【訪問介護事業の人員基準】 2.5名の常勤換算とは?必要な介護資格は?訪問介護事業を開業するときの人員基準の考え方

訪問介護員の人員基準 2.5名の常勤換算とは?必要な資格は
井ノ上剛(社労士・行政書士)

訪問介護事業を開業する場合、常勤換算で2.5名の訪問介護員が必要です。2.5名ってどう計算するか分かりますか?今後経営者として訪問介護事業所を運営するあなたには、訪問介護事業の人員基準について、より深い知識が必要です。このコラムでは訪問介護事業の人員基準について、介護保険法の専門家が、法律基準に従って詳しく解説します。

このコラムの推奨対象者

〇新たに訪問介護事業を立ち上げる場合の人員基準を知りたい方
〇常勤換算2.5名の考え方を理解したい方
〇訪問介護事業を開設する場合に陥りやすい問題点を理解したい方

このコラムの信頼性

タスクマン合同法務事務所は、介護障害福祉事業の立ち上げ、設立専門の合同法務事務所です。毎月数多くの訪問介護事業所の設立をご支援しています。このコラムのリライト(更新)時である、2021年6月現在、介護障害福祉事業の設立支援件数が、累積で400件を超えました。安心して、お読みください。

訪問介護事業を開業する時の常勤換算法とは?

新たに訪問介護事業所を立ち上げる場合、訪問介護員の数は、常勤換算法で2.5名以上必要となることはご存知のことだと思います。

ここで言う常勤換算法とは、例えばパート勤務など短時間勤務の訪問介護員がいる場合に、全訪問介護員の勤務時間合計を、事業所の所定労働時間で割った数を、訪問介護員の人数として計算してよい、という仕組みです。

常勤換算法の例

短時間勤務者を含む全訪問介護員の1週労働時間合計100時間
この事業所の1週当たり所定労働時間が40時間
勤務時間合計(100時間)÷ 事業所の所定労働時間(40時間)=2.5名

なお1週当たり所定労働時間は、一般的には40時間ですが、実は訪問介護事業所が独自に定めることができます。

所定労働時間が少ないほど、上記の計算例で言う「勤務時間合計」が少なく2.5名を達成することができますが、所定労働時間の下限は32時間とされています。

逆算すると、2.5名の常勤換算を満たすための最低ラインの勤務時間は次の通り計算することができるわけです。

最低ラインの勤務時間の計算例

事業所の所定労働時間(32時間)× 2.5名 = 勤務時間合計(80時間)

派遣労働者は訪問介護員に計算できるのか?

派遣会社に雇用され、訪問介護事業所に派遣される、いわゆる派遣労働者も訪問介護員として人数に計算することができます。

しかし、

「口腔内の喀痰吸引を行う場合は、派遣労働者であってはならない」

とされている点に注意が必要です。

不定期勤務の登録ヘルパーの常勤換算方法は?

訪問介護事業には、登録訪問介護員(いわゆる登録ヘルパー)と呼ばれる雇用形態が、慣例として存在します。登録ヘルパーとは、複数の訪問介護事業所に登録(正式には雇用契約)し、利用者の訪問予定に合わせて、その時間帯だけ勤務するという雇用形態です。

時給制のパート労働者とは異なり、訪問先の利用者に対するサービス提供の内容で、案件ごとに異なる給与単価が設定されるという、訪問介護業界特有の雇用形態です。

  登録ヘルパー 時給制パート
働き方 案件ごとに始業・終業 始業~終業
賃金 案件ごとに単価が異なる 時間給は原則固定

この登録ヘルパーの常勤換算方法は次の通りとなります。

登録ヘルパーの常勤換算方法

☑過去に事業所で登録ヘルパーの雇用実績がある場合
登録ヘルパーの週当たり平均稼働時間によって、常勤換算します。

☑過去に事業所で登録ヘルパーの雇用実績がない場合(つまり新規指定)
確実に稼働できるものとして、勤務表に明記されている時間によって、常勤換算します。
(当然、勤務表と実態が乖離している場合は、指導対象となります)

訪問介護員となるための資格要件は?

訪問介護員として2.5名の人員基準に計算できる資格要件は次の通りです。

訪問介護員の要件

介護福祉士
実務者研修修了者
初任者研修修了者
旧介護職員基礎研修過程修了者
旧ホームヘルパー1級課程修了者
旧ホームヘルパー2級課程修了者
看護師・准看護師

訪問介護事業に必要な、サービス提供責任者(サ責)と管理者については、別コラムで詳細を解説しているので、併せてご参照ください。

サービス提供責任者と管理者
訪問介護の立ち上げに必須【サービス提供責任者と管理者】資格要件と必要人数は?訪問介護設立時の必要最低基準を理解しよう

このコラムのまとめ

訪問介護員の2.5名常勤換算法はご理解いただけましたでしょうか?

2.5名のうち、最低1人を実務者研修修了者以上とし、残り1.5名を初任者研修修了者以上とするのが一般的です。人員基準を正しく理解して、無駄のない配置を計画しましょう。

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【この記事の執筆・監修者】

井ノ上 剛(いのうえ ごう)
※ご契約がない段階での記事に関するご質問には応対できかねます。
 ご了承お願い致します。

◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
奈良県橿原市議会議員
◆介護福祉士実務者研修修了
タスクマン合同法務事務所 代表
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