訪問介護の事業所(事務所)の広さ基準・要件 他の業種との兼業は?自宅兼事務所の申請は?整えるべき設備備品の要件は?
通所介護やグループホームと異なり、訪問介護事業の開業時には事務所の広さに基準、要件はありません。つまり、必要となる設備・備品が事業所に配置され、事業所としての区画が確保できていればOKです。訪問介護(要介護者)は、障害居宅介護や重度訪問介護と兼業するケースが多いため、兼業の場合の事業所要件の理解も必要となります。
このコラムの推奨対象者
・訪問介護開業にあたっての事務所の要件が知りたい人
・自宅を訪問介護の事務所として使う場合のポイントを知りたい人
・事務所内に備えるべき設備、備品について知りたい人
このコラムの信頼性
タスクマン合同法務事務所は、介護障害福祉事業の支援に特化した合同法務事務所です。毎月、多数の訪問介護事業所の設立に関与しています。このコラムのリライト(更新)時点で、介護障害福祉事業の累積支援件数が、400社を越えました。このコラムでは訪問介護事業の事業所(事務所)要件について、詳しく解説します。
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訪問介護の事業所(事務所)広さ要件
法令では訪問介護の事務所について、明確な広さの要件は定められておらず、「事業の運営を行うために必要な広さ」があれば良いとされています。
当社で訪問介護の指定申請のご依頼を頂く際は、お客様に最低限、次の広さを確保できるよう、お願いしています。
訪問介護 事業所の広さ確保について
・常勤換算の人数分(最低3セット)の机と椅子が入る広さ
・相談スペースを配置できる広さ
これらが収まれば、極端な話ワンルームマンションでも、訪問介護事業を開業することができます。
現に当社で開業支援する、多くのお客様が一般的なワンルームマンションで事業をスタートされます。(この場合、もちろん家主さんから事業使用する許可を得る必要があります)
訪問介護と他の事業を兼業する場合の事業所基準
訪問介護事業と、他の指定事業を兼業する場合、どのように区画すればよいのかについてご説明します。例えば居宅介護支援(ケアプランセンター)や、訪問看護、障害居宅介護との兼業の場合を想定してみましょう。
これらの事業との兼業する場合は、次のようお考え下さい。
兼業する場合の事業所基準
《原則》間仕切り、パーテションで区分する
《例外》業務に支障が無い場合は、それぞれの使用区画を特定する
要するに、壁やパーテションを設置しなくとも、いわゆる「机の島(かたまり)」によって、区画を特定することが出来れば兼業も認められるという訳です。
事業所内に備えつけるべき備品・設備の要件は?
法令上は、手指洗浄設備(つまり手洗い)が必要例として定められており、その他は「必要な設備・備品」とされているにすぎません。
具体的に何が必要か、との問題は指定申請先である、各自治体のローカルルール(個別基準)によるところが大きいですが、最大公約数的に記載すると次の通りとなります。
これだけ揃えれば、まずOK<備品・設備リスト>
・手指洗浄設備(ペーパータオル、手洗いアルコール、ハンドソープも)
・トイレ
・相談室(外部から遮断し、相談者のプライバシーを保つ)
・個人情報保管用鍵付キャビネット
・人数分の机、椅子
・電話器
・FAX(複合機)
・パソコン
なお、テナントビルを賃借りする場合、共用トイレでも可能です。
これらを準備した上で、多角度から写真に収め、指定申請書類に添付して提出する必要があります。申請最終期限は指定(開業)日の1ヶ月前で設定している自治体が多いため、開業1カ月前には事務所が完成している必要がある点に注意が必要です。
自宅を訪問介護の事務所として使えるか?
次に、自宅を訪問介護事業の事務所として使うことができるかを考えてみましょう。
建物の登記上、「居宅兼事務所」とされており、設計段階から事務所部分と居宅部分が明確に設計・建築されている場合を除いて、一般住宅(マンション含む)に住みながら、訪問介護の事務所として兼用することは極めて困難だと思ってください。
なぜなら、先ほど説明した「備品・設備」の一部を、居住する家族と兼用することになるからです。
「自宅兼事務所」で訪問介護事業の指定申請を行う場合、我々専門家が最も気をつけるのは、次の点です。
自宅兼事務所で訪問介護の指定申請を行う際の注意点
・事務所部分が他の部屋と明確に区分されているか?カギはあるか?
・家族の生活空間を通らずに、職員や来訪者が事務所、手指洗浄設備、トイレに行くことができるか?
・職員や来訪者の行動導線上、家族と出くわすことがないか?
例えば、夫婦2人住まいで両名とも常勤の訪問介護職員となっている場合、遭遇する家族自体がいないため、自宅兼事務所としての申請は比較的容易となります。
しかし、小さい子供の出入りが頻繁な家族の場合は、相当の工夫をしなければ、自宅兼事務所での申請は極めて困難であるとご理解ください。
訪問介護事業の「人員要件」については、こちらのコラムも併せてご参照ください。
このコラムのまとめ
低コストで訪問介護事業を始めるためには、事務所要件を正しく理解する必要があります。法律上最低限求められる基準を理解し、事業運営が出来るかどうかを事前にチェックしましょう。
特に訪問介護事業の場合は、行政庁との正式な事前相談、事前協議という前置きがないため、申請書提出時の一発勝負となります。仮にそのタイミングで審査NGとなった場合、振り出しに戻すのが大変なため、専門家の相談を受けた上で進めることをお勧めします。
自宅兼事務所で申請する場合は、専門的知識がないと論点が不明確となる場合があるため、当事務所の無料相談のご利用を強くお勧めします。
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【この記事の執筆・監修者】
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※ご契約がない段階での記事に関するご質問には応対できかねます。
ご了承お願い致します。
◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
◆奈良県橿原市議会議員
◆介護福祉士実務者研修修了
◆タスクマン合同法務事務所 代表
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