デイサービスの加算と減算|サービス提供体制強化、人員欠如、中重度者ケア体制、認知症、若年性認知症利用者受入、個別機能訓練

デイサービス(通所介護)設立・開業前に理解しておきたい人員配置に関する加算と減算
井ノ上剛(社労士・行政書士)

デイサービス(通所介護)の加算と減算について解説します。ここで説明する加算と減算は、サービス提供体制強化加算、人員欠如減算、中重度者ケア体制加算、認知症加算、若年性認知症利用者受入加算、個別機能訓練加算です。デイサービス(通所介護)の開業前に、人員体制に関する加算減算ルールを正しく理解し、開業に備えましょう。

このコラムの推奨対象者

・デイサービス(通所介護)での人員配置に関する加算制度を理解したい人
・特にケア体制を充実させるために人員配置する場合の加算を理解したい人

コラムの信頼性

タスクマン合同法務事務所は、介護障害福祉事業の設立と運営支援に専門特化した合同法務事務所です。このコラムのリライト(更新)時である、令和3年8月時点、これまでに設立支援した介護障害福祉事業件数が、累積400社を突破。日々の開業相談の中で、デイサービスの人員配置加算についても数多くご対応しています。安心してお読み下さい。

サービス提供体制強化加算

デイサービス(通所介護)におけるサービス提供体制強化加算とは、事業所に所属する介護職員の専門性に応じて、次の表の通り報酬加算を算定することができる制度です。

加算種別 加算単位 介護職員の要件
22 介護福祉士が70%以上 または
勤続10年以上介護福祉士が25%以上
18 介護福祉士が50%以上
介護福祉士が40%以上 または
勤続7年以上介護福祉士が30%以上

職員の割合の算定については、前年度の平均によって行います。前年度の実績が6カ月に満たない事業者(新設・再開事業所を含む)については届出月の前3カ月で算定するため、新設・再開事業所は、4カ月目以降でないとサービス提供体制強化加算を算定できない点に注意しましょう。

またサービス提供体制強化加算Ⅱ以外で問われる「勤続」については、同一法人内の福祉関連職種での勤務に限り通算することが出来ます。

人員欠如減算

デイサービス(通所介護)事業所においては、配置すべき最低人員の基準が設けられています。この人員基準を下回った場合に、次の表に基づき30%減算(70%算定)が生じます。

対象職種 どんな場合に減算? いつから?
看護職員 1月延べ配置数÷提供日数<0.9 不足翌月
勤務延べ時間÷必要時間<1 不足翌々月
介護職員 勤務延べ時間÷必要時間<0.9 不足翌月
勤務延べ時間÷必要時間<1 不足翌々月

この場合、指定取消になる可能性もあるため、直ちに利用定員の見直しまたは従業員の確保を計画しましょう。

中重度者ケア体制加算

デイサービス(通所介護)における中重度者ケア体制加算は、要介護度の高い利用者に対するケア体制を敷く事業所に対する加算です。1日あたり全利用者に対して45単位を加算することができます。

具体的には次の3点を全て満たす事業所が対象です。

中重度者ケア体制加算

・必要人員に加えて、看護職員または介護職員を2以上確保
・サービス提供時間を通じて、常時看護職員を1名以上配置
・要介護度3~5の利用者の割合が30%

中重度者ケア体制加算は、次に説明する認知症加算も併せて算定することができる点を理解しておきましょう。

認知症加算、若年性認知症利用者受入加算

デイサービス(通所介護)における認知症加算は、認知症行動のある利用者に対して、特別のケア体制を敷く事業所に対する加算です。1日あたり60単位を加算することができます。

認知症加算の利用対象者

日常生活自立度   本人の状況
ランクⅢ 日常生活に支障を来たすような症状・行動や意思疎通の困難さが見られ、介護を必要とする。
ランクⅣ 日常生活に支障を来たすような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られ.常に介護を必要とする。
ランクM 著しい精神症状や問題行動あるいは重篤な身体疾患が見られ、専門医を必要とする。

認知症加算の算定条件

次の全てを満たす必要があります。

認知症加算の算定条件

・必要人員に加えて、看護職員または介護職員を2以上確保
・日常生活自立度Ⅲ、Ⅳ、Mの割合が20%以上
・サービス提供時間を通じて、※認知証研修修了者を1名以上配置

※令和3年度改定
認知症研修修了者に、「認知症看護」研修を修了している看護師、「精神科認定看護師」などが追加されました。

若年性認知症利用者受入加算

受け入れた若年性認知症利用者ごとに個別担当者を定め、サービス提供する場合に1日あたり60単位を加算することができます。

個別機能訓練加算

デイサービス(通所介護)における個別機能訓練加算は、リハビリテーションの専門家を配置して、利用者ごとの個別機能訓練計画を策定し、実施した場合に算定できる加算です。

ここで言うリハビリテーションの専門家とは次の資格者を指します。

リハビリテーション専門家とは?

・理学療法士
・作業療法士
・言語聴覚士
・看護職員
・柔道整復師
・あん摩マッサージ指圧師
・はり師またはきゅう師(6月以上指導を受ける必要がある

上記を総称して「理学療法士等」と呼びます。加算種別は2種類あり、具体的には次の表の通りとなります。

加算種別 実施態様 単位数(月)
加算Ⅰーイ 専従の理学療法士等を1名以上配置(配置時間の定めなし) 56単位
加算Ⅰーロ 専従の理学療法士等を1名以上、サービス提供時間を通じて配置 85単位
加算Ⅱ 個別機能訓練計画等の内容を厚労省(CHASE)へデータ提出しフィードバックを活用 20単位
(Ⅰに上乗せ)

このコラムのまとめ

以上がデイサービス(通所介護)設立・開業前に理解しておきたい人員配置に関する加算と減算についての概要です。

人員の配置計画を綿密に行うことで、あなたの理想の通所介護サービスを提供するとともに、漏れなく加算を算定することができます。

人員配置計画を検討する際は、是非デイサービス(通所介護)設立支援の専門である、タスクマン合同法務事務所までご相談下さい。

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【この記事の執筆・監修者】

井ノ上 剛(いのうえ ごう)
【記事内容自体に関するご質問には応対できかねますので、ご了承お願い致します。】

◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
奈良県橿原市議会議員
◆介護職員実務者研修修了
タスクマン合同法務事務所 代表
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