障害福祉サービス|就労移行支援、就労継続支援A型B型、就労定着支援の報酬・加算減算を一覧表で解説

就労移行支援、就労継続支援A型B型、就労定着支援の報酬・加算減算の一覧表
井ノ上剛(社労士・行政書士)

障害福祉サービスのうち就労移行支援、就労継続支援A型B型、就労定着支援の報酬の加算減算を一覧表により分かりやすく比較解説します。このコラムの対象者は就労移行支援、就労継続支援A型B型、就労定着支援をこれから設立・開業する方々です。就労支援系事業の専門社労士・行政書士が報酬体系と加算減算を分かりやすく解説します。

このコラムの推奨対象者

〇就労移行支援の報酬体系、加算減算を理解したい方
〇就労継続支援A型の報酬体系、加算減算を理解したい方
〇就労継続支援B型の報酬体系、加算減算を理解したい方
〇就労定着支援の報酬体系、加算減算を理解したい方

コラムの信頼性

タスクマン合同法務事務所は、介護障害福祉事業の設立と運営支援に専門特化した合同法務事務所です。このコラムのリライト(更新)時である、令和3年9月時点、これまでに設立支援した介護障害福祉事業件数が、累積400社を突破。就労移行支援、就労継続支援A型B型、就労定着支援の報酬加算、減算についても年間、数多くご対応しています。安心してお読み下さい。

目次

基本報酬

ここでは次の4種類の就労支援事業の基本報酬について解説します。

就労移行支援
就労継続支援A型
就労継続支援B型
就労定着支援

就労移行支援の場合

就労移行支援の場合、一般就職後6か月以上経過した利用者の割合(横軸)事業所自体の利用定員の規模(縦軸)に応じて、基本報酬が算定されます。(按摩マッサージ指圧師、はり師の場合は別規定あり)

平成30年9月、就労定着支援体制加算が廃止されたことにより、以下の新しい報酬算定のルールとなっています。

なお、この割合は「前年度と前々年度」の実績によって計算します。

  一般就職後6カ月以上定着した利用者の割合
利用定員 5割以上 5割未満
4割以上
4割未満
3割以上
3割未満
2割以上
2割未満
1割以上
1割未満
0割超
0割
20人以下 1128 959 820 690 557 507 468
40人以下
21人以上
1035 863 725 631 506 448 414
60人以下
41人以上
1003 838 693 596 497 428 395
80人以下
61人以上
948 797 646 544 476 400 369
81人以上 915 760 607 498 460 374 346

就労継続支援A型の場合

就労継続支援A型の基本報酬は、事業所の評価点(令和3年改定)事業所自体の定員規模(縦軸)職業指導員・生活支援員の配置割合に応じて算定されます。
>>職業指導員・生活支援員についてはこちら

就労継続支援A型については、職業指導員・生活支援員の総数が、利用者10名に対して1名以上配置、とのルールが定められています。(10:1)

一方で、利用者7.5名に対して1名以上の職業指導員・生活支援員を配置(7.5:1)している事業所に対しては、手厚いサービス提供ができる、として特別の報酬規程が定められています。この点を理解して、人員配置計画を立てましょう。

なお、新規に指定を受けた事業所の場合は、次の通り基本報酬を算定します。

新規指定事業所の初年度、2年度目:「80点以上105点未満」として算定

利用者7.5名に対して1名の職業指導員・生活支援員を配置(7.5:1)

利用定員 評価点(~は以上・未満を指す)
170以~ 150~170 130~150 105~130 80~105 60~80 ~60
20人以下 724 692 676 655 527 413 319
40人以下
21人以上
643 615 601 583 468 367 282
60人以下
41人以上
605 578 565 547 439 344 265
80人以下
61人以上
593 568 555 536 432 338 260
81人以上 574 547 534 518 416 327 252

赤文字は新規指定初年度、2年度目の報酬を示す

利用者10名に対して1名の職業指導員・生活支援員を配置(10:1)

利用定員 評価点(~は以上・未満を指す)
170~ 150~170 130~150 105~130 80~105 60~80 ~60
20人以下 660 630 616 597 480 376 290
40人以下
21人以上
588 563 549 532 426 335 258
60人以下
41人以上
546 522 510 494 397 312 240
80人以下
61人以上
536 511 499 484 388 305 235
81人以上 516 493 482 467 375 295 226

赤文字は新規指定初年度、2年度目の報酬を示す

就労継続支援B型の場合

就労継続支援B型の基本報酬は、利用者の前年度の平均工賃(横軸)事業所自体の定員規模(縦軸)職業指導員・生活支援員の配置割合に応じて算定されます。
>>職業指導員・生活支援員についてはこちら

就労継続支援B型については、職業指導員・生活支援員の総数が、利用者10名に対して1名以上配置、とのルールが定められています。(10:1)

一方で、利用者7.5名に対して1名以上の職業指導員・生活支援員を配置(7.5:1)している事業所に対しては、手厚いサービス提供ができる、として特別の報酬規程が定められています。この点を理解して、人員配置計画を立てましょう。

なお、新規に指定を受けた事業所の場合は、次の通り基本報酬を算定します。

指定後1年間:1万円未満として算定
(指定後6カ月経過後は、6カ月平均値を用いることもできる)

利用者7.5名に対して1名の職業指導員・生活支援員を配置(7.5:1)

利用定員 前年度平均工賃(単位万円)
4.5以上 3.5~4.5 3~3.5 2.5~3 2~2.5 1.5~2 1~1.5 1未満
20人以下 702 672 657 643 631 611 590 566
40人以下
21人以上
625 598 584 572 551 541 525 504
60人以下
41人以上
586 562 549 537 518 508 493 473
80人以下
61人以上
576 552 539 527 508 498 484 464
81人以上 557 533 521 510 491 482 468 448

赤文字は新規指定から1年間の報酬を示す

利用者10名に対して1名の職業指導員・生活支援員を配置(10:1)

利用定員 前年度平均工賃(単位万円)
4.5以上 3.5~4.5 3~3.5 2.5~3 2~2.5 1.5~2 1~1.5 1未満
20人以下 640 613 599 586 565 554 538 516
40人以下
21人以上
571 547 534 523 504 494 480 461
60人以下
41人以上
529 507 495 485 467 458 445 427
80人以下
61人以上
519 497 485 475 458 449 436 418
81人以上 501 480 468 459 442 434

421

404

赤文字は新規指定から1年間の報酬を示す

就労定着支援の場合

就労定着支援の基本報酬は、就労移行支援などを利用して一般就職し、6カ月以上経過している利用者、および勤務先の事業主に対して、支援内容を記載した報告書を月1回以上提供した場合に算定することができます。

算定は、利用者数と就労定着率に応じて計算されます。

利用定員 就労定着率
9.5割~ 9~9.5割 8~9割 7~8割 5~7割 3~5割 3割未満
20人以下 3449 3285 2710 2176 1642 1395 1046
40人以下
21人以上
2759 2628 2168 1741 1314 1117 837
60人未満
41人以上
2587 2463 2032 1632 1232 1047 785

就労定着率は次の通り算定します。

新規に指定を受けた場合以外

イ ÷ ア で計算

ア)前年度末以前、3年間に就労定着支援を利用した総数
イ)うち、前年度末の就労継続者

新規に指定を受けた場合

イ ÷ ア で計算

ア)指定前月末以前、3年間に就労移行支援等を利用して一般就労した総数
イ)うち、指定前月末の就労継続者

サービス提供職員欠如減算(移AB)

サービス提供職員欠如減算は、就労移行支援、就労継続支援A型B型に適用される報酬制度です。

指定基準に定める人員基準を満たしていない場合、次の基準に基づいて報酬が減算されます。
>>人員基準についてはこちら

減算の開始時期

人員基準の1割を超えて欠如した場合:欠如翌月から減算開始
人員基準の1割の範囲内で欠如した場合:欠如翌々月から減算開始

減算の割合

減算開始1~2カ月目:30%減算(70%算定)
減算開始3カ月目から:50%減算(50%算定)

サービス管理責任者欠如減算(全共通)

サービス管理責任者欠如減算は、就労移行支援、就労継続支援A型B型、就労定着支援すべてに共通する報酬制度です。

人員基準に定めるサービス管理責任者の人数が欠如した場合、欠如月の翌々月から解消月まで、次の基準で報酬が減算されます。
>>サービス管理責任者の人員基準はこちら

減算開始1~4カ月目:30%減算(70%算定)
減算開始5カ月目から:50%減算(50%算定)

福祉専門職員配置等加算(移AB)

福祉専門職員配置等加算は、就労移行支援、就労継続支援A型B型に適用される報酬制度です。

加算種 条件 単位(日)
常勤従業員の資格者※割合が35%以上 15
常勤従業員の資格者※割合が25%以上 10
常勤職員が75%以上または勤続3年以上の常勤職員が30%以上

(※資格者: 社会福祉士、介護福祉士、精神保健衛生士、作業療法士、公認心理師)

視覚・聴覚言語障害者支援体制加算 (移AB)

視覚・聴覚言語障害者支援体制加算は、就労移行支援、就労継続支援A型B型に共通する報酬制度です。

特別の支援が必要な利用者(※1)が一定数以上あり、かつ専門の支援員(※2)を一定数以上配置した場合に、1日当たり41単位を加算することができます。

※1 特別の支援が必要な利用者

視覚障害者:身体障害者手帳1級2級の視覚障碍者
聴覚障害者:身体障害者手帳2級の聴覚障害者
言語機能障害者:身体障害者手帳3級の言語機能障害者

上記いずれかに該当する利用者が、全体利用者の30%以上となる必要があります。

なお、重度の視覚、聴覚、言語機能障害、または知的障害を2以上有する利用者については、1人で2人として算定します。

※2 専門の支援員

視覚障害対応:点字指導、点訳、歩行支援が可能な者
聴覚障害、言語機能障害対応:手話通訳が可能な者

上記の対応をできる支援員が、事業所本来配置が必要な人員基準に加えて、常勤換算法で利用者50人に対して1人以上配置する必要があります。
>>事業所本来配置が必要な人員基準はこちら

職場適応援助者養成研修修了者配置体制加算(定)

職場適応援助者養成研修修了者配置体制加算は、就労定着支援特有の報酬制度です。

職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修を修了した者を、就労定着支援員として配置した場合、月あたり120単位を加算することができます。

就労支援関係研修修了加算(移)

就労支援関係研修修了加算は、就労移行支援に特有の報酬制度です。前職を含め、1年以上就労支援の実績のある就労支援員が、(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構が実施する、職場適応援助者養成研修などを受講することで、加算算定できます。(1日6単位)

なお、就労定着割合がの事業所では算定できないため、新規指定を受けた事業所は、指定後1年間は加算算定できない点に注意しましょう。

賃金向上(目標工賃)達成指導員配置加算(AB)

賃金向上達成指導員配置加算(A型)と目標工賃達成指導員配置加算(B型)は、それぞれ賃金または工賃の向上計画を立て、実行する指導員を配置した際に算定できる加算です。

A型事業の場合(賃金向上達成指導員配置加算)

賃金向上計画推進のための指導員を常勤換算法で1名以上配置する場合、下表の加算を算定することができます。

利用定員 加算
20以下 70
21~40 43
41~60 26
61~80 19
81以上 15

B型事業の場合(目標工賃達成指導員配置加算)

目標工賃の達成に向けた指導員を常勤換算法で1名以上配置しつつ、次の2つの条件を満たすことが要件となります。

A:職業指導員、B:生活支援員、C:目標工賃達成指導員
・A+Bが、利用者7.5名に対して1名以上
・A+B+Cが、利用者6名に対して1名以上

これらの条件を満たす場合に、下表の加算を算定することができます。

利用定員 加算
20以下 89
21~40 80
41~60 75
61~80 74
81以上 72

初期加算(移AB定)

初期加算は、就労移行支援、就労継続支援A型B型、就労定着支援のすべてに共通する報酬制度です。

就労移行支援、就労継続支援A型B型の場合

事業所の最初の利用日から暦日で30日間、1日あたり30単位を加算することができます。暦月であるので、30日間のうち、利用者が実際に通所した日に限られる点に注意が必要です。

就労定着支援の場合

一体的に運営される就労移行支援、就労継続支援A型B型等以外を利用して、一般就職した利用者に対して、新たに就労定着支援計画を作成して支援を行った場合に、900単位を算定することができます。

定員超過利用減算(移AB)

定員超過利用減算は、利用定員を超えて利用者が通所する場合に減算される報酬制度です。
>>それぞれの定員についてはこちら

1日あたりの利用定員で計算

下記の数を超過した日ごとに、全員に対して30%減算(70%算定)

定員50人以下の場合:定員×1.5
定員51人以上の場合:(利用定員-50)×1.25+75

過去3か月の利用実績で計算

過去3か月平均利用数が定員×1.25を超えている場合に、その月、全員に対して30%減算(70%算定)

個別支援計画未作成減算(移AB定)

個別支援計画未作成減算は、就労移行支援、就労継続支援A型B型、就労定着支援、すべてに共通する報酬制度です。

個別支援計画を作成せずにサービス提供した場合、その月から解消月の前月まで次の減算が生じます。

減算開始1~2カ月目:30%減算(70%算定)
減算開始3カ月目から:50%減算(50%算定)

特別地域加算(定)

特別地域加算は、特別の地域に居住する利用者、または特別の地域に所在する事業所が就労定着支援(面談)を行った際に算定される報酬制度です。

1か月あたり、240単位を加算することができる。特別の地域を例示すると以下の通りとなります。(一部のみ)

離島振興対策実施地域
奄美群島
特別豪雪地帯 など

定着支援連携促進加算(定)

企業連携等調整特別加算は、就労定着支援特有の報酬制度です。

就労定着支援開始後、就労先企業、関係医療機関等と会議を開催し、連絡調整を行った場合に、支援期間(最大3年)を通じ、1月につき1回(年4回を限度)579単位を加算することができます。

標準利用期間超過減算(移)

標準利用期間超過減算は、就労移行支援の利用期間(標準2年)を6カ月以上超える(つまり2年6カ月を超える)場合に生じる減算制度です。

標準利用期間超過減算の算定については、利用者全体の利用期間平均で比較するため、期間を超過した利用者だけに適用されるのではなく、事業所の利用者全体に対して適用されます。

具体的には

5%減算(95%算定)となります。ただし、利用開始から1年未満の利用者は平均値の計算から省くことができる点に注意しましょう。

身体拘束廃止未実施減算(移AB)

身体拘束廃止未実施減算は、就労移行支援、就労継続支援A型B型で、利用者に対する身体拘束廃止が未実施の場合に減算される制度です。

次の基準を満たさない場合に減算

・身体的拘束を行う場合には、態様と時間、利用者の心身状況、緊急やむを得ない理由を記録する
・身体拘束適正化検討委員会を開催し、結果について従業員に周知する(令和5年4月から)
・身体拘束適正化指針を整備(令和5年4月から)
・従業員に対して、新大拘束適正化のための研修を実施

これらを満たさない場合、5単位減算されます。

就労移行支援体制加算(AB)

就労移行支援体制加算は、就労継続支援ABに共通する加算です。就労継続支援A型またはB型を利用した後、一般就職後6カ月以上勤続している元利用者が1人以上いる場合に加算を算定することができます。

A型(定員20名以下のケース)

次の表に基づく加算単位数となります。

点数 加算Ⅰ(7.5:1) 加算Ⅱ(10:1)
170点以上 93 90
150~170点未満 87 84
130~150点未満 80 77
105~130点未満 73 70
80~105点未満 65 62
60~80点未満 57 54
60点未満 50 47

B型(定員20名以下のケース)

平均工賃 加算Ⅰ(7.5:1) 加算Ⅱ(10:1)
4.5万円以上 93 90
3.5~4.5万円未満 86 83
3~3.5万円未満 79 76
2.5万円~3万円未満 72 69
2~2.5万円未満 65 62
1.5~2万円未満 58 55
1~1.5万円未満 51 48
1万円未満 48 45

>>7.5:1や10:1の職員配置についての詳細はこちら

なお、就労移行支援体制加算は1年単位で算定されるため、例えば10月1日に一般就職した元利用者は3月31日時点で6カ月勤続となり、この元利用者までが年度内の算定対象となります。

就労移行連携加算(AB)

就労継続支援A型、またはB型の後、就労移行支援を利用する場合、就労移行支援事業者と連絡調整を行い、かつ相談支援事業者に支援状況を文書で提供している場合、1回に限り1000単位を算定することができます。

就労定着実績体制加算(定)

就労定着実績体制加算は特に定着率の高い就労定着支援サービスを実施している事業所に対する加算制度です。

具体的な算定方法

年度初め(4月1日)に算定し1年間有効となります。

ア)年度末から過去6年間に就労定着支援を終了した利用者
イ)年度末時点で42カ月~78カ月間継続就労している(していた)者

イ÷アが70%以上となった場合に、月あたり300単位を加算することができます。

訪問支援特別加算(移AB)

訪問支援特別加算は、利用者が5日以上連続して通所利用しなかった場合に、支援員が利用者の同意を得て、自宅を訪問して支援する場合に算定することができる加算です。就労移行支援、就労継続支援A型B型で算定することができます。

具体的な算定方法

ここでの利用者は、概ね3カ月以上継続的に通所利用していた者に限ります。「5日以上連続して通所利用しなかった」とは、利用者の通所利用予定日ではなく、事業所としての開所日で計算します。

1時間未満の自宅訪問相談:187単位
1時間以上の自宅訪問相談:280単位

なお、この場合の「時間」は実際にかかった時間ではなく、支援計画に規定される時間で算定する点に注意しましょう。

利用者負担上限管理加算(移AB定)

利用者負担上限加算は、事業所側が利用者負担額の上限額の管理計算を行った場合に算定することのできる加算です。

就労移行支援、就労継続支援A型B型、就労定着支援で月あたり150単位を算定することができます。

なお、事業所側としては上限負担額の管理計算を行えば良いのであって、利用者の負担額が負担上限額を実際に超えているか否かは算定条件には影響しません。

食事提供体制加算(移AB)

食事提供体制加算は、低所得であることを理由に、支援計画で事業所側で食事提供すべきであるとされた利用者に対して、実際に食事を提供する事業所に対して算定される加算です。

就労移行支援、就労継続支援A型B型で、1日あたり30単位を算定することができます。

具体的に「食事」とは

食事は事業所の管理責任で提供するものに限られています。

認められる食事の例

・事業所の職員が事業所の調理室で調理する
・事業所の責任のもとで、調理を外部事業者に委託する
・いわゆるクックチル、クックフリーズ、真空調理のものを再加熱する

認められない食事の例

・出前
・市販の弁当

欠席時対応加算(移AB)

欠席時対応加算は、利用者が急病などにより事業所の利用を中止した場合に、事業所から連絡調整を行う場合に算定できる加算です。

就労移行支援、就労継続支援A型B型で、1か月4回を上限に、1回94単位を加算することができます。

具体的な加算条件

「急病などにより」とあるのは、具体的には利用日を含む3日以内に、利用者から利用中止(欠席)の連絡があった場合に限られます。

また「事業所からの連絡調整」については、電話等による次回利用を促進するなどの相談を行えば良いのであって、直接面談や自宅訪問まで行う必要はない点を理解しおきましょう。

医療連携体制加算(移AB)

医療連携体制加算は、外部の医療機関から看護師の派遣を受ける場合や、喀痰吸引の指導を受ける場合などに算定することができる加算です。

就労移行支援、就労継続支援A型B型で、下表に基づき算定することができます。

加算種 単位(日) 要件
(Ⅰ) 32 非医療的ケアを1時間未満
(Ⅱ) 63 非医療的ケアを1~2時間未満
(Ⅲ) 125 非医療的ケアを2時間以上
(Ⅳ)-1 800 医療的ケアを対象1名に
(Ⅳ)-2 500 医療的ケアを対象2名以上に
(Ⅳ)-3 400 医療的ケアを対象3~8名に
(Ⅴ) 500 看護師が従業員に喀痰吸引指導
(Ⅵ) 100 研修を受けた従業員が喀痰吸引
(Ⅶ) 39 日常的な健康管理、医療ニーズへ対応体制

移行準備支援体制加算

就労移行支援における移行準備支援体制加算は、事業所以外で活動する場合に算定することができる加算です。
>>加算算定とならない「施設外支援」はこちら

移行準備支援体制加算(Ⅰ)

算定のためには、前年度に施設外支援をした利用者数が50%を超えている必要があります。次の支援を実施する際、41単位(日)を算定することができます。

職場実習:同一職場で1か月以内の職員同行による支援
求職活動:ハローワークなどへの職員同行支援

重度者支援体制加算(AB)

重度者支援体制加算は、特に重度障害者の比率を高く受け入れた実績のある就労継続支援A型B型に対して、特別の加算を行う報酬制度です。

具体的な算定方法

重度者支援体制加算は、前年度の障害基礎年金1級受給者割合と事業所の定員に応じて加算を算定します。

加算種 利用定員 加算(日) 要件
(Ⅰ) 20以下 56 前年度、障害基礎年金1級受給者割合が50%以上
21~40 50
41~60 47
61~80 46
81以上 45
(Ⅱ) 20以下 28 前年度、障害基礎年金1級受給者割合が25%以上50%未満
21~40 25
41~60 24
61~80 23
81以上 22

送迎加算(移AB)

送迎加算は、利用者の居宅と就労移行支援、就労継続支援A型B型事業所の間の送迎を行った場合に算定できる加算です。

必ずしも居宅まで迎えに行く必要はなく、最寄り駅や所定の集合場所など、予め場所を特定しておけば送迎加算を算定することができます。

具体的な要件

ア)1回の送迎で平均10人以上が利用
  (定員20名未満の事業所の場合、定員の50%が利用)
イ)週3回以上の送迎を実施

加算種 加算(1回) 要件
送迎加算(Ⅰ) 21 ア)とイ)いずれも満たす
送迎加算(Ⅱ) 10 ア)かイ)いずれか満たす

障害福祉サービスの体験利用支援加算(移AB)

障害福祉サービスの体験利用支援加算は、利用者が就労移行支援、就労継続支援A型B型の体験利用を行うときに、事業所の支援員がサポートする際に算定することができる加算です。

具体的な算定方法

・1日目~5日目:各日500単位
・6日目~15日目:各日250単位

当然、これらの期間は体験利用であるため、体験利用支援加算以外は算定できない点に注意しましょう。

通勤訓練加算(移)

通勤訓練加算は、就労移行支援を利用する視覚障害者に対して、事業所の外部から専門職員を招き、盲人安全杖を使って通勤訓練を行う場合に算定することができる加算です。

具体的には、1日あたり800単位を加算することができます。

在宅時生活支援サービス加算(移AB)

在宅時生活支援サービス加算は、通所による就労移行支援、就労継続支援A型B型の利用が困難な人に対して、在宅で支援を行う際に算定できる加算です。

1日あたり300単位を算定することができます。この場合の「通所利用が困難」との判断は、利用者が居住する市町村長が行います。

社会生活支援特別加算(移AB)

社会生活支援特別加算は、医療観察法による通院医療の利用者、刑務所出所者等に対して、必要な相談援助や個別支援を行う場合に算定できる加算です。

就労移行支援、就労継続支援A型B型で1日あたり480単位を算定することができます。

支援計画会議実施加算

各利用者の就労移行支援計画の作成、見直しに当たって、外部関係者を交えた会議を開催し、検討を行った場合に1カ月に1回(年4回)を限度に、583単位(回)を加算します。

地域協働加算(B)

生産活動収入のある地域協働活動を行い、その活動内容をインターネット等で公表した場合に、利用者数に応じて1日あたり30単位を加算します。

ピアサポート実施加算(B)

就労や生産活動に対してピアサポートを実施した際、利用者数に応じて、1日当たり100単位を加算します。ただし、ピアサポートに当たっては、障害者ピアサポート研修を修了した障害者と管理者を配置し、従業員研修を年1回以上行うことが条件となります。

このコラムのまとめ

以上が就労移行支援、就労継続支援A型B型、就労定着支援に関する、基本報酬と加算減算ルールです。

就労移行支援、就労継続支援A型B型、就労定着支援の設立・開業前には必ず熟知した上で計画を進めましょう。

報酬算定についてお困りの際は、是非タスクマン合同法務事務所の無料開業相談をご利用されることをお勧めします。

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【この記事の執筆・監修者】

井ノ上 剛(いのうえ ごう)
【記事内容自体に関するご質問には応対できかねますので、ご了承お願い致します。】

◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
奈良県橿原市議会議員
◆介護職員実務者研修修了
タスクマン合同法務事務所 代表
 〒542-0066 大阪市中央区瓦屋町3-7-3イースマイルビル
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