共同生活援助(障害者グループホーム)の基礎知識|世話人・生活支援員の役割|事業所の責任と運営規定の記載事項を詳しく解説

共同生活援助(障害者グループホーム)設立と開業に必要な人員基準と設備基準
井ノ上剛(社労士・行政書士)

共同生活援助(障害者グループホーム)の設立・開業を計画中の方向けに、基礎知識を解説するコラムです。このコラムではこれから共同生活援助(障害者グループホーム)を立ち上げる方に対して、共同生活援助(障害者グループホーム)の種類、制度の目的を詳しく解説します。解説は介護障害福祉分野専門の社会保険労務士、行政書士です。

このコラムの推奨対象者

・共同生活援助(障害者グループホーム)の概要を理解したい方
・3種類の運営種類 を理解したい方
・共同生活援助事業所の責任 を理解したい方

コラムの信頼性

タスクマン合同法務事務所は、介護障害福祉事業の設立と運営支援に専門特化した合同法務事務所です。このコラムのリライト(更新)時である、令和3年10月時点、これまでに設立支援した介護障害福祉事業件数が、累積400社を突破。 共同生活援助(障害者グループホーム)の開業相談についても年間、数多くご対応しています。安心してお読み下さい 。

共同生活援助(障害者グループホーム)の種類

障害者の共同生活を支援する共同生活援助には、次の種類があります。

共同生活援助3つの種類

1.広義の介護サービス包括型
 ア)狭義の介護サービス包括型
 イ)日中サービス支援型
2.外部サービス利用型

以下、介護の提供方法に沿って、具体的な違いを比較しているので、ご参照下さい。

大区分 中区分 介護の提供
1.介護サービス包括型(広義) ア)介護サービス包括型(狭義) 施設内の生活支援員が介護を行う
区分4以上に限り、個別に外部事業者の介護を受けることも可(期限付き措置)
イ)日中サービス支援型 重度障害者に常時生活支援員が介護を行う
区分4以上に限り、個別に外部事業者の介護を受けることも可(期限付き措置)
2.外部サービス利用型 外部サービス利用型 外部の居宅介護事業所が介護を行う(この場合生活支援員は配置不要)

現状、共同生活援助(障害者グループホーム)は介護サービス包括型(表の1)が概ね全体の8割を占めています。当社で支援する共同生活援助も、実際にはほぼ100%が狭義の介護サービス包括型であるため、本コラムにおいても、狭義の介護サービス包括型を前提に解説を進めます。

共同生活援助(障害者グループホーム)の目的

共同生活援助(障害者グループホーム)は、共同生活する障害者に対して、主として夜間に家事支援および介護サービスを提供する障害福祉サービスです。日中はグループホーム外で就労等の活動をすることを前提としています。

住宅地域を遠く離れた入所施設での生活ではなく、住宅地域で共同生活し、家族や地域住民との交流を図りつつ、自立生活を行うことを支援するのが共同生活援助(障害者グループホーム)の目的です。

事業所側の責任

ここでは共同生活援助(障害者グループホーム)の事業所側の責任について確認して行きましょう。

利用者の生活上の支援

共同生活援助事業者は、入居利用者の日常生活上の支援を行う必要があります。具体的には次の通りです。

入退去時の手続き

共同生活援助事業者は入居だけでなく、退去および退去後の保健医療サービス、福祉サービス提供業者との連携まで責任を負っています。

世話人によるサポート

住居内で主に家事を担う世話人は、調理、洗濯、掃除などを単独で実施するのではなく、利用者と共同で行い、家庭的な生活環境を築かなければなりません。
>>世話人の必要数はこちら

生活支援員によるサポート

生活支援員は、共同生活住居内で主に入居者の介護を担います。食事、入浴、排せつなどを介助し、利用者が自主性を保ち、意欲的に日々の生活を送れるよう支援する義務を負っています。
>>生活支援員の必要数はこちら

サテライト型住居への巡回

共同生活援助(障害者グループホーム)にはサテライト型住居を設置することが認められています。
>>サテライト型住居の詳細はこちら

サテライト型住居は本居住宅と20分程度で往来できる距離に設置する、単身用住居です。サテライト型住居に対しては、原則1日複数回の訪問により相談と介護を行います。

3年以内にサテライト型住居から一般住宅へ移行するように支援することが目的です。

手続きの代行

共同生活住居の利用者が行うべき各種の行政手続きについては、利用者同意の上で、事業者側が代行すべき義務が定められています。

運営規定の整備

共同生活援助事業者は、事業の運営規定を定める必要があります。運営規定には次の内容を記載します。

共同生活援助の運営規定記載事項

事業の目的と運営の方針
従業者の職種、員数および職務の内容
入居定員
利用者から受領する費用の種類、額
・食材費
・家賃
・水道光熱費
・日用品費
入居にあたっての留意事項
緊急時の対応方法
非常災害対策
対象障害種類を定める場合はその種類
虐待防止のための措置

協力医療機関を選定する

共同生活援助事業者は、協力医療機関を選定し、その契約内容を明確にしなければならず、指定申請書にも添付が義務付けられています。医療機関条件に付いては、自治体ごとで具体的なルールが定められている場合があるため、事前に確認しましょう。

協力医療機関の条件(例)

・診療科目(通常は内科が望ましいとされている)
・距離(徒歩、車での距離。一般的には車で20分程度内)

このコラムのまとめ

以上が共同生活援助(障害者グループホーム)の設立・開業に必要な基礎知識です。

特に3種類の共同生活援助の選択は、事業開始後の報酬単価にも大きく影響するため、綿密な検討を行いましょう。共同生活援助の設立・開業をご計画中の方は、是非当事務所の無料開業相談のご利用を。

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【この記事の執筆・監修者】

井ノ上 剛(いのうえ ごう)
【記事内容自体に関するご質問には応対できかねますので、ご了承お願い致します。】

◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
奈良県橿原市議会議員
◆介護職員実務者研修修了
タスクマン合同法務事務所 代表
 〒542-0066 大阪市中央区瓦屋町3-7-3イースマイルビル
 (電話)0120-60-60-60 
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