このコラムを3分読めば理解できること

1.介護タクシーと通院等乗降介助の関係が理解できる
2.通院等乗降介助の算定要件が理解できる
3.通院等乗降介助の前後に身体介護を行った場合の取り扱いが理解できる

訪問介護には大きく分けて3種類の介護保険サービスがある。「身体介護」、「生活援助」、「通院等乗降介助」だ。このコラムでは訪問介護の第三のサービス「通院等乗降介助」について詳しく解説する。

このコラムの目次

①訪問介護の通院等乗降介助には介護タクシーの許可が必要
②通院等乗降介助を算定するための条件
③院内介助で訪問介護費を請求することができるか?
④通院等乗降介助と身体介護中心型介護の違い
⑤まとめ

①訪問介護の通院等乗降介助には介護タクシーの許可が必要

訪問介護の通院等乗降介助(98単位)を算定するためには、介護タクシーの許可が必要だ。介護タクシーについては、コラム「介護タクシー開業前に整理したい、道路運送法 《4種類の介護タクシー》比較」で詳しく解説しているのでご参照を。

会社として道路運送法4条、または43条の許可(いわゆる介護タクシー許可)を取らなければならないのだが、通院等乗降介助に関連する許認可についてまとめると次の通りとなる。

介護保険法に基づく訪問介護サービス指定を得ると

介護タクシーの乗車降車介助が介護保険の算定対象となる(98単位)
(無許可営業できるが、その場合、全額利用者の自費負担)

道路運送法に基づく介護タクシー許可を得ると

利用者から運賃をもらって、輸送することができる、いわゆるタクシー業
(無許可営業は禁止されている)

上記から分かる通り、運賃については、いずれの場合も介護保険の算定対象にならない点を理解しておこう。

②通院等乗降介助を算定するための条件

通院等乗降介助を算定するためには、

ア)車両への乗車降車の介助

を行い、かつ次のいずれかの介助を行わなければならない

イ)乗車前または降車後の移動介助
ウ)通院先での受診手続き、移動介助

つまり、介護タクシーへの乗車・降車の介助だけでは通院等乗降介助を算定することはできず、イまたはウとのセットとする必要があるわけだ。

③院内介助で訪問介護費を請求することができるか?

次に病院内の介助について考えてみよう。以下に記載するのは通院等乗降介助の一連の動きだ

1.乗車前介助(声掛け説明)
2.乗車介助
3.降車介助
4.受診手続き、移動介助

この段階まで来た後、待合で名前を呼ばれたとしよう。

診察室内での衣服の着脱、ベッドへの移動、体位変換(いわゆる院内介助)などは、医療機関スタッフの仕事であるため、原則として介護保険の算定対象とならない

しかし厚労省通達では「場合により介護保険の算定対象となる」とされているが、ここでいう「場合により」について、以下の3要件が示されている。

・適切なケアマネジメントがなされている
・院内スタッフによる対応が難しい
・利用者が介助を必要とする心身状態である

「院内介助である」だけを理由に、介護保険算定対象から外さないよう、厚労省から各自治体に通達されている点も見逃さないでおこう。

④通院等乗降介助と身体介護中心型介護の違い

では車両への乗降介助の前後に、20分以上の手間のかかる介護サービスが生じる場合も、98単位の通院等乗降介助しか算定できないのだろうか。

この項では、全体のケースを6つに分類して、介護保険の適用関係を検討してみる。

Ⅰ 要介護1~5 院内介助を行わない場合

往路98単位、復路98単位の通院等乗降介助のみ

Ⅱ 要介護1~5 院内介助を行う場合

往路98単位、復路98単位の通院等乗降介助をのみ。この場合院内介助は通院等乗降介助に包括すると考える。

Ⅲ 要介護4~5 往路の乗車前、復路の降車後に20~30分の介助を行うが、院内介助を行わない場合

往路、復路それぞれに、身体介護中心型を算定する。(当然、運転中時間を除く)

Ⅳ 要介護4~5 往路の乗車前、復路の降車後に20~30分の介助を行い、院内介助を行う場合

往路、復路を一括して、身体介護中心型を算定する。(当然、運転中時間を除く)

Ⅴ 要介護1~5 往路乗車前に、乗車とは関係ない身体介護を30分~1時間 院内介助なし

往路、復路それぞれに、身体介護中心型を算定する。(当然、運転中時間を除く)

Ⅵ 要介護1~5 往路乗車前に、乗車とは関係ない身体介護を30分~1時間 院内介助する

往路、復路を一括して、身体介護中心型を算定する。(当然、運転中時間を除く)

院内介助を行わないことで、いったん訪問介護サービスが途切れ、往路復路がそれぞれ別々の訪問介護サービス提供となる点を理解しておこう。

⑤まとめ

以上が訪問介護事業における通院等乗降介助である。通院等乗降介助を介護保険算定するためには、介護タクシー業の許可が必要となる。

また、単に介護タクシーの乗車サポートに留まる場合の介護保険単位と異なり、乗車・降車の前後に身体介護が含まれると、一定金額以上の介護保険単位となるので、十分な計画を立てて、介護タクシー事業に臨もう。

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