障害者向けの在宅介護サービス【居宅介護・重度訪問介護・同行援護・行動援護】の違いと指定申請時の従業者要件を比較
障害者向け介護サービスである居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護の違いと、それぞれの従業者要件について解説します。またこれらの事業は高齢者向けの訪問介護(介護保険)と兼業することができます。指定基準を詳しく理解していれば、必要最小限の人数で、複数の事業を同時開業することができます。
このコラムの推奨対象者
・居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護のサービス内容を理解したい人
・障害居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護の従業者要件を理解したい人
・介護保険訪問介護と兼業する場合の指定基準を理解したい人
コラムの信頼性
タスクマン合同法務事務所は、介護障害福祉事業に専門特化した法務事務所です。このコラムのリライト時(令和3年7月)時点で、介護障害福祉事業設立件数、累積400社突破。障害者向けの居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護についても毎月多数の設立案件をサポートしています。安心してお読みください。
- 1. 居宅介護のサービス内容と従業者要件
- 1.1. 居宅介護のサービス内容
- 1.2. 居宅介護の従業者要件
- 1.3. 居宅介護のサービス提供責任者要件
- 2. 重度訪問介護のサービス内容と従業者要件
- 2.1. 重度訪問介護のサービス内容
- 2.2. 重度訪問介護の従業者要件
- 2.3. 重度訪問介護のサービス提供責任者要件
- 3. 同行援護のサービス内容と従業者要件
- 3.1. 同行援護のサービス内容
- 3.2. 同行援護の従業者要件
- 3.3. 同行援護のサービス提供責任者要件
- 4. 行動援護のサービス内容と従業者要件
- 4.1. 行動援護のサービス内容
- 4.2. 行動援護の従業者要件
- 4.3. 行動援護のサービス提供責任者要件
- 5. 介護保険訪問介護を兼業する場合の指定要件
- 6. このコラムのまとめ
居宅介護のサービス内容と従業者要件
居宅介護のサービス内容
居宅介護で障害者に提供するサービス内容は下記の3点です。
居宅介護のサービス内容
・入浴、排せつ、食事等の介護
・調理、洗濯、掃除などの家事
・生活に関する相談、助言、援助
なお、介護福祉業界で略称で「居宅(きょたく)」と言う場合、主に介護保険の居宅介護支援(ケアマネージャー業務)を指します。このコラムで取り扱っている障害者向け在宅介護サービスの「居宅介護」とは異なりますので、ご注意ください。
居宅介護の従業者要件
居宅介護の従業者として従事できるのは、次の4資格です。
居宅介護の従業者要件
・介護福祉士
・実務者研修修了者
・居宅介護職員初任者研修課程修了者
・介護職員初任者研修課程修了者(介護保険法)
これら4資格以外の者がサービス提供を行う場合、報酬減算が生じるため注意しましょう。
居宅介護のサービス提供責任者要件
居宅介護のサービス提供責任者として従事できるのは次の通りです。
居宅介護のサービス提供責任者要件
・介護福祉士
・実務者研修修了者
・介護職員基礎研修修了者
・居宅介護従業者養成研修1級修了者
過去には次の資格について、3年間の実務経験&10%報酬減算で、サービス提供責任者として認められていましたが、令和3年度障害福祉サービス報酬改定で廃止されました。
《廃止済み》3年間の実務経験が必要&10%報酬減算
・居宅介護職員初任者研修課程修了者
・介護職員初任者研修課程修了者(介護保険法)
重度訪問介護のサービス内容と従業者要件
重度訪問介護のサービス内容
6段階ある障害支援区分のうち区分4以上(入院・入所の場合は区分6)であり、二肢以上に麻痺がある等の重度障害者に対して、次の5つのサービスを提供するのが重度訪問介護です。
重度訪問介護のサービス内容
・入浴、排せつ、食事等の介護
・調理、洗濯、掃除などの家事
・生活に関する相談、助言、援助
・外出移動中の介護
・入院、入所者している場合の意思疎通
重度訪問介護の従業者要件
重度訪問介護の従業者として従事できるのは次の資格者です。
重度訪問介護の従業者要件
・介護福祉士
・実務者研修修了者
・居宅介護職員初任者研修課程修了者
・介護職員初任者研修課程修了者(介護保険法)
・障害者居宅介護従業者基礎研修修了者
・重度訪問介護従業者養成研修修了者
・行動援護従業者養成研修修了者
・居宅介護等事業従事経験者
重度訪問介護のサービス提供責任者要件
重度訪問介護のサービス提供責任者の資格要件は「居宅介護」の場合と同様ですので、ご参照ください。
同行援護のサービス内容と従業者要件
同行援護のサービス内容
同行援護では視覚障害者の外出移動時に次の3つのサービスを提供します。
同行援護のサービス内容
・移動に必要な情報の提供
・移動の援護
・移動時の排せつおよび食事等の介護
同行援護の従業者要件
同行援護の従業者として従事できるのは次の資格者です。
・同行援護従業者養成研修(一般課程修了者)
・同行援護従業者養成研修(応用課程修了者)
・国立障害者リハ ビリテーションセンター学院視覚障害学科履修者
※盲ろう者向け通訳・介助員を同行援護従業者養成研修修了者とみなす(令和5年度末まで)
この他、指定権者(知事・市長)の判断で視覚障害者支援の実務経験が1年以上あることを条件に、一定の資格者に対して同行援護従業者要件を認めることが可能とされているため、各自治体において確認されることをお勧めします。
同行援護のサービス提供責任者要件
同行援護のサービス提供責任者の資格要件は次の通りです。
同行援護のサービス提供責任者要件
・介護福祉士
・実務者研修修了者
・居宅介護職員初任者研修課程修了者
・介護職員初任者研修課程修了者(介護保険法)
以上のいずれかの資格者が「同行援護従業者養成研修(応用課程修了者)」を同時に満たすこと。
行動援護のサービス内容と従業者要件
行動援護のサービス内容
行動援護では、知的・精神障碍者に対して次の3つのサービスを提供します。
行動援護のサービス内容
・行動時の危険回避
・移動時の介護
・排せつ食事等の介護
行動援護の従業者要件
行動援護の従業者として従事できるのは、次の資格者のうち実務経験が1年(180日)以上ある者に限られています。
行動援護の従業者要件
・行動援護従業者養成研修課程修了者
・強度行動障害支援者養成研修修了者(基礎研修および実践研修)
なお、令和6年(2024年)3月31日までに限り次の通り経過措置が取られています。
経過措置
居宅介護の従業者要件を満たし、かつ2年(360日)以上の直接支援の実務経験のある者は行動援護の従業者とする
行動援護のサービス提供責任者要件
行動援護のサービス提供者として従事できるのは次の資格者のうち実務経験が3年(540日)以上ある者に限られています。
行動援護のサービス提供責任者要件
・行動援護従業者養成研修課程修了者
・強度行動障害支援者養成研修修了者(基礎研修および実践研修)
なお、令和6年(2024年)3月31日までに限り次の通り経過措置が取られています。
経過措置
居宅介護の従業者要件を満たし、かつ5年(900日)以上の直接支援の実務経験のある者は行動援護のサービス提供責任者とする
介護保険訪問介護を兼業する場合の指定要件
介護保険法における訪問介護事業の指定を受けている事業者が、障害福祉サービスの居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護の指定申請を行う場合、介護保険法の訪問介護事業の指定をもって、障害福祉サービス上も指定基準を満たすと判断されます。
従業者数も訪問介護における常勤換算2.5名以上を満たせば、それで障害福祉サービスの従業者数を満たすとみなされますが、業務を提供する従業者、サービス提供責任者の資格要件、実務経験要件については、当然に本コラムの条件が優先適用されるため、注意しましょう。
・
このコラムのまとめ
以上が障害居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護の指定時従業者要件です。
介護保険の訪問介護に加えて、居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護の指定を同時に取得しようとする場合、特に行動援護の資格要件が厳格化されているため、指定申請前の研修終了を計画しましょう。
障害居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護の設立開業をお考えの際は、当事務所の無料相談のご利用をお勧めします。
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【この記事の執筆・監修者】
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◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士・行政書士
◆奈良県橿原市議会議員
◆介護福祉士実務者研修修了
◆タスクマン合同法務事務所 代表
〒542-0066 大阪市中央区瓦屋町3-7-3イースマイルビル
(電話)0120-60-60-60
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