デイサービス(通所介護)設立・開業前に理解しておきたい人員配置に関する加算と減算
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このコラムを3分読めば理解できること
・デイサービス(通所介護)での人員配置に関する加算制度が理解できる
・特にケア体制を充実させるために人員配置する場合の加算が理解できる
これからデイサービス(通所介護)を設立・開業する方向けの、人員配置に関する加算と減算の解説コラム。このコラムではデイサービス(通所介護)設立・開業前に理解しておきたい人員配置に関する加算減算について、介護保険事業の開業支援専門家が詳しく解説する。
このコラムの目次
①サービス提供体制強化加算
②人員欠如減算
③中重度者ケア体制加算
④認知症加算、若年性認知症利用者受入加算
⑤個別機能訓練加算
⑥このコラムのまとめ
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①サービス提供体制強化加算
デイサービス(通所介護)におけるサービス提供体制強化加算とは、事業所に所属する介護職員の専門性に応じて、次の表の通り報酬加算を算定することができる制度だ。
加算種別 | 加算単位 | 介護職員の要件 |
Ⅰ-イ | 18 | 介護福祉士が50%以上 |
Ⅰ-ロ | 12 | 介護福祉士が40%以上 |
Ⅱ | 6 | 勤続3年以上が30%以上 |
職員の割合の算定については、前年度の平均によって行う。前年度の実績が6カ月に満たない事業者(新設・再開事業所を含む)については届出月の前3カ月で算定するため、新設・再開事業所は、4カ月目以降でないとサービス提供体制強化加算を算定できない点に注意しよう。
またサービス提供体制強化加算Ⅱで問われる「勤続」については、同一法人内の福祉関連職種での勤務に限り通算することが出来る。
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②人員欠如減算
デイサービス(通所介護)事業所においては、配置すべき最低人員の基準が設けられている。この人員基準を下回った場合に、次の表に基づき30%減算(70%算定)が生じる。
対象職種 |
どんな場合に減算? |
いつから? |
看護職員 |
1月延べ配置数÷提供日数<0.9 |
不足翌月 |
勤務延べ時間÷必要時間<1 |
不足翌々月 |
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介護職員 |
勤務延べ時間÷必要時間<0.9 |
不足翌月 |
勤務延べ時間÷必要時間<1 |
不足翌々月 |
この場合、指定取消になる可能性もあるため、直ちに利用定員の見直しまたは従業員の確保を計画しよう。
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③中重度者ケア体制加算
デイサービス(通所介護)における中重度者ケア体制加算は、要介護度の高い利用者に対するケア体制を敷く事業所に対する加算だ。1日あたり全利用者に対して45単位を加算することができる。
具体的には次の3点を全て満たす事業所が対象だ。
・必要人員に加えて、看護職員または介護職員を2以上確保
・サービス提供時間を通じて、常時看護職員を1名以上配置
・要介護度3~5の利用者の割合が30%
中重度者ケア体制加算は、次に説明する認知症加算も併せて算定することができる点を理解しておこう。
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④認知症加算、若年性認知症利用者受入加算
デイサービス(通所介護)における認知症加算は、認知症行動のある利用者に対して、特別のケア体制を敷く事業所に対する加算だ。1日あたり60単位を加算することができる。
認知症加算の利用対象者
日常生活自立度 | 本人の状況 |
ランクⅢ | 日常生活に支障を来たすような症状・行動や意思疎通の困難さが見られ、介護を必要とする。 |
ランクⅣ | 日常生活に支障を来たすような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られ.常に介護を必要とする。 |
ランクM | 著しい精神症状や問題行動あるいは重篤な身体疾患が見られ、専門医を必要とする。 |
認知症加算の算定条件
次の全てを満たす必要がある。
・必要人員に加えて、看護職員または介護職員を2以上確保
・日常生活自立度Ⅲ、Ⅳ、Mの割合が20%以上
・サービス提供時間を通じて、認知証研修修了者を1名以上配置
認知症加算については、先に説明した中重度者ケア体制加算と併せて算定することが出来る点を理解しておこう。
若年性認知症利用者受入加算
受け入れた若年性認知症利用者ごとに個別担当者を定め、サービス提供する場合に1日あたり60単位を加算することができる。
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⑤個別機能訓練加算
デイサービス(通所介護)における個別機能訓練加算は、リハビリテーションの専門家を配置して、利用者ごとの個別機能訓練計画を策定し、実施した場合に算定できる加算だ。
ここで言うリハビリテーションの専門家とは次の資格者を指す。
・理学療法士
・作業療法士
・言語聴覚士
・看護職員
・柔道整復師
・あん摩マッサージ指圧師
・はり師またはきゅう師(6月以上指導を受ける必要がある
上記を総称して「理学療法士等」と呼ぶ。加算種別は2種類あり、具体的には次の表の通りとなる。
加算種別 | 実施態様 | 単位数 |
加算Ⅰ | 理学療法士等の管理のもと実施 | 46単位 |
加算Ⅱ | 理学療法士等が直接実施 | 56単位 |
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⑥このコラムのまとめ
以上がデイサービス(通所介護)設立・開業前に理解しておきたい人員配置に関する加算と減算について概要だ。
人員の配置計画を綿密に行うことで、あなたの理想の通所介護サービスを提供するとともに、漏れなく加算を算定することができる。
人員配置計画を検討する際は、是非デイサービス(通所介護)設立支援の専門である、タスクマン合同法務事務所までご相談を。


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◎デイサービス(通所介護)の設立・開業前の方へ
①デイサービス(通所介護)の概要を理解しよう
②デイサービス開業・設立に必要な従業員の基準要件
③通所型事業における物件調査(建築・消防)
④デイサービス設立・開業時の事業所要件
⑤運営規定とは?デイサービス(通所介護)編
⑥デイサービスの基本報酬と加算減算ルール
⑦設立・開業前に確認/人員配置に関する加算減算
⑧特別な取り組みを行う場合の加算について
⑨処遇改善加算(介護福祉職員)とは?仕組みをわかりやすく解説
⑩特定処遇改善加算(介護福祉職員)2019年/令和元年10月改正を詳しく解説
【この記事の執筆・監修者】


- (いのうえ ごう)
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◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士、行政書士、奈良県橿原市議会議員
◆タスクマン合同法務事務所 代表
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