訪問看護とは?訪問看護のサービス内容と指定制度|介護保険と医療保険の観点から詳しく解説!

訪問看護とは
井ノ上剛(社労士・行政書士)

訪問看護は、看護師、保健師、准看護師等が、利用者の療養上の世話や診療の補助のために、居宅を訪問する介護保険のサービスです。訪問看護サービスを提供するためには、行政庁から事業所の指定を得たうえで、利用者の主治医からの指示書が必要となります。このコラムでは訪問看護のサービス内容、実施事業者の種類等について解説します。

このコラムの推奨対象者

・訪問看護の基礎知識を得たい人
・主治医の指示書について理解したい人
・訪問看護サービス提供までの流れを理解したい人

コラムの信頼性

タスクマン合同法務事務所は、介護障害福祉事業の設立と支援に専門特化した法務事務所です。行政書士・社労士・司法書士・税理士で運営しています。このコラムのリライト(更新)時点で、これまでの累積支援実績が400社を超えました。日常的に訪問看護事業の設立にご対応していますので、どうぞ安心してお読み下さい。

訪問看護のサポート内容

訪問看護は看護師、保健師、准看護師等が、疾患のある利用者の自宅を訪問し、主治医の指示に基づいて療養上の世話や診療の補助を行う介護保険のサービスです。

利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、利用者の心身機能の維持回復を図ることが訪問看護の目的です。

ここで重要となるのは主治医の発効する指示書。以下、指示書について詳しく確認していきます。

訪問看護における指示書とは?

医師の指示書

訪問看護サービスの実施には、主治医から交付される指示書が必須となります。ここで言う「主治医」とは利用者(患者)が自ら選んで治療を受けている1人の医師のことを指します。

つまり指示書は主治医(1人)のみが発行できるのであり、主治医以外が作成する指示書では訪問看護サービスを行うことはできません。

訪問看護では、主治医の指示に基づき、看護師等から次のサービスを受けることができます。

訪問看護サービス

・血圧、脈拍、体温などの測定、病状のチェックなど
・排泄、入浴の介助、清拭、洗髪など
・在宅酸素、カテーテルやドレーンチューブの管理、
・褥瘡(じょくそう)の処理、リハビリテーションなど
・在宅での看取り

急性増悪期の保険切り替え

急激に病状が悪化(急性増悪)した患者に対して、主治医が特別指示書を交付した後14日間は、介護保険から医療保険に切り替わることも理解しておきましょう。

介護保険適用となる訪問看護サービス

介護保険が適用されるのは、要介護認定(要支援認定含む)を受けた場合、または特定疾病となった場合です。特定疾病とは以下の16種類の疾病を指します。

16種類の特定疾病

筋萎縮性側索硬化症
脳血管疾患
後縦靭帯骨化症
進行性核上性麻痺・大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病
骨折を伴う骨粗しょう症
閉塞性動脈硬化症
多系統萎縮症
慢性関節リウマチ
初老期における認知症
慢性閉塞性肺疾患
脊髄小脳変性症
脊柱管狭窄症
糖尿病性神経障害・糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症
両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
早老症
末期がん

訪問看護サービス利用の流れ

要介護状態や要支援状態にあるかどうか、また介護の必要程度の判定を行うのが要介護認定(要支援認定を含む)です。保険者である市町村に設置される介護認定審査会において判定されます。

要介護認定は介護サービスの給付額に結びつくことから、その基準については全国一律に客観的に定められています。

訪問看護サービス利用の流れは以下のようになっています。

要介護認定申請
市町村に対して、要介護認定申請を行います。
一次判定
市町村の認定調査員(指定居宅介護支援事業者等に委託可能)による心身の状況調査(認定調査)、及び主治医意見書に基づくコンピュータ判定(一次判定)を行います。
二次判定
保健・医療・福祉の学識経験者により構成される介護認定審査会により、一次判定結果、主治医意見書等に基づき審査判定(二次判定)を行います。
要介護度の決定
要介護度の決定を行います。
ケアプラン作成
居宅介護支援事業所のケアマネージャーが居宅介護サービス(ケアプラン)を作成します。ここに、訪問看護サービスの必要性を組み込みます。
訪問看護サービスの選択、訪問看護計画書の作成
利用者が訪問看護サービス事業者を選定し、訪問看護サービス事業者は「訪問看護計画書」を作成します。

訪問看護サービスが提供できないケース

利用者(患者)が次のサービスを受けている期間は、介護保険における訪問看護を算定することができません。

訪問看護サービスが提供できない併用サービス

・短期入所生活介護
・短期入所療養介護
・特定施設入居者生活介護
・定期巡回・随時対応型訪問介護看護
・認知症対応型共同生活介護
・地域密着型特定施設入居者生活介護
・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
・複合型サービス

指定訪問看護事業者とみなし指定事業者の違い

介護保険制度において、介護保険サービスを提供するためには、サービスを行う事業所ごとに都道府県知事(権限移譲されている場合は市長)から指定を受ける必要があり、指定を受けた事業者は指定訪問看護事業者となります。

一方、特例として、健康保険法(医療保険)による保険医療機関の指定を受けている病院、診療所が訪問看護を提供する場合も、指定があったものとみなされる、「みなし指定」の規定が適用され、介護保険の訪問看護サービス事業者としてみなされます。

このコラムのまとめ

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【この記事の執筆・監修者】

井ノ上 剛(いのうえ ごう)
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 ご了承お願い致します。

◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
奈良県橿原市議会議員
◆介護福祉士実務者研修修了
タスクマン合同法務事務所 代表
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