このコラムを3分読めば理解できること

・訪問介護開業前に把握すべき報酬の基本知識が理解できる
・身体介護、生活援助の考え方が理解できる
・訪問介護の2時間ルール、20分未満ルールが理解できる

これまでは一人の訪問介護員だったあなたも、訪問介護事業の開業後は経営者として訪問介護費の算定を行わなければならない。このコラムでは訪問介護の開業を直前に控えたあなたのために、介護保険の専門家が訪問介護の基本報酬について詳しく解説する。

このコラムの目次

①訪問介護の基本報酬を理解しよう
②身体介護、生活援助の意味を理解しよう
③生活援助加算(身体介護に引き続き生活援助を行った場合の訪問介護費)
④訪問介護対象外のサービス
⑤訪問介護の2時間ルールとは?
⑥20分未満の訪問介護は使えるケースが限定される
⑦実際に要した時間ではない
⑧まとめ

①訪問介護の基本報酬を理解しよう

訪問介護開業前のあなたが、先ず初めに理解しなければならないポイントは、訪問介護費の基本報酬だ。訪問介護費の基本報酬は次の3つに大別される。

イ)身体介護中心型

・20分未満 166単位
・20分以上30分未満 249単位
・30分以上1時間未満 395単位
・1時間以上 577単位+1時間から計算し、30分ごとに83単位

ロ)生活援助中心型

・20分以上45分未満 182単位
・45分以上 224単位

ハ)通院等乗降介助中心型

98単位

このコラムでは上記のイロについて、詳しく解説していく。
>>ハ)通院等乗降介助についてはこちら

基本報酬に上乗せで支給される各種加算については下記をご参照願いたい。
>>訪問介護の初回加算、2人で訪問介護、夜間早朝割増、緊急時訪問介護加算

②身体介護、生活援助の意味を理解しよう

身体介護

身体介護とは、訪問介護員が利用者の体に直接接触して行う一連の行為をいう。食事介助の場合を例に説明しよう。

食事介助は単に食べ物を口に運ぶ介助を行うだけでなく、利用者に対する声掛け→訪問介護員の手指洗浄→利用者の手拭き、エプロンがけなどの事前準備から、食後の世話→気分の確認→後片付けなど一連の行為として考える。

身体介護の例

・排泄、食事介助
・入浴、身体整容(歯磨き、洗顔、整髪など)
・体位変換、移動
・起床・就寝介助
・服薬介助

生活援助

生活援助とは、単身利用者、または家族と同居しているが家族が障害疾病などの理由で家事が十分に出来ない場合の介護サービスだ。具体的には次のサービスを指す。

生活援助の例

掃除、洗濯
ベッドメイク
衣類の整理、被服の補修
調理、配膳
買い物、薬の受取

厚労省通達によると、単に同居家族の有無、または同居家族の障害疾病の有無だけで、訪問介護(生活援助)の利用判断を行ってはいけない、とされている点にも注意が必要だ。

以下の解説を読む前に、時間当たり単価で訪問介護費を見た場合、

身体介護 > 生活援助

とされている点を予め理解しておこう。

③生活援助加算(身体介護に引き続き生活援助を行った場合の訪問介護費)

身体介護と生活援助、それぞれの意味が異なる以上、介護保険の算定では分離して考えるべきである。しかし一連の介助の中に、身体介護と生活援助が混じっている場合、身体介護の含まれる度合いに応じて、次のように考える。

5分の調理(生活援助)の後、50分の食事介助(身体介護)を行った

→55分の身体介護と考える

居室の掃除のため5分の移動介助(身体介護)の後、35分の居室掃除(生活援助)を行った

→40分の生活援助と考える

しかしながら、適切なケアプランに基づき、1回の訪問介護において、身体介護と生活援助を連続して行う必要があるときは、次の算定方式を取ることができる。

身体介護(20分未満は除く)+生活援助開始20分から起算して25分ごとに66単位

④訪問介護対象外のサービス

利用者本人の仕事の手伝いや、利用者の家族のための援助、その他訪問介護員が行わなくても日常生活に支障が生じない援助は訪問介護費(生活援助)の対象とならない。

また訪問介護の主な目的が、利用者の安否確認、健康チェックであり、それに伴い若干の身体介護または生活援助を行う場合にも、訪問介護費は算定できない点に注意しよう。

⑤訪問介護の2時間ルールとは?

①で示した通り、訪問介護費は短時間のサービスの方が、時間当たりの報酬が高く設定されていることが分かる。長時間のサービス提供によりサービス提供効率が上がるため、時間が長くなるに応じて報酬単価が逓減する形式が取られているのである。

この制度に便乗して、あえて短時間サービスを1日の中で繰り返し提供する方が報酬が高くなるのではないか?という疑問が湧く。

この問題の対策として、訪問介護ではいわゆる「2時間ルール」という制限が設けられている。

2時間ルールとはつまり、前回のサービス提供から2時間以上空けないと、それぞれのサービス提供時間を分離できない(合算しなければならない)、という仕組みだ。

(利用者の必要性により、例外的に2時間ルールが適用されないケース、すなわわち緊急時訪問介護加算はこちら

なお、1人の利用者に対して数名の訪問介護員が交代で訪問介護を行った場合も、このルールは適用される。

⑥20分未満の訪問介護は使えるケースが限定される

訪問介護のうち、身体介護の基本報酬は次の通りであることは先に説明した。

・20分未満 166単位
・20分以上30分未満 249単位
・30分以上1時間未満 395単位
・1時間以上 577単位+1時間から計算し、30分ごとに83単位

訪問介護(身体介護)は20分以上のサービス提供が原則であり、ここでいう「20分未満」の訪問介護は例外的な措置であるということを理解しておこう。

20分未満の訪問介護は、次のようなケースで例外的に算定できる。

・認知症など、短時間かつ頻繁な日常生活の注意が必要な利用者
・サービス提供する事業所が24時間体制で連絡・連携できる など

>20分未満の訪問介護が認められる、緊急時訪問介護加算はこちら

⑦実際に要した時間ではない

最後にこのコラムで繰り返し説明している、「時間」について説明しよう。

訪問介護費を算定するにあたり、その根拠となる「時間」については、実際に要した時間ではなく、「そのサービスを行うために必要な標準時間」のことである。

よって、身体3(30分以上1時間未満)の介護サービスが、たまたま利用者の体調が良かったことが理由で30分未満で終わった場合でも、身体2(20分以上30分未満)で介護報酬を算定する必要はない。しかしそれが常態化している場合には、介護支援専門員(ケアマネージャー)に相談の上、訪問介護計画の見直しを行う必要がある。

⑧まとめ

以上が訪問介護における介護保険報酬の基本的な考え方である。

このコラムで解説した部分が基軸となり、別途加算報酬が算定されていく。加算報酬については別コラムで詳しく解説しているが、訪問介護開業準備段階においては、まず本コラムの基本報酬部分を確実にマスターすることをお勧めしたい。

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