デイサービス(通所介護)|入浴介助加算、生活機能向上連携加算、ADL維持等加算、栄養アセスメント加算、栄養改善加算、口腔・栄養スクリーニング加算、口腔機能向上加算

デイサービス(通所介護)設立・開業前に理解しておきたい特別な取り組みを行う場合の加算
井ノ上剛(社労士・行政書士)

デイサービス(通所介護)の設立を計画中の方に対する加算解説コラム。デイサービスの加算算定ルールを正しく理解していますか?入浴介助加算、生活機能向上連携加算、ADL維持等加算、栄養アセスメント加算、栄養改善加算、口腔・栄養スクリーニング加算、口腔機能向上加算について詳しく解説します。

このコラムの推奨対象者

・デイサービス(通所介護)における特別なサービスと加算の関係が理解できる
・それぞれの加算の算定要件を理解できる

コラムの信頼性

タスクマン合同法務事務所は、介護障害福祉事業の設立と運営支援に専門特化した合同法務事務所です。このコラムのリライト(更新)時である、令和3年8月時点、これまでに設立支援した介護障害福祉事業件数が、累積400社を突破。日々の開業相談の中で、デイサービスの加算についても数多くご対応しています。安心してお読み下さい。

入浴介助加算

デイサービス(通所介護)事業所における入浴介助加算は、利用者の入浴に際して介助、転倒予防のための声掛け、気分の確認を行うなどをもって算定できる加算です。

加算区分 単位(日) 算定要件
40 入浴介助を行う人員と設備を有して入浴介助を実施
55 Ⅰの要件に加えて
・医師等が居宅の浴室を訪問し、環境を評価
・機能訓練指導員が個別入浴計画を策定
・上記計画に基づき居宅状況に近い環境で入浴介助を実施

生活機能向上連携加算

デイサービス(通所介護)事業所における生活機能向上連携加算は、外部の専門機関との連携により、利用者の身体状況の評価を行い、併せて個別機能訓練計画を作成した場合に算定できる加算です。ここで言う外部の専門機関とは次の機関を指します。

外部の専門機関

・訪問リハビリテーション事業所
・通所リハビリテーション事業所
・リハビリを実施している医療機関

☑令和3年度報酬改定

〇生活機能向上連携加算Ⅰ(100単位/月)
 外部専門機関の助言により個別機能訓練計画を策定し、ICTを活用した動画などで助言を受ける
〇生活機能向上連携加算Ⅱ(200単位/月)
 外部専門機関との連携によって、3カ月に1回以上利用者の評価を行い、利用者またはその家族に説明する

ADL維持等加算

デイサービス(通所介護)事業所におけるADL維持等加算は、利用者のADL(日常生活動作)を6カ月評価し、その維持改善の度合いによって算定できる加算です。

加算種別 加算単位(月) 要件
加算Ⅰ 30単位 (イ)利用期間が6カ月を超える利用者が10人以上
(ロ)利用者全員の利用開始月と6カ月目に厚労省へデータ提出
(ハ)ADL利得の平均が1以上
加算Ⅱ 60単位 (イ)(ロ)を満たしたうえで、ADL利得の平均が2以上

栄養アセスメント加算、栄養改善加算、口腔・栄養スクリーニング加算

デイサービス(通所介護)事業所における栄養アセスメント加算、栄養改善加算、栄養スクリーニング加算は、共に利用者の低栄養状態の改善を図る取り組みに対する報酬加算です。

栄養アセスメント加算

栄養アセスメント加算(月50単位)を算定するためには、次の条件を満たす必要があります。

・管理栄養士(外部事業者に所属する者でも可)を1名以上配置すること
・利用者ごとの栄養状態等の情報を厚生労働省に提出し、栄養管理の実施に当たって、必要な情報を活用していること

なお、以下で説明する栄養改善加算、口腔スクリーニング加算(Ⅰ)との同時算定はできません。

栄養改善加算

栄養改善加算(1回150単位、1月2回まで)を算定するためには、次の条件を全て満たす必要があります。

栄養改善加算の算定条件

・従業員または外部連携により管理栄養士を1名以上配置
・栄養ケア計画の作成
・管理栄養士が栄養状態を定期記録、評価
・必要に応じ居宅を訪問すること

口腔・栄養スクリーニング加算

口腔・栄養スクリーニング加算を算定するためには、デイサービス事業所の従業者(職種は問わない)がサービス提供開始時、利用から6カ月ごとに利用者の口腔・栄養状態の確認を行い、利用者を担当する介護支援専門員(ケアマネージャー)に情報提供する必要があります。

加算区分 単位(回) 算定要件
20 口腔・栄養いずれも実施
口腔・栄養いずれか実施

口腔機能向上加算

デイサービス(通所介護)事業所における口腔機能改善加算は、利用者の口内の清掃指導、嚥下機能指導を行う場合に算定することができます。

加算区分 単位(回) 算定要件
150 ・言語聴覚士、歯科衛生士、看護職員、いずれかを1名以上配置
・上記職員と共同して口腔機能改善計画を作成、定期観察および評価
160 Ⅰの取り組みに加え、口腔機能改善管理指導計画等の情報を厚労省へ提出し、必要情報を活用

 

このコラムのまとめ

以上がデイサービス(通所介護)における特別な取り組みとそれに対応する加算です。デイサービス事業所におけるこれらの取り組みのためには、特別にコストがかかります。

できれば実施前に対応する加算の算定を行い、十分な収支を確保することができるか確認したいところです。

デイサービス(通所介護)の加算算定には届出が必要となるケースが多いため、是非介護保険手続きの専門であるタスクマン合同法務事務所までご相談を。

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【この記事の執筆・監修者】

井ノ上 剛(いのうえ ごう)
【記事内容自体に関するご質問には応対できかねますので、ご了承お願い致します。】

◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
奈良県橿原市議会議員
◆介護職員実務者研修修了
タスクマン合同法務事務所 代表
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 (電話)0120-60-60-60 
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