就労移行支援、就労継続支援A型B型、就労定着支援の違い|一覧表を使って分かりやすく比較解説|これを読めば一目瞭然

就労移行支援、就労継続支援A型B型、就労定着支援の比較
井ノ上剛(社労士・行政書士)

障害者の「就労」に着目した障害福祉サービスである、就労移行支援、就労継続支援A型B型、就労定着支援。これらの福祉サービスの違いを正しく理解していますか?このコラムでは介護・障害福祉事業の設立支援専門家が、就労移行支援、就労継続支援A型B型、就労定着支援の違いについて、一覧表を用いて比較解説します。

このコラムの推奨対象者

・就労移行支援、継続A型B型、定着支援の違いを理解したい方
・各就労支援事業について、実施主体の制限 を理解したい方
・生産活動と工賃、賃金の関係性 を理解したい方

コラムの信頼性

タスクマン合同法務事務所は、介護障害福祉事業の設立と運営支援に専門特化した合同法務事務所です。このコラムのリライト(更新)時である、令和3年9月時点、これまでに設立支援した介護障害福祉事業件数が、累積400社を突破。就労移行支援、就労継続支援A型B型、就労定着支援についても幅広くご支援しています。安心してお読み下さい。

障害者に対する就労支援の現状

平成29年厚労省資料によると、就労支援の対象となる 18歳~64歳の障害者数は、障害者総数約960万人のうち、377万人。内訳は次の通りです。

・身体障害者 約101万人
・知的障害者 約 58万人
・精神障害者 約217万人

一般就労への移行の現状をみると、特別支援学校から一般企業への就職が約30%、本コラムで解説する就労系障害福祉サービスの利用が約30%となっています。

障害福祉サービスから一般企業への就職は、

1.3%(H15) → 4.3%(H29) 

と上昇傾向ですが、率としてはまだまだ低いと言えます。 就労系障害福祉サービスは4つに分類され、いずれも障害者総合支援法に基づいて実施されているサービスです。以下それぞれの位置づけを解説します。

4つの障害者就労支援の比較

  移行支援 継続A型 継続B型 定着支援
実施主体 制限なし 福祉専業法人 制限なし 実績要
最低定員 20人 10人 20人 ―
生産活動に関する雇用契約 不要 必要 不要 ―
支払い 工賃 賃金 工賃 ―
利用者 一般就労を目指す障害者 一般就労が困難な障害者 就労移行支援、就労継続支援A型B型等を利用して一般就職し6カ月経過した障害者
サービス 生産活動を通じて就労に必要な訓練を行う 雇用契約による就労機会を提供し、知識能力の向上を図る 生産活動の機会を提供し、知識能力の向上を図る 一般就労の継続のための連絡調整と支援
利用期間 2年間 期限なし 期限なし 3年間

就労移行支援

「就労移行支援」は、通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれる障害者に対して、生産活動を通じて就労に必要な訓練を行う福祉サービスです。

標準利用期間は2年(必要性が認められた場合に限り、最大1年間の更新可能)です。

就労移行支援の利用対象者

通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれる障害者

就労継続支援A型

「就労継続支援A型」は、一般就労が困難な障害者に雇用契約による就労機会を提供し、知識能力の向上を図るための福祉サービスです。 利用期間の制限はありません。対象者は以下の通りです。

就労継続支援A型の利用対象者

・就労移行支援事業を利用したが企業等の雇用に結びつかなかった人
・特別支援学校を卒業して就職活動を行ったが雇用に結びつかなかった人
・就労経験があるが現状、雇用されていない人

就労継続支援B型

「就労継続支援B型」は、 一般就労が困難な障害者に 生産活動の機会を提供し、知識能力の向上を図ための福祉サービスです。利用期間の制限はありません。対象となる方は以下の通りです。

終了継続支援B型の利用対象者

・就労経験はあるが、一般企業に雇用されることが困難となった人
・50歳に達している人または障害基礎年金1級受給者
・アセスメントにより、就労に関する課題等の把握が行われている人

就労定着支援

「就労定着支援事業」は、一般就労の継続のための連絡調整と支援を行う福祉サービスです。利用期間は3年。対象者は以下の通りです。

就労定着支援の利用対象者

就労移行支援、就労継続支援、生活介護、自立訓練の利用を経て一般就労へ移行した障害者のうち、就労に伴う環境変化により生活面・就業面の課題が生じている人

サービス利用のためには一般就労後6カ月を経過が必要です。

就労支援事業の実施主体・法人の制限(A型・定着支援)

4つの就労支援事業のうち、就労継続支援A型と就労定着支援事業のみ、実施主体となる法人に一定の制限が課せられているので確認しておきましょう。

就労継続支援A型は福祉専業法人のみ

就労継続支援A型を運営することができるのは、福祉専業の法人に限られています。つまり定款および法人登記の事業目的に、福祉事業以外の項目を記載することができません。

また、特例子会社による就労継続支援A型事業の運営も禁止されています。特例子会社とは障害者雇用促進のために設立される子会社のうち、親会社の障害者雇用率に算入できる法人を指します。

「親会社と一体として考えられる特例子会社に対して、福祉給付を行うことは法の趣旨に沿わない」というのが厚労省の見解です。

就労定着支援事業の開業には実績が必要

就労定着支援事業の開業(指定)のためには、過去に障害者の一般就職を支援したという実績が必要となります。

ということはつまり、就労移行支援、就労継続支援A型B型、生活介護事業所等としての実績が必要となるわけです。具体的な実績要件は次のいずれかです。

就労定着支援開業のための実績要件

・過去3年間に年平均1人以上の一般就労実績
・運営が3年に満たない場合3人以上の一般就労実績

自社で一般就労を支援した実績のない法人に、就労定着支援はできない、との立法趣旨です。

利用定員の比較

原則的な利用定員

利用定員とは同時に施設を利用することができる障害者の最大数のことです。利用定員は事業所において自由に定めることができます。

例えば利用定員25名とは、同時に25名の障害者が利用することができる施設のことを指します。利用定員の上限については法に特別の定めはありませんが、下限(最低定員)については明確な定めがあります。

最低定員

・就労移行支援と就労継続支援B型:最低20名以上
・就労継続支援A型:最低10名以上

なお、就労定着支援については事業所から支援員が出張し、一般就職している障害者を支援するサービスであるため、定員の概念自体が生じません。

報酬減算とならない範囲の定員超過

利用定員を超えて施設を利用すると、報酬減算等のペナルティーが課せられますが、就労移行支援、就労継続支援A型B型では、

・地域事情によりやむを得ず受け入れる
・適正なサービス提供が確保できる

の条件を満たせば、次の範囲まで定員超過による報酬減算がかかりません。
>>通常の定員超過減算についてはこちら

1日の利用定員についての考え方

定員50名以下の場合:定員×1.5まで(これを超えると30%減算)
定員51名以上の場合:定員×1.25+12.5まで(これを超えると30%減算)

【過去3か月の利用者実績について】
利用者延べ人数:定員×開所日×1.05まで(これを超えると30%減算)

これらの制限に注意しつつ、事業所を運営しましょう。

生産活動を実施する際の契約関係と対価の支払い

就労移行支援、就労継続支援B型

就労移行支援と就労継続支援B型での生産活動には、共通の規制があります。つまり作業(生産活動)が利用者たる障害者にとって、過重な負荷とならないよう、事業者には作業時間と作業量に配慮する義務が定められている点です。

また生産活動を行う障害者に対しては、その活動収入から必要経費を差し引いた額を、工賃として支払う義務も定められています。(B型に関しては月3000円以上)

ちなみに平成30年度の平均賃金・工賃は、就労継続支援B型で月額16,118円、時間額214円です。

就労継続支援A型は雇用契約

就労継続支援A型の特徴は、 利用者である障害者 が事業所内で雇用契約に基づく労働者として就労する点にあります。当然に最低賃金法や労働社会保険法令が適用されます。

また就労する障害者に対しては、その事業収入から必要経費を差し引いた額を、賃金として支払うことも定められています。

ここで留意すべきは、利益は全額利用者に還元する必要があるのと共に、利益以上の額を利用者に支払うことを禁止している点です。

「利益以上の額を支払う」とはすなわち、福祉給付費を賃金に充当することを指し、「事業所に支払われる福祉給付費を工賃に不当に還流させることで利用者を集める」ことを禁止する、との立法趣旨です。

ちなみに平成30年度の就労継続支援A型で月額平均賃金76,887円、時間額で846円となっています。

このコラムのまとめ

以上が就労移行支援、就労継続支援A型B型、就労定着支援の比較です。

ご覧いただいたように4つの就労支援事業は密接に結びついています。以後の特集コラムシリーズでは、就労移行支援、就労継続支援A型B型、就労定着支援について開業前に整理しておきたい事項を詳しく解説するので是非お読み下さい。

すでに開業計画段階まで来ている方は、当事務所の無料開業相談のご利用をお勧めします。

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【この記事の執筆・監修者】

井ノ上 剛(いのうえ ごう)
※ご契約がない段階での記事に関するご質問には応対できかねます。
 ご了承お願い致します。

◆1975年生まれ
 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
 兵庫県立大学大学院 社会科学研究科(MBA) 修了
◆社会保険労務士・行政書士
◆奈良県橿原市議会議員
◆介護福祉士実務者研修修了
◆タスクマン合同法務事務所 代表
 〒542-0066 大阪市中央区瓦屋町3-7-3イースマイルビル
 (電話)0120-60-60-60 
     06-7739-2538