訪問介護とは?在宅型の介護制度を正しく理解して、訪問介護の開業に備えよう【居宅介護・重度訪問介護・1号事業との違い】

訪問介護とは?介護保険制度を詳しく理解して介護事業の開業に備えよう!
井ノ上剛(社労士・行政書士)

「訪問介護とは何か?」そのような疑問をお持ちのあなたは、介護保険の訪問介護事業を学ぼうとされているのだと思います。
自宅で生活する利用者に対して、家事援助と身体介護を「訪問型サービス」によって提供するのが訪問介護事業です。冒頭であなたが理解しなければならないのは、広い意味での訪問介護には3つの種類があるということです。

このコラムの推奨対象者

〇訪問介護制度のことが理解できていない方
〇障害者向けの「居宅介護」・「重度訪問介護」との違いが分からない方
〇要支援者向けの「1号訪問事業」との違いが分からない方

☑このコラムの信頼性

介護障害福祉事業をの立ち上げ、設立を専門的に支援しているタスクマン合同法務事務所が管理運営します。このコラムをリライト(更新)している令和3年6月時点で、介護障害福祉事業の開業支援実績が、累計400社を越えました。安心して読み進めてください。

在宅で生活する人を、ヘルパーが訪問してサービス提供する事業には、次の3種類があります。ここでは要介護1~5の認定を受けた高齢者に対する、訪問介護サービスについて説明します。

サービス名 訪問介護 1号訪問事業 障害居宅介護
適用区分 介護保険法 市町村事業 障害者総合支援法
対象者 要介護1~5の方 要支援1~2の方 障害者

要介護度1~5の高齢者に対する訪問介護

「訪問介護」は、 自宅で受けられる家事援助等のサービスです。

利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、訪問介護員(ホームヘルパー)が利用者の自宅を訪問し、食事・排泄・入浴などの介護(身体介護)や、掃除・洗濯・買い物・調理などの生活の支援(生活援助)を行います。

利用者の通院時の、車の乗り降り時の介助サービスを提供する事業所もあります。このサービスを「通院等乗降介助」と呼びます。「通院等乗降介助」については、こちらのコラムをご参照ください。

訪問介護の通院等乗降介助とは?算定条件と仕組みを解説
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訪問介護サービスを提供するためには、都道府県知事(または権限を委譲された市長)の指定を受ける必要があります。要するに営業許可のことです。

一方で、次のようなサービスは介護保険法の訪問介護サービスの対象外とされているため、注意しましょう。

介護保険法の訪問介護サービス対象外

〇直接利用者の援助に該当しないサービス
(例)利用者の家族のための家事や来客の対応 など

〇日常生活の援助の範囲を超えるサービス
(例)草むしり、ペットの世話、大掃除、窓のガラス磨き、正月の準備 など

なお、訪問介護事業者には、介護福祉士、介護員養成研修の修了者が一定数在籍していることが要件とされています。訪問介護事業の人員基準については、こちらのコラムをご参照下さい。

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要支援度1~2の高齢者に対する予防訪問介護

1号訪問事業(予防介護)は、要支援1~2の方々が利用できる制度であり、要介護状態等となることの予防、又は要介護状態等の軽減若しくは悪化の防止を目的としています。

同時に1号訪問事業(予防介護)では、運動機能や栄養状態といった心身機能の改善だけでなく、QOL(クオリティー・オブ・ライフ=生活の質)の向上を図ることが目標とされています。

かつては訪問介護事業とセットで許可(指定)を受けることができましたが、現在は市町村独自の地域支援事業に位置付けられているため、1号訪問事業(予防介護)を提供するためには、訪問介護とは別に1号訪問事業としての指定を受ける必要があります。

なお、障害者向けの「居宅介護・重度訪問介護」と同様に、人員や設備は併用可能ですので、多くの訪問介護事業所が、1号訪問事業(予防介護)の指定も同時に受けられています。

障害者に対する訪問介護(居宅介護・重度訪問介護)

要介護者と障害者では、利用する制度が異なります。障害者は「障害者総合支援法」に基づく「居宅介護」の対象となります。

重度の障害により常に介護を必要とする人については、「重度訪問介護」として、入浴、排せつ、食事の介護、外出時における移動支援などが総合的に行われています。

在宅の障害者に介護サービスを提供する場合には、高齢者向けの「訪問介護」とは別に指定を受けなければなりませんが、人員や設備は併用可能です。多くの事業所が高齢者向けの「訪問介護」と障害者向けの「居宅介護・重度訪問介護」の指定を同時に受けています。

障害者に対する訪問介護(居宅介護・重度訪問介護)については、こちらのコラムをご参照下さい。

障害居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護 指定時の従業者要件について
障害者向けの在宅介護サービス【居宅介護・重度訪問介護・同行援護・行動援護】の違いと指定申請時の従業者要件を比較
居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護の障害福祉サービス費 報酬加算減算一覧表
【居宅介護・重度訪問介護・同行援護・行動援護】 障害福祉サービス費基本報酬と加算減算を分かりやすく一覧表で解説

まとめ

以上が、訪問介護の全体像です。在宅利用者向けの訪問介護サービスは対象者に応じて、3つの制度が存在します。

当事務所では訪問介護、1号訪問事業、障害居宅介護サービス、全ての開業手続きに対応しているため、これら事業の開業を計画中の方は、是非当事務所の無料開業相談を利用されることをお勧めします。

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【この記事の執筆・監修者】

井ノ上 剛(いのうえ ごう)
※ご契約がない段階での記事に関するご質問には応対できかねます。
 ご了承お願い致します。

◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
奈良県橿原市議会議員
◆介護福祉士実務者研修修了
タスクマン合同法務事務所 代表
 〒542-0066 大阪市中央区瓦屋町3-7-3イースマイルビル
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