【居宅介護・重度訪問介護・同行援護・行動援護】 障害福祉サービス費基本報酬と加算減算を分かりやすく一覧表で解説
障害福祉サービスの居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護の基本サービス費(報酬)、加算減算を、一覧表を使ってわかりやすく比較解説します。居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、それぞれの共通項目、個別項目を正しく理解して、開業に備えましょう。基本報酬と加算、減算について理解したい方は必見です。
このコラムの推奨対象者
・居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護の基本報酬を理解したい人
・居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護の加算、減算制度を理解したい人
コラムの信頼性
タスクマン合同法務事務所は、介護障害福祉事業の設立と運営支援に専門特化した法務事務所です。税理士・社労士・行政書士・司法書士が、日々介護障害福祉事業の設立支援を行っています。このコラムのリライト(更新)時である、令和3年7月現在、介護障害福祉事業の設立支援実績が、累積で400社を超えました。このコラムで取り扱っている障害福祉サービスの基本報酬、加算減算についても、日々数多くのご相談に対応しています。どうぞ安心してお読みください。
- 1. 居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護の基本サービス費(報酬)と共通加算一覧表
- 2. 居宅介護の基本報酬、居宅介護特有の報酬加算減算
- 2.1. 居宅介護の基本報酬
- 2.2. 基礎研修修了者等により行われる場合の減算
- 2.3. 事業所と同一建物に居住する利用者にサービスを提供する場合の減算
- 2.4. 同一の建物の利用者20人以上にサービス提供する場合の減算
- 2.5. 事業所と同一の建物の利用者50人以上にサービス提供する場合の減算
- 3. 重度訪問介護の基本報酬、重度訪問介護特有の報酬加算減算
- 3.1. 移動介護加算
- 3.2. 重度障害者等包括支援の対象利用者の場合の加算
- 3.3. 障害支援区分6の場合の加算
- 3.4. 90日以上利用する場合の減算
- 3.5. 移動介護緊急時支援加算
- 4. 同行援護の基本報酬、同行援護特有の報酬加算減算
- 4.1. 同行援護の基本報酬
- 4.2. 基礎研修修了者等により行われる場合の減算
- 4.3. 盲ろう者に対して盲ろう者向け通訳・介助員が支援を行う場合の加算
- 4.4. 障害支援区分3または4以上に該当する場合の加算
- 5. 行動援護の基本報酬、行動援護特有の報酬加算減算
- 5.1. 行動援護の基本報酬
- 5.2. 支援計画シート未作成減算
- 6. 特定事業所加算
- 6.1. ア:サービス提供体制の整備(研修・情報伝達)
- 6.1.1. 研修の定期開催
- 6.1.2. 情報伝達と共有
- 6.1.3. 定期健康診断
- 6.2. イ:介護福祉士等の比率(新規指定時は算定不可)
- 6.2.1. 従業者についての基準
- 6.2.2. サービス提供責任者についての基準
- 6.3. ウ:障害支援区分5以上と喀痰吸引必要者が合わせて30%以上
- 6.4. エ:障害支援区分4以上と喀痰吸引必要者が合わせて50%以上
- 7. このコラムのまとめ
・
居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護の基本サービス費(報酬)と共通加算一覧表
内容 | 居宅 | 重度 | 同行 | 行動 | |
基本報酬 | >>詳細 | >>詳細 | >>詳細 | >>詳細 | |
初回加算 | 新規利用者に対してサ責が対応 | 200(月) | 200(月) | 200(月) | 200(月) |
利用者負担上限額管理加算 | 事業所が利用者負担額合計を管理 | 150(月) | 150(月) | 150(月) | 150(月) |
2人の従業者による介護 | 利用者体重、階高等の理由 | ×2 | ×2 | ×2 | ×2 |
夜間・早朝加算 | 18~22時/6~8時 | 25% | 25% | 25% | 25% |
深夜加算 | 22~6時 | 50% | 50% | 50% | 50% |
特定事業所加算 | ※5 | 5~20% | 10~20% | 5~20% | 5~20% |
緊急対応加算 | 月2回 | 100 | 100 | 100 | 100 |
地域生活支援等に係る加算 | 市町村から地域生活支援拠点等に指定された場合、緊急対応加算に上乗せ | 50 | 50 | 50 | 50 |
喀痰吸引等支援体制加算 | 1人1日 | 100 | 100 | 100 | 100 |
福祉専門職員等連携加算 | 90日に3回 | 564 | なし | なし | なし |
行動障害支援連携加算 | 30日に1回 | なし | 584 | なし | なし |
行動障害支援指導連携加算 | 移行月のみ | なし | なし | なし | 273 |
処遇改善加算(1) | >>詳細 | 30.20% | 19.10% | 30.20% | 25.00% |
処遇改善加算(2) | 22.00% | 13.90% | 22.00% | 18.20% | |
処遇改善加算(3) | 12.20% | 7.70% | 12.20% | 10.10% | |
処遇改善特別加算 | 4.10% | 2.60% | 4.10% | 3.40% | |
特定処遇改善加算(1) | >>詳細 | 7.40% | 4.50% | 14.80% | 6.90% |
特定処遇改善加算(2) | 5.80% | 3.60% | 11.50% | 5.70% |
居宅介護の基本報酬、居宅介護特有の報酬加算減算
居宅介護の基本報酬
サービス提供時間 | 身体 | 家事 | 通院 | 通院 | 通院乗降介助 |
介護あり | 介護なし | ||||
30分未満 | 255 | 105 | 255 | 105 | 101 |
30~45分未満 | 402 | 152 | 402 | 196 | |
45~1時間未満 | 196 | ||||
1時間~1時間15分未満 | 584 | 238 | 584 | 274 | |
1時間15分~1時間30分未満 | 274 | ||||
1時間30分~2時間未満 | 666 | 309 +15分ごとに35 |
666 | 343 +30分ごとに69 |
|
2時間~2時間30分未満 | 750 | 750 | |||
2時間30分~3時間未満 | 833 | 833 | |||
3時間以上 | 916 +30分ごとに83 |
916 +30分ごとに83 |
基礎研修修了者等により行われる場合の減算
居宅介護サービスを介護福祉士、実務者研修修了者、初任者研修修了者以外が提供する場合、以下の通り報酬減算が生じます。
基礎研修修了者等により行われる場合の減算
・身体介護および通院(介護あり)・・・30%減算(70%で算定)
・その他・・・10%減算(90%で算定)
ただし重度訪問介護研修修了者による場合はこの減算ではなく、上記表とは別に特別に次の単位数で算定します。
サービス提供時間 | 単位数 |
1時間未満 | 184 |
1時間~1時間30分未満 | 274 |
1時間30分~2時間未満 | 366 |
2時間~2時間30分未満 | 457 |
2時間30分~3時間未満 | 549 |
3時間以上 | 633+30分ごとに84単位 |
事業所と同一建物に居住する利用者にサービスを提供する場合の減算
事業所と同一建物、隣接地に居住する利用者に対して居宅介護サービスを提供する場合、10%減算(90%で算定)が生じます。
同一の建物の利用者20人以上にサービス提供する場合の減算
一つの建築物に居住する20人以上の利用者に居宅介護サービスを提供する場合、10%減算(90%で算定)が生じます。
事業所と同一の建物の利用者50人以上にサービス提供する場合の減算
事業所と同一建物、隣接地に居住する50人以上の利用者に対して居宅介護サービスを提供する場合、15%減算(85%で算定)が生じます。
・
ここで説明した3つの減産については、次のコラムで詳しく説明していますので、合わせてお読み下さい。
重度訪問介護の基本報酬、重度訪問介護特有の報酬加算減算
サービス提供時間 | 在宅者/入院入所者共通 |
1時間未満 | 185 |
1時間~1時間30分未満 | 275 |
1時間30分~2時間未満 | 367 |
2時間~2時間30分未満 | 458 |
2時間30分~3時間未満 | 550 |
3時間~3時間30分未満 | 640 |
3時間30分~4時間未満 | 732 |
4時間~8時間未満 | 817+30分ごとに85 |
8時間~12時間未満 | 1497+30分ごとに85 |
12時間~16時間未満 | 2172+30分ごとに80 |
16時間~20時間未満 | 2818+30分ごとに86 |
20時間~24時間未満 | 3500+30分ごとに80 |
移動介護加算
移動中の介護を行う場合には、外出のための身だしなみの等の準備、移動先の確認業務が加わりますが、移動が長時間になった場合でも大きな変化がないため、3時間以上のサービス提供を一律に評価しています。
移動の時間 | 基本報酬に対する加算 |
1時間未満 | 100 |
1時間~1時間30分未満 | 125 |
1時間30分~2時間未満 | 150 |
2時間~2時間30分未満 | 175 |
2時間30分~3時間未満 | 200 |
3時間以上 | 250 |
重度障害者等包括支援の対象利用者の場合の加算
重度訪問介護従業者養成研修修了者が、重度障害者等包括支援の対象利用者にサービス提供を行った場合、基本報酬に15%を加算します。・
障害支援区分6の場合の加算
重度訪問介護従業者養成研修修了者が、障害支援区分6の利用者にサービス提供を行った場合、基本報酬に8.5%を加算します。・
90日以上利用する場合の減算
医療機関に入院、または介護施設に入所する利用者に対する重度訪問介護については、90日間のサービス提供が限度とされています。引き続きサービス提供を行う場合、所定単位数から20%減算(80%で算定)されます。
移動介護緊急時支援加算
利用者同乗で運転中、駐停車して喀痰吸引、体位変換などを行った場合、1日240単位関されます。
・
同行援護の基本報酬、同行援護特有の報酬加算減算
同行援護の基本報酬
サービス提供時間 | 単位数 |
30分未満 | 190 |
30分~1時間未満 | 300 |
1時間~1時間30分未満 | 433 |
1時間30分~2時間未満 | 498 |
2時間~2時間30分未満 | 563 |
2時間30分~3時間未満 | 628 |
3時間以上 | 693+30分ごとに65 |
基礎研修修了者等により行われる場合の減算
同行援護の従業者について、基礎研修修了者等で視覚障害者への支援経験が1年以上の者も従業者とすることが認められていますが、この場合10%減算(90%で算定)されます。
盲ろう者に対して盲ろう者向け通訳・介助員が支援を行う場合の加算
盲ろう者に対して、同行援護従業者研修を修了している盲ろう者向け通訳・介助員が支援を行う場合、25%を加算します。
しかし盲ろう者向け通訳・介助員が、同行援護従業者研修を修了していない場合、10%の減算と25%の加算を同時に算定します。
障害支援区分3または4以上に該当する場合の加算
障害支援区分が3の利用者に同行援護を提供する場合は20%を加算し、4以上の利用者の場合は40%を加算します。
・
行動援護の基本報酬、行動援護特有の報酬加算減算
行動援護の基本報酬
サービス提供時間 | 単位数 |
30分未満 | 258 |
30分~1時間未満 | 407 |
1時間~1時間30分未満 | 592 |
1時間30分~2時間未満 | 741 |
2時間~2時間30分未満 | 891 |
2時間30分~3時間未満 | 1040 |
3時間~3時間30分未満 | 1191 |
3時間30分~4時間未満 | 1340 |
4時間~4時間30分未満 | 1491 |
4時間30分~5時間未満 | 1641 |
5時間~5時間30分未満 | 1791 |
5時間30分~6時間未満 | 1940 |
6時間~6時間30分未満 | 2091 |
6時間30分~7時間未満 | 2240 |
7時間~7時間30分未満 | 2391 |
7時間30分以上 | 2540 |
支援計画シート未作成減算
支援計画シートが作成されていない、または支援計画シート作成に係る一連の業務が適切に行われていない場合、5%減算(95%で算定)が生じます。
・
特定事業所加算
障害福祉サービスにおける特定事業所加算は、良質な人材の確保とサービスの質の向上を図る事業所に対する報酬加算制度です。取り組みの達成度合いにより、加算レベルが定められています。
特定事業所加算 | 居宅介護 | 重度訪問 | 同行援護 | 行動援護 |
(1) | アイウ全て適合 20% |
アイウ全て適合 20% |
アイウ全て適合 20% |
アイウ全て適合 20% |
(2) | アとイに適合 10% | アとイに適合 10% | アとイに適合 10% | アとイに適合 10% |
(3) | アとウに適合 10% | アとウに適合 10% | アとウに適合 10% | アとウに適合 10% |
(4) | アとエに適合 5% | なし | アとエに適合 5% | アとエに適合 5% |
ア:サービス提供体制の整備(研修・情報伝達)
研修の定期開催
個別具体的な研修目標、内容、研修期間、実施時期を定めて研修計画を策定する必要があります。従業者全員が参加する必要がありますが、全員一堂に会する必要はなく、グループ別に分かれて開催しても問題ありません。概ね1カ月に1回以上の開催が必要です。
情報伝達と共有
利用者へのサービス提供情報について、文書(FAX、メール可)により、留意事項を伝達、共有する必要があります。
定期健康診断
常時雇用しない労働者を含め、全員の定期健康診断を1年に1回以上、事業主の費用負担で実行する必要があります。
なお、新たに加算を受ける場合には、1年以内に健康診断の実施計画があることで足ります。
イ:介護福祉士等の比率(新規指定時は算定不可)
従業者についての基準
従業者がいずれか1つ以上に該当する必要があります。前年度または届出日の属する月の前3カ月(月末)で、常勤換算法により計算します。
従業者についての基準
・介護福祉士が30%以上
・介護福祉士+実務者研修修了者等が50%以上
・同期間中、常勤従事者によるサービス提供が40%以上
サービス提供責任者についての基準
サービス提供責任者がいずれかに該当する必要があります。この期間の資格有無は問いません。
サービス提供責任者についての基準
・実務経験3年以上の介護福祉士
・同5年以上の実務者研修修了者等
ウ:障害支援区分5以上と喀痰吸引必要者が合わせて30%以上
前年度または届出日の属する月の前3カ月の1カ月平均で計算します。新規指定時は算定できません。
エ:障害支援区分4以上と喀痰吸引必要者が合わせて50%以上
前年度または届出日の属する月の前3カ月の1カ月平均で計算します。新規指定時は算定できません。
・
このコラムのまとめ
以上が居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護の障害福祉サービス費と、報酬加算減算です。
特定事業所加算など、考え方が複雑で介護保険と一部運用が異なる加算に注意が必要です。 居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護の設立開業をお考えの際は、当事務所の無料相談のご利用下さい。
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【この記事の執筆・監修者】
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◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
◆奈良県橿原市議会議員
◆介護福祉士実務者研修修了
◆タスクマン合同法務事務所 代表
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