめ

以上が、同一建物に居住する利用者への訪問介護減算のルールです。効率的な訪問介護サービスの運営ができる反面、報酬単位の減算が生じるという問題も含んでいます。

減算の適用条件をじっくり読めば、事業所と一定の距離のある20名未満の利用者への訪問介護サービス提供など、工夫できることはたくさんありそうですね。

制度を十分に理解して、訪問介護事業の開業に臨んでください。

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