児童発達支援、放課後等デイサービスの【報酬加算】に特化して解説|報酬加算制度をどこよりも分かりやすく
児童発達支援、放課後デイサービスの開業・設立の計画を立案中の方のための加算解説。児童発達支援、放課後デイサービスの事業計画を作成するためには、加算制度の理解が必要不可欠です。このコラムでは福祉事業開業の専門家が児童発達支援、放課後デイサービスに関する加算制度を詳しく解説します。
このコラムの推奨対象者
・児童発達支援、放課後デイサービスの開業時に整理すべき加算が理解できる
・専門職員の配置、特別な取組みに関する加算が理解できる
・外部の専門機関との連携に対する加算が理解できる
コラムの信頼性
タスクマン合同法務事務所は、介護障害福祉事業の設立と運営支援に専門特化した合同法務事務所です。このコラムのリライト(更新)時である、令和3年10月時点、これまでに設立支援した介護障害福祉事業件数が、累積400社を突破。 児童発達支援、放課後等デイサービスの報酬加算についても年間、数多くご対応しています。安心してお読み下さい 。
- 1. 専門職員を配置することに対する加算
- 1.1. 児童指導員等加配加算・専門的支援加算
- 1.2. 看護職員加配加算(重症心身障害児中心の事業所のみ)
- 1.3. 特別支援加算
- 1.4. 強度行動障害児支援加算
- 1.5. 個別サポート加算
- 1.6. 福祉専門職員配置等加算
- 1.6.1. 福祉専門職員配置等加算(Ⅰ)
- 1.6.2. 福祉専門職員配置等加算(Ⅱ)
- 1.6.3. 福祉専門職員配置等加算(Ⅲ)
- 2. 特別な取り組みを行うことに対する加算
- 2.1. 家庭連携加算
- 2.2. 事業所内相談支援加算
- 2.3. 利用者負担上限管理加算
- 2.4. 欠席時対応加算
- 2.5. 送迎加算
- 2.6. 延長支援加算
- 2.7. 保育・教育等移行支援加算
- 3. 外部の専門機関と連携することに対する加算
- 3.1. 医療連携体制加算
- 3.2. 関係機関連携加算
- 4. このコラムのまとめ
専門職員を配置することに対する加算
児童発達支援、放課後デイサービスの加算のうちで、特別な知識と経験をもつ専門職員を配置する場合の加算を確認しましょう。
児童指導員等加配加算・専門的支援加算
常に見守りが必要な障害児への支援や、障害児の保護者への指導のために、最低限必要な従業者数を超えて次に該当する職員を配置する場合に加算を算定することができます。
児童指導員等加配加算・専門的支援加算の算定に必要となる資格者
・理学療法士
・言語聴覚士
・保育士
・児童指導員
・厚生労働大臣が定める一定の学卒者
なお、類似の加算に「児童指導員配置加算」がある(加配と配置の差に注意)。
>>児童指導員配置加算の詳細はこちら。
配置加算と異なり加配加算は、必要最低限の職員数を超えた配置(加配)に対して生じる加算であることを誤解しないように注意しましょう。報酬の加算は次の表の通りです。~と表示があるのは利用定員に応じて差が設けられていることを示しています。
種別 | 児童指導員等加配加算 | 専門的支援加算 |
児童発達支援(センター型以外) | 36~375単位 | 49~374単位 |
放課後等デイサービス | 36~187単位 | 75~187単位 |
放デイ(重症心身障害児) | 60~374単位 | 125~374単位 |
看護職員加配加算(重症心身障害児中心の事業所のみ)
児童発達支援、放課後等デイサービスでの看護職員加配加算とは、医療的ケアが必要な障害児を受け入れるために、事業所内で一定の取り組みを行い、看護職員を特別に配置している場合に、その取り組み内容に応じて(Ⅰ)~(Ⅲ)の加算を算定することができます。
看護職員加配加算 | 1日当たりの加算 |
(Ⅰ) | 133~400単位 |
(Ⅱ) | 266~800単位 |
(Ⅲ) | 240~600単位 |
特別支援加算
児童指導員等加配加算が、常に見守りが必要な障害児への支援や、障害児の保護者への指導のために、最低限必要な従業者数を超えて次に該当する職員を配置する場合に加算を算定するのに対し、特別支援加算は、最低限必要な従業者数を超えていない場合に算定できる加算です。
以上のことから、児童指導員等加配加算と同じ職種でのダブルカウントはできません。具体的な対象職種は次の通りです。
特別支援加算の対象となる資格者
・理学療法士
・作業療法士
・言語聴覚士
・心理指導担当職員
・看護職員
・その他一定の履修者 など
加算額は、指導対象児童1人に対して1日54単位となります。
強度行動障害児支援加算
児童発達支援、放課後等デイサービスでの強度行動障害児支援加算は、強度行動障害支援者要請研修(基礎研修)を修了した職員を配置し、強度の行動障害を持つ障害児に対して支援を行った場合に算定できます。
加算額は、支援対象児童1人に対して1日155単位となります。
個別サポート加算
種別 | 単位数 | 要件 |
加算(Ⅰ) | 100(日) | 著しく重度・行動上の課題のある障害児を受け入れた場合に算定 |
加算(Ⅱ) | 125(日) | 虐待などの要保護、要支援児童を受け入れた場合に算定 |
福祉専門職員配置等加算
児童発達支援、放課後等デイサービスでの福祉専門職員配置等加算は、事業所に所属する職員の専門度合いに応じて算定できる加算です。福祉専門職員配置等加算には3種類ありますが、二重加算はできない点に注意しましょう。
福祉専門職員配置等加算(Ⅰ)
常勤指導員中、社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士、公認心理師の割合が35%以上の場合に1日あたり15単位を加算。
福祉専門職員配置等加算(Ⅱ)
常勤指導員中、社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士、公認心理師の割合が25%以上の場合に1日あたり10単位を加算。
福祉専門職員配置等加算(Ⅲ)
次のどちらかに該当する場合、1日あたり6単位を加算。
・児童指導員、保育士の75%以上が常勤
・常勤職員の30%以上が勤続3年以上
なお、ここで言う「3年」には非常勤としての勤続や、同一法人の他事業所の期間も含めることができますが、他法人での期間を通算することはできないので注意しましょう。
特別な取り組みを行うことに対する加算
さて、ここからは児童発達支援、放課後等デイサービスが特別な取り組みを行った場合の加算を確認していきます。
家庭連携加算
児童発達支援、放課後等デイサービスでの家庭連携加算は、障害児の自宅を訪問し、障害児とその家族に相談援助を行った場合に算定できる加算です。所要時間に応じて2種類あります。
・1時間未満 187単位
・1時間以上 280単位
家庭連携加算が算定できるのは月4回までです。
事業所内相談支援加算
児童発達支援、放課後等デイサービスでの事業所内相談支援加算は、事業所内で障害児とその家族に相談援助を行った場合に次の単位数を加算することができます。
加算(Ⅰ)個別型:100単位(回)
加算(Ⅱ)グループ型:80単位(回)
事業所内相談支援加算は、先に説明した家庭連携加算と趣旨が同じであるため、家庭連携加算併算定することはできません。また30分未満の軽微な相談の場合の算定することができない点に注意しましょう。
利用者負担上限管理加算
児童発達支援、放課後等デイサービスでの利用者負担上限管理加算は、2つ以上の福祉サービスを利用する障害児に対して、利用者負担の上限額の管理計算を代行する場合に算定できる加算です。
対象となる障害児1人に対して、月あたり150単位を加算することができます。なお、この場合実際に利用者負担額の上限を超えたかどうかは加算算定には影響しません。
>>利用者の受給者証の詳細はこちら
欠席時対応加算
児童発達支援、放課後等デイサービスでの欠席時対応加算は、通所している障害児が欠席した場合に、電話等で相談支援する場合に算定できる加算です。この場合実際に児童宅を訪問しなくても良いとされています。
月間4回まで1回あたり94単位を算定することができます。(加算Ⅰ)
なお重症心身障害児を支援する事業所で定員充足率が80%未満の場合は月8回まで算定できます。
また児童の体調不良により、結果的に30分以下のサービスとなった場合にも、欠席時対応加算(Ⅱ 94単位)を算定することができます。
送迎加算
児童発達支援、放課後等デイサービスでの送迎加算は、障害児に対して自宅と事業所の間の送迎を行った場合に、片道に対して54単位算定することができます。いくつか注意点があるので次の通り整理しておきます。
送迎加算算定上の注意点
・事業所の看護職員が同行し、喀痰吸引の必要な障害児の送迎を行う場合+37単位
・自宅ではない最寄駅や集合場所までの送迎でも良い
・自宅が事業所と同一敷地にある場合は、送迎加算を30%減算(70%算定)
なお重症心身障害児の場合、すでに他の加算によって高い報酬が算定されていることから、送迎加算の算定は運転手に加えて1名の支援員が同行する場合に限ります。この場合37単位を算定することができます。
延長支援加算
児童発達支援、放課後等デイサービスでの延長支援加算は、運営規定上の営業時間が8時間である事業所で、営業時間の前後に支援を行った場合に1日ごとに算定できる加算です。具体的な延長支援加算は次の表の通りです。
種別 | 1時間未満 | 1~2時間 | 2時間以上 |
重症心身障害児中心型 | 128単位 | 192単位 | 256単位 |
上記以外の事業所 | 61単位 | 92単位 | 123単位 |
なおここで言う営業時間には、送迎のみを行っている時間は含まない点に注意しましょう。また個々の障害児の利用時間が8時間未満であっても、営業時間を超えて支援すれば延長支援加算を算定することができることも理解しておきましょう。
保育・教育等移行支援加算
児童発達支援、放課後等デイサービスでの保育・教育等移行支援加算は、事業所を退所して地域での保育教育を受けられるように、退所後30日以内に居宅を訪問して相談援助を行う場合に算定できる加算です。算定単位は500単位です。
ただし、次のようなケースでは保育・教育等移行支援加算を算定することはできません。
保育・教育等移行支援加算が算定できないケース
・退所後、入院する場合
・退所後、他の福祉施設へ入所する場合
・児童発達支援事業所を退所して小学校へ入学する場合
外部の専門機関と連携することに対する加算
最後に児童発達支援、放課後等デイサービス事業所が外部の専門機関と連携する場合の加算について確認しましょう。
医療連携体制加算
児童発達支援、放課後等デイサービスの医療連携体制加算は、医療機関との連携で看護職員が事業所を訪問して障害児に看護を行う場合や、職員に喀痰吸引の指導を行う場合に算定することができます。
加算種別 | 加算(日) | 要件 |
Ⅰ | 32 | 非医療的ケアを1時間未満 |
Ⅱ | 63 | 非医療的ケアを1~2時間未満 |
Ⅲ | 125 | 非医療的ケアを2時間以上 |
Ⅳ-1 | 800 | 医療的ケアを対象1名に4時間未満 |
Ⅳ-2 | 500 | 医療的ケアを対象2名に4時間未満 |
Ⅳ-3 | 400 | 医療的ケアを対象3~6名に4時間未満 |
Ⅴ-1 | 1600 | 医療的ケアを対象1名に4時間以上 |
Ⅴ-2 | 960 | 医療的ケアを対象2名に4時間以上 |
Ⅴ-3 | 800 | 医療的ケアを対象3~6名に4時間以上 |
Ⅵ | 500 | 職員に対する喀痰吸引指導のみ |
Ⅶ | 100 | 職員自らが医療機関の指導により喀痰吸引 |
関係機関連携加算
児童発達支援、放課後等デイサービスの関係機関連携加算は、次の関係機関と連携して個別支援計画や連絡調整を行う場合に算定することができる加算です。いずれの場合も200単位を算定することができます。
関係機関連携加算Ⅰ:保育所・学校
関係機関連携加算Ⅱ:就学先・就職先
つまり、加算Ⅱは生活環境が変わる前に、切れ目なく支援を継続することができるように、先を見据えての連携を行うことを評価する加算というわけです。
このコラムのまとめ
以上が児童発達支援、放課後等デイサービスにおける各種加算だ。児童発達支援、放課後等デイサービスの開業・設立前にはこれら加算を正確に把握すると共に、無理のない事業計画を立てることを心がけよう。
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【この記事の執筆・監修者】
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ご了承お願い致します。
◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
◆奈良県橿原市議会議員
◆介護福祉士実務者研修修了
◆タスクマン合同法務事務所 代表
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