児童発達支援と放課後等デイサービスの事業所建物設備基準|開業・設立前に定員と床面積ルールの確認を

デイサービス(通所介護)開業・設立前に確認すべき事業所の要件
井ノ上剛(社労士・行政書士)

児童発達支援と放課後等デイサービスの事業所建物設備基準を解説します。児童発達支援と放課後等デイサービスの事業所建物設備基準には、自治体独自の基準が色濃く出ています。このコラムで解説する事業所建物設備基準を理解しつつ、立地する自治体でのローカルルールを事前に確認しましょう。

このコラムの推奨対象者

・児童発達支援と放課後等デイサービスの利用定員基準が理解できる
・児童発達支援と放課後等デイサービスの設備基準が理解できる
・利用定員、設備基準について例外的な対応方法が理解できる

コラムの信頼性

タスクマン合同法務事務所は、介護障害福祉事業の設立と運営支援に専門特化した合同法務事務所です。このコラムのリライト(更新)時である、令和3年10月時点、これまでに設立支援した介護障害福祉事業件数が、累積400社を突破。児童発達支援、放課後等デイサービスの事業所建物・設備基準についても年間、数多くご対応しています。安心してお読み下さい

児童発達支援と放課後等デイサービスの利用定員

児童発達支援と放課後等デイサービスの利用定員の一覧表

まずは児童発達支援と放課後等デイサービスの最低利用定員を一覧表にまとめたので概観しましょう。

 

児童発達支援

放課後等デイサービス

多機能型

重症心身障害児型以外

10人

10人

合計10人

重症心身障害児型

5人

5人

合計5人

利用定員とは?児童発達支援と放課後等デイサービスの利用定員の定義

ここでいう「利用定員」とは、1日に設置する単位ごとの利用定員の合計の最大数を指します。

例えば利用定員「10人」で許可(指定)を受けた場合、次のような単位配置となります。

 

午前(単位)

午後(単位)

合計単位

月曜日

3人

5人

8人

火曜日

5人

5人

10人

水曜日

7人

0人

7人

木曜日

3人

5人

8人

金曜日

4人

4人

8人

つまり、10人利用できる日を1日以上設ける必要があるという意味です。

利用定員を超えた場合どうなる?

法令では利用定員を超えて児童発達支援と放課後等デイサービスのサービス提供を行ってはならないと定められています。
>>定員超過利用減算はこちら

その一方で、他の事業所で障害児を受け入れることが出来ない場合には、次の範囲内での定員超過も認められているため、予め理解しておきましょう。

利用定員50人以下

利用定員50人超

過去3カ月比較

利用定員の1.5倍まで

利用定員+25

+(利用定員―50)×0.25

過去3カ月障害児の延べ数 ≦ ※利用定員×開所日数×1.25

※定員11人以下の場合、(利用定員+3)×開所日数

児童発達支援と放課後等デイサービスの指導訓練室の広さ

法令に基づく、指導訓練室の広さ基準

法令では、次のように記載されているにとどまります。

指導訓練室の床面積基準

児童発達支援センターの指導訓練室は、定員を概ね10人とし、障害児1人に対して、2.47㎡の指導訓練室を設けなければならない。

つまり、児童発達支援センター以外の(一般の)児童発達支援事業所や放課後等デイサービス事業所においては、明確な指導訓練室の広さ基準が設けられておらず、「サービス提供に必要な設備と備品を備えること」とのみ、規定されているわけです。

指導訓練室の広さ基準は各自治体の独自基準(ローカルルール)に従う

では実際に児童発達支援と放課後等デイサービスの指導訓練室の広さは、どの程度必要なのでしょうか。

大阪府の基準を例にとると、1人当たり3㎡以上とされています。児童発達支援センター型よりも広めのスペースが求められているわけです。つまり10人定員の場合には最低30㎡が必要となります。

さらに大阪府の例によると、定員が5人以上の重症心身障害児型の場合であっても、必ず30㎡以上の指導訓練室の確保が義務付けられています。

1人あたり3㎡程度を前提として、申請先自治体の独自基準(ローカルルール)を事前に確認し、物件探しを行いましょう。

指導訓練室以外に必要な部屋、設備

最後に、指導訓練室以外にどのような部屋、設備が必要となるかを確認します。児童発達支援(センター型を除く)、放課後等デイサービスでは、指導訓練室以外に必要な部屋、設備は明確に定められているわけではありません。

ここでも自治体独自基準(ローカルルール)を確認して、物件探しを行う必要があります。多くの自治体では、相談室(兼静養室)、事務室、手洗い設備、トイレの整備を求めています。

一方で法令では、画一的な支援に陥らないことを目的に、児童発達支援、放課後等デイサービス事業所にはスポーツ、文化活動などのレクリエーション行事を行うことを求めている点も理解しておきましょう。

このコラムのまとめ

以上が児童発達支援と放課後等デイサービスの設備基準です。

利用定員、指導訓練室の広さ要件、その他の設備基準について自治体独自基準(ローカルルール)を把握した上で、余裕を持った設備計画を立て、物件探しを行いましょう。

いったん事業所物件契約を締結してしまうと、後戻りできないため、物件探しの前段階で、福祉事業の開業支援専門のタスクマン合同法務事務所にご相談されることをお勧めします。

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【この記事の執筆・監修者】

井ノ上 剛(いのうえ ごう)
【記事内容自体に関するご質問には応対できかねますので、ご了承お願い致します。】

◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
奈良県橿原市議会議員
◆介護職員実務者研修修了
タスクマン合同法務事務所 代表
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