このコラムを3分読めば理解できること

・就労移行支援、継続A型B型、定着支援の違いが理解できる
・各就労支援事業について、実施主体の制限が理解できる
・生産活動と工賃、賃金の関係性が理解できる

就労移行支援、就労継続支援A型B型、就労定着支援の設立・開業を計画中の方向けのコラム。このコラムでは介護・障害福祉事業の設立支援専門家が、就労移行支援、就労継続支援A型B型、就労定着支援の比較事項について詳しく解説する。

コラムの目次

①障害者に対する就労支援の現状
②4つの障害者就労支援の比較
-1.就労移行支援
-2.就労継続支援A型
-3.就労継続支援B型
-4.就労定着支援
③就労支援事業の実施主体・法人の制限(A型・定着支援)
④利用定員の比較
⑤生産活動を実施する際の契約関係と対価の支払い
⑥このコラムのまとめ

①障害者に対する就労支援の現状

平成29年厚労省資料によると、就労支援の対象となる 18歳~64歳の障害者数は、障害者総数約960万人のうち、377万人であり、内訳は次の通りだ。

・身体障害者 約101万人
・知的障害者 約 58万人
・精神障害者 約217万人

一般就労への移行の現状をみると、特別支援学校から一般企業への就職が約30%、本コラムで解説する就労系障害福祉サービスの利用が約30%である。

障害福祉サービスから一般企業への就職は、

1.3%(H15) → 4.3%(H29) 

と上昇傾向であるが、率としてはまだまだ低い。 就労系障害福祉サービスは4つに分類され、いずれも障害者総合支援法に基づいて実施されているサービスだ。以下それぞれの位置づけを解説する。

②4つの障害者就労支援の比較

  移行支援 継続A型 継続B型 定着支援
実施主体 制限なし 福祉専業法人 制限なし 実績要
最低定員 20人 10人 20人
生産活動に関する雇用契約 不要 必要 不要
支払い 工賃 賃金 工賃
利用者 一般就労を目指す障害者 一般就労が困難な障害者 就労移行支援、就労継続支援A型B型等を利用して一般就職し6カ月経過した障害者
サービス 生産活動を通じて就労に必要な訓練を行う 雇用契約による就労機会を提供し、知識能力の向上を図る 生産活動の機会を提供し、知識能力の向上を図る 一般就労の継続のための連絡調整と支援
利用期間 2年間 期限なし 期限なし 3年間

1.就労移行支援

「就労移行支援」は、通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれる障害者に対して、生産活動を通じて就労に必要な訓練を行う福祉サービスだ

標準利用期間は2年(必要性が認められた場合に限り、最大1年間の更新可能)

2.就労継続支援A型

「就労継続支援A型」は、一般就労が困難な障害者に雇用契約による就労機会を提供し、知識能力の向上を図るための福祉サービスだ。 利用期間の制限はない。

対象となるのは、

・就労移行支援事業を利用したが企業等の雇用に結びつかなかった人
・特別支援学校を卒業して就職活動を行ったが雇用に結びつかなかった人
・就労経験があるが現状、雇用されていない人

以上の通りである。

3.就労継続支援B型

「就労継続支援B型」は、 一般就労が困難な障害者に 生産活動の機会を提供し、知識能力の向上を図ための福祉サービスだ。利用期間の制限はない。

対象となるは、

・就労経験はあるが、一般企業に雇用されることが困難となった人
・50歳に達している人または障害基礎年金1級受給者
・アセスメントにより、就労に関する課題等の把握が行われている人

以上の通りである。

4.就労定着支援

「就労定着支援事業」は、一般就労の継続のための連絡調整と支援を行う福祉サービスだ。利用期間は3年。対象となるのは、

就労移行支援、就労継続支援、生活介護、自立訓練の利用を経て一般就労へ移行した障害者のうち、就労に伴う環境変化により生活面・就業面の課題が生じている人

である。またサービス利用のためには一般就労後6カ月を経過していなければならない。

③就労支援事業の実施主体・法人の制限(A型・定着支援)

4つの就労支援事業のうち、就労継続支援A型と就労定着支援事業のみ、実施主体となる法人に一定の制限が課せられているので確認しておこう。

就労継続支援A型は福祉専業法人のみ

就労継続支援A型を運営することができるのは、福祉専業の法人に限られている。つまり定款および法人登記の事業目的に、福祉事業以外の項目を記載することができない。

また、特例子会社による就労継続支援A型事業の運営も禁止されている。特例子会社とは障害者雇用促進のために設立される子会社のうち、親会社の障害者雇用率に算入できる法人を指す。

親会社と一体として考えられる特例子会社に対して、福祉給付を行うことは法の趣旨に沿わない、というのが厚労省の見解だ。

就労定着支援事業の開業には実績が必要

就労定着支援事業の開業(指定)のためには、過去に障害者の一般就職を支援したという実績が必要となる。

ということはつまり、就労移行支援、就労継続支援A型B型、生活介護事業所としての実績が必要となるわけだ。具体的な実績要件は次のいずれか。

・過去3年間に年平均1人以上の一般就労実績
・運営が3年に満たない場合3人以上の一般就労実績

自社で一般就労を支援した実績のない法人に、就労定着支援はできない、との立法趣旨である。

④利用定員の比較

原則的な利用定員

利用定員とは同時に施設を利用することができる障害者の最大数のことだ。利用定員は事業所において自由に定めることができる。

例えば利用定員25名とは、同時に25名の障害者が利用することができる施設のことを指す。

利用定員の上限については法に特別の定めはないが、下限(最低定員)については明確な定めがある。

就労移行支援と就労継続支援B型:最低20名以上
就労継続支援A型:最低10名以上

なお、就労定着支援については事業所から支援員が出張し、一般就職している障害者を支援するサービスであるため、定員の概念自体が生じない。

報酬減算とならない範囲の定員超過

就労移行支援、就労継続支援A型B型では、

・地域事情によりやむを得ず受け入れる
・適正なサービス提供が確保できる

の条件を満たせば、次の範囲まで定員超過による報酬減算がかからない。
>>通常の定員超過減算についてはこちら

【1日の利用定員について】
定員50名以下の場合:定員×1.5まで(これを超えると30%減算)
定員51名以上の場合:定員×1.25+12.5まで(これを超えると30%減算)

【過去3か月の利用者実績について】
利用者延べ人数:定員×開所日×1.05まで(これを超えると30%減算)

これらの制限に注意しつつ、事業所を運営しよう。

⑤生産活動を実施する際の契約関係と対価の支払い

就労移行支援、就労継続支援B型

就労移行支援と就労継続支援B型での生産活動には、共通の規制がある。つまり作業(生産活動)が利用者たる障害者にとって、過重な負荷とならないよう、事業者には作業時間と作業量に配慮する義務が定められている点だ。

また生産活動を行う障害者に対しては、その活動収入から必要経費を差し引いた額を、工賃として支払うことも定められている。(B型に関しては月3000円以上)

ちなみに平成30年度の平均賃金・工賃は、就労継続支援B型で月額16,118円、時間額214円である。

就労継続支援A型は雇用契約

就労継続支援A型の特徴は、 利用者たる障害者 が事業所内で雇用契約に基づく労働者として就労する点にある。当然に最低賃金法労働社会保険法令が適用される。

また就労する障害者に対しては、その事業収入から必要経費を差し引いた額を、賃金として支払うことも定められている。

ここで留意すべきは、利益は全額利用者に還元する必要があるのと共に、利益以上の額を利用者に支払うことを禁止しているのだ。

「利益以上の額を支払う」とはすなわち、福祉給付費を賃金に充当することを指し、「事業所に支払われる福祉給付費を工賃に不当に還流させることで利用者を集める」ことを禁止する、との立法趣旨だ。

ちなみに平成30年度の就労継続支援A型で月額平均賃金76,887円、時間額で846円となっている。

⑥このコラムのまとめ

以上が就労移行支援、就労継続支援A型B型、就労定着支援の比較である。

ご覧いただいたように4つの就労支援事業は密接に結びついている。以後の特集コラムシリーズでは、就労移行支援、就労継続支援A型B型、就労定着支援について開業前に整理しておきたい事項を詳しく解説するので是非通読を。

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就労移行支援、就労継続支援A型B型、就労定着支援のコラム

①移行支援、継続支援AB型、就労定着支援の比較
②就労支援事業の運営上の注意点について
③就労支援事業設立・開業に必要な人員・設備基準
④サービス管理責任者の要件について
⑤事務所探しの際に確認すべき条件について
⑥就労支援事業の報酬・加算減算の一覧表
⑦就労継続支援A型と特定求職者雇用開発助成金
⑧就労継続支援A型 新規指定開業の際の事業計画(収支計画)の作成
⑨処遇改善加算(介護福祉職員)とは?仕組みをわかりやすく解説
⑩特定処遇改善加算(介護福祉職員)2019年/令和元年10月改正点を解説